團扇うちわ)” の例文
新字:団扇
打水うちみづのあとかろ庭下駄にはげたにふんで、もすそとる片手かたてはすかしぼね塗柄ぬりえ團扇うちわはらひつ、ながれにのぞんでたつたる姿すがたに、そらつきはぢらひてか不圖ふとかゝるくもすゑあたりにわかくらくなるをりしも
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かきごしにさしいだ團扇うちわとらんとあぐればはづかしゝ美少年びせうねんかんとする團扇うちわさき一寸ちよつおさへて、おもひにもゆるはほたるばかりとおぼすかとあやしの一言ひとこと暫時しばし糸子いとこわれかひと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此處こゝぬかと團扇うちわあつかひ、十三の子供こどもにはませぎてをかし。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
片肌かたはだぬぎに團扇うちわづかひしながら大盃おほさかづき泡盛あはもりをなみ/\とがせて、さかなは好物こうぶつ蒲燒かばやき表町おもてまちのむさしへあらいところをとのあつらへ、うけたまわりてゆく使つかばん信如しんによやくなるに、そのやなることほねにしみて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たれがもひにかほたるかぜにたゞよひてたゞまへ、いとおよぶまじとりてもたゞられず、ツト團扇うちわたかくあぐればアナヤほたる空遠そらとほんで手元てもといかゞるびけん、團扇うちわはながきえてちぬ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)