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とろ
ふりがな文庫
“
吐露
(
とろ
)” の例文
適当のところで
徐
(
じょ
)
じょに到達して、いよいよ前途に光明を認めたという時、ここに初めて真情を
吐露
(
とろ
)
しようと考えていたのである。
世界怪談名作集:17 幽霊の移転
(新字新仮名)
/
フランシス・リチャード・ストックトン
(著)
「忠義を旗に書いて待っているだけでは駄目です。もっと憂国の至情を
吐露
(
とろ
)
なさい。鉄血、人を動かすものをぶっつけなさい」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
以上に掲げた孔子の諸語は一貫して顔淵への愛情を
吐露
(
とろ
)
している。そうしてこの傾向は下論に至って一層強度を増すのである。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
痴川は如何にも自分は真実を
吐露
(
とろ
)
すといわんばかりに、
恰
(
あたか
)
も何か怒るような突き
詰
(
つめ
)
た顔で
吃
(
ども
)
りがちの早口で呟いていたが、急に言葉を切った。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
我が
南洲翁
(
なんしゅうおう
)
もややおなじ境遇にあるの時、同じ意志を
吐露
(
とろ
)
した。翁が
田原坂
(
たばるざか
)
の戦いのころ、
大山県令
(
おおやまけんれい
)
に寄せた
書翰
(
しょかん
)
に
曰
(
いわ
)
く
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
「
不上酒閣
(
しゆかくにのぼらず
)
不買歌鬟償
(
かくわんをかはずつぐなふ
)
周文画
(
しうぶんのぐわ
)
筆頭水
(
ひつとうのみづ
)
墨余山
(
ぼくよのやま
)
」の
詞
(
ことば
)
を寄せたるは、恐らく真情を
吐露
(
とろ
)
せしなるべし。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
フランスではロダンの
為事場
(
しごとば
)
に入り浸りになっていて、ロダンの評を書いたのですが、ロダンを評したのだか、自家の主観を
吐露
(
とろ
)
したのだか分からないような
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
日ごろから紋也が接近しようとして苦心して
手蔓
(
てづる
)
を求めていた相手で、これらの人々と懇親となり、これらの人々へ
己
(
おの
)
が思想を、
吐露
(
とろ
)
したあげくにこれらの人々が
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あまりこの男を信用していない彼女は、彼の真情の
吐露
(
とろ
)
もいい加減聞き
飽
(
あ
)
きると、プーキシンを朗読させるのだった。それは、彼女の言い草に従えば、空気を清めるためだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
昨日
(
きのふ
)
の
小膽
(
せうたん
)
で
有
(
あ
)
つた
事
(
こと
)
も、
月
(
つき
)
さへも
氣味
(
きみ
)
惡
(
わる
)
く
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
も、
以前
(
いぜん
)
には
思
(
おも
)
ひもしなかつた
感情
(
かんじやう
)
や、
思想
(
しさう
)
を
有
(
あり
)
の
儘
(
まゝ
)
に
吐露
(
とろ
)
したこと、
即
(
すなは
)
ち
哲學
(
てつがく
)
をしてゐる
丁斑魚
(
めだか
)
の
不滿足
(
ふまんぞく
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふた
事
(
こと
)
なども
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
行幸に
供奉
(
ぐぶ
)
し、赤人は歌人としての意識を以てこの歌を作ったのだろうが、必ずしも「宮廷歌人」などという意図が目立たずに、自由に個人としての好みを
吐露
(
とろ
)
しているようである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
次にこの十五年の祝典について
聊
(
いささ
)
か私の考えを
吐露
(
とろ
)
しようと思います(拍手)。
学問の独立と東京専門学校の創立
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
確かに彼は、私の
目鼻
(
めはな
)
や皺などが、紙に書かれた文字ででもあるかのやうに、
悠
(
ゆつく
)
りと私の顏を讀まうとするやうに見えた。この
穿鑿
(
せんさく
)
から引出された結論を、彼は幾分か次の意見の中に
吐露
(
とろ
)
した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
永野の葉書には、『太宰治氏を十年の友と安んじ居ること、真情
吐露
(
とろ
)
してお伝え下され
度
(
た
)
く』とあるから、原因が何であったかは知らぬが、益々交友の
契
(
ちぎり
)
を固くせられるよう、ぼくからも祈ります。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
戦衣を解かないでいる理由を六ヵ条にわけて
記
(
しる
)
し、
不撓不屈
(
ふとうふくつ
)
、ただ先帝の
遺託
(
いたく
)
にこたえ奉るの一心と国あるのみの赤心を
吐露
(
とろ
)
し、その末尾の一章には
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昨日
(
きのう
)
の
小胆
(
しょうたん
)
であったことも、
月
(
つき
)
さえも
気味
(
きみ
)
悪
(
わる
)
く
見
(
み
)
たことも、
以前
(
いぜん
)
には
思
(
おも
)
いもしなかった
感情
(
かんじょう
)
や、
思想
(
しそう
)
を
有
(
あり
)
のままに
吐露
(
とろ
)
したこと、
即
(
すなわ
)
ち
哲学
(
てつがく
)
をしている
丁斑魚
(
めだか
)
の
不満足
(
ふまんぞく
)
のことを
云
(
い
)
うたことなども
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
いちいち真実を
吐露
(
とろ
)
し合っていたんじゃ、やり切れない。私は、いつもだましていた。それだから女房は、いつも私を好いてくれた。真実は、家庭の敵。嘘こそ家庭の幸福の花だ、と私は信じていた。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ぼくの思いのありったけを
吐露
(
とろ
)
しなければ「そうか、貴様はそういう考えか」と、得心して貰えそうもない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったく一個の素肌の人間がありのままに感情を
吐露
(
とろ
)
しているすがたとしか見られなかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、心底のものを
吐露
(
とろ
)
するように、ふたたび平伏して信長の公明な
仁恕
(
じんじょ
)
を仰いだ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
車舎人
(
くるまとねり
)
として、都で仕えた藤原忠平を、心にたよって——摂関家への、上訴と、そして情状の酌量をも仰いだ——彼としては、一字一行も、涙なきを得ない、
衷心
(
ちゅうしん
)
を
吐露
(
とろ
)
した文書である。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど顕家が精いッぱいな憂心の
吐露
(
とろ
)
ではあった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“吐露”の意味
《名詞》
吐 露(とろ)
自分が思っている気持ちなどを包み隠すことなく述べ表すこと。
(出典:Wiktionary)
吐
常用漢字
中学
部首:⼝
6画
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
“吐”で始まる語句
吐
吐息
吐出
吐月峰
吐胸
吐月峯
吐瀉
吐気
吐血
吐雲斎