とけ)” の例文
旧字:
訳が有って三藏どんがおらとけえ頭を下げて来て、さて作右衞門どん、うもの者に話をしてはとてらちが明かねえ、人一人は大事な者なれども
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「根本………御座らしやるとも、根本ていのア、塩山では一等の丸持大尽まるもちだいじんでごわすア」と答へて、更に、「で貴郎あんたア、根本さアとけ御客様おきやくさんかね」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
長「だってわっちのような貧乏人のとけえは来人きてがございません、来てくれるような奴は碌なのではございませんから」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何うせわれエ殺すべえと思ってるんだ……コレ汝はそればかりじゃアねえ、今聞けば勇助どんも汝が殺したゞな、それから度々たび/\嬢さまのとけきやアがって
年寄子供をひかえて軽躁かるはずみな事がなければいがと思って居ます処の、昨日きのう私がとけえねえ……少し家へ来られねえだけれども、逢いてえッて来た様子が誠に案じられますから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前は己んとけへ知せに来ていて、茂之さんのお内儀かみさんが一人で留守居をして居ると、大夕立大雷鳴おおがみなり真暗まっくらとけへ這入って、女房を殺した時の心持は何うだったろうと
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
え……れは叔父で……お繼、何か小岩井のお婆さんのとけえ行きてえから、お婆さんにおれ詫言わびごとして呉んねえ、ちゃんの敵を討つ助太刀をしたと云うかどで詫言をして呉んねえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「おう、ちげえねえ、こりゃアどうも、すっかり忘れちまッた、カラどうも大御無沙汰になっちまって体裁きまりが悪いんでね、こんなとけえ来てしまったんで、誠にどうもツイ…」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
離れたとけえ持って行って質に入れゝば、二両や三両は貸すから、病人に知れねえ様に持出そう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此奴こいつ矢張やっぱりういう事があるんでげしょう、へえー、なア……鐵やい、左官のまつの野郎が火事の時に手伝って、それから御家様ごけさまとけ出入でへえりをし、何日いつか深い訳になったが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仙「こいつアどうも有難ありがてえ……いゝ事がある、兎も角今夜は己のとけえ来て泊んねえな」
え、七兵衞どんにおれ逢って、われだけはお婆さんが連れてく、田舎だアから食物くいものアねえが不自由はさせねえ、十四五になれば立派なとけへ奉公に遣って、藤屋の別家を出させるか
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それからまアやっとのこっ因幡町いなばちょうの棟梁のとけえ転がり込んだが、一人前いちにんめえ出来た仕事も身体が利かねえから宰取をして、今日始めて手伝てつでえに出て、うして妹にうと云うなア不思議だ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早「先刻さっき親父がとけ貴方あんたが金え包んで種々いろ/\厄介になってるからって、別にわしが方へも金をくれたが、そんなに心配しんぺいしねえでもえ、何も金が貰いてえって世話アしたんでねえから」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「いねえ/\と云ったって何処どっか居るとけえ往ってめっけて来やアな」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此の頃じゃアハア手紙の一本ぐれえ書ける様になったのアめえの旦那の御厄介ごやっけえでがんすから、おうちがこうなって遠いとけえ行くてえこったらわしも附いて行かないばなんねえが、婆様ばあさまア塩梅あんべいが悪うござえまして
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)