刻々こく/\)” の例文
彼等はロチスター氏には見えなかつた。彼は一心に私の顏を見つめてゐたのである。恐らく、そこからは刻々こく/\と、血のが失せてゐたのだ。
うして人々ひと/″\刻々こく/\運命うんめいせまられてくおしな病體びやうたい壓迫あつぱくした。おしな發作ほつさんだときかすかな呼吸こきふとまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのうちにも、病人びやうにん容態ようたいは、刻々こく/\險惡けんあくになつてゆくので、たうとう、そこからあまとほくない、府下ふか××むらのH病院びやうゐん入院にふゐんさせるより仕方しかたがなくなつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
かくてん雪催ゆきもよひ調とゝのふと、矢玉やだまおとたゆるときなく、うしとらたつ刻々こく/\修羅礫しゆらつぶてうちかけて、霰々あられ/\また玉霰たまあられ
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうおもつてわたしはまだ自分じぶんにはかくされてゐる太陽たいやう笑顏ゑがほ想像さうざうなかさがもとめた。けれどもわたしはそれをさうながつにはおよばなかつた。小松こまつ刻々こく/\かゞやきをしてつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
刻々こく/\おもがはりゆく
如是 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
絶えず束縛され——無理ひに生得せいとくの性質の火を絶えずよわめさせられて、その焔が内に向ふにまかせ生命を刻々こく/\に嘗め盡すとも
そして、いままでその背景はいけいをなしてゐたそらは、そのあをさは、刻々こく/\ひかりうみしつゝあつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
その間中、彼女は一頁もめくりはしないで、彼女の顏は刻々こく/\と暗く、不滿足なやうになり、益々不興ふきやうげな失望の樣子になつて來るのであつた。