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円味
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まるみ
ふりがな文庫
“
円味
(
まるみ
)” の例文
円味
(
まるみ
)
を帯びた柔かな声で
流暢
(
りゅうちょう
)
にリーダーを読み
了
(
おわ
)
った先生は、黒い
閻魔帳
(
えんまちょう
)
をひらいて、鉛筆でそっと名列の上をさぐっている。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
当てもなく
卓子
(
テーブル
)
の上を払うと、何か
円味
(
まるみ
)
のものが
冷
(
ひや
)
りとふるえる手先に触れた。彼はそのまま握りしめたが、それは毎晩
傍
(
そば
)
へおくピストルだった。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
夫
(
それ
)
から一段低く六つ七つの岩峰が一列に押し並んで、
円味
(
まるみ
)
を帯びた峰頭を北に傾けて、
稽首
(
けいしゅ
)
しているかのさまがある。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
すぐ傍に坐っている顔の蒼いほど色の白い、
華奢
(
きゃしゃ
)
な
円味
(
まるみ
)
を持った、
頷
(
おとがい
)
のあたりがおとなしくて、
可愛
(
かわい
)
らしい。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そして一度開いた目を閉じて、美しく
円味
(
まるみ
)
を持った両の腕を頭の上に伸ばして、寝乱れた髪をもてあそびながら、さめぎわの快い眠りにまた静かに落ちて行った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
身体中に神経がピンと
緊
(
きび
)
しく張ったでもあるように思われて、
円味
(
まるみ
)
のあるキンキン声はその音ででも有るかと聞えた。しかしまたたちまちグッタリ沈んだ
態
(
てい
)
に
反
(
かえ
)
って
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
びっくりしておどろいている間にその
円味
(
まるみ
)
をおびたものはだんだん小さくちぢんでいって、やがて消えてしまった——と、こういう風に二次元世界では感ずるのです。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この丘の頂上は、
尖
(
とが
)
った峰でもなく、大きな
円味
(
まるみ
)
を持った
天辺
(
てっぺん
)
でもなく、かなり広い平地、つまり高台になっていて、少し向うの方に、
納屋
(
なや
)
のある家が一軒建っていた。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
五月初旬の初夏の
陽
(
ひ
)
に、汗ばんだ額を拭こうとしてか、締め緒を解いて笠を脱いだ、
剃
(
そ
)
りつけて細い一文字の眉、愛嬌こぼれる
円味
(
まるみ
)
はないが、
妖婦型
(
バンプがた
)
さながらの切れ長の眼
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
古来鳥居奥村両派の
画
(
え
)
に見たる太くして
円味
(
まるみ
)
ある古風の線は今や細く鋭く鮮明となり、衣裳の模様は極めて綿密に描き
出
(
いだ
)
されその色彩はいはゆる
吾妻
(
あずま
)
錦絵の佳美を誇ると共に
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一人の女と一人の
女形
(
おやま
)
、その美しい
円味
(
まるみ
)
、匂いこぼれるような
媚
(
なま
)
めかしさ、悩ましさはともかくとして、おりふし「青楼十二時」でもひもどいて、
辰
(
たつ
)
の
刻
(
こく
)
の画面に
打衝
(
ぶつ
)
かると、ハタと彼は
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
下には直ぐに、薄桃色の曲線と、
円味
(
まるみ
)
を持った
面
(
おもて
)
とが、三十年近く生きて来て、たるんでいた。毛穴が、早春の地中海の夜気を呼吸して、全体をすこし
粟立
(
あわだ
)
たせているように、私は観察した。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
障子外の縁を何処までも一直線に
突当
(
つきあた
)
って、直角に折れ曲って、また
片側
(
かたがわ
)
を戻って、廊下通りをまたその縁へ出て一廻り……廻ると云うと
円味
(
まるみ
)
があります、ゆきあたり、ぎくり、ぎゅうぎゅう
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下方にとってもちっぽけに見える行儀のいい、四角な、少し
円味
(
まるみ
)
をもって盛り上っている畑地。地面を蹴ってとびさえすれば何だか身体が浮くだろうという気のする、軽い、何かしら匂いのある空気。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
いかにも
山人
(
やまびと
)
らしい
風貌
(
ふうぼう
)
をそなえ、
杉
(
すぎ
)
の葉の長くたれ下がったような白い
粗
(
あら
)
い
髯
(
ひげ
)
をたくわえ、その広い額や
円味
(
まるみ
)
のある
肉厚
(
にくあつ
)
な鼻から光った目まで、言って見れば顔の道具の大きい異相の人物であるが
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その可愛らしい
瓜実顔
(
うりざねがお
)
は新らしい玉子のような
円味
(
まるみ
)
をもち
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
やはり剣道の胴当のように、たてに細い竹のきれのようなものが、胴の形に、やや
円味
(
まるみ
)
をもってならんでいたが、これは竹ではなくて、或るめずらしい材料でつくったものだ。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
物の
輪郭
(
りんかく
)
が
円味
(
まるみ
)
を帯びずに、堅いままで黒ずんで行くこちんとした寒い晩秋の夜が来た。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
黒平入
(
くろべらい
)
りの鳥居峠附近から右に望んだ奥仙丈山の主脈は、平な
円味
(
まるみ
)
のある長い頂界線を描いて、高峭と云うような感じは起らないが、秩父の大洞山附近から遠望した所によると
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そして
部屋
(
へや
)
のすみにある
生漆
(
きうるし
)
を塗った桑の
広蓋
(
ひろぶた
)
を引き寄せて、それに
手携
(
てさ
)
げや懐中物を入れ終わると、飽く事もなくその
縁
(
ふち
)
から底にかけての
円味
(
まるみ
)
を持った微妙な手ざわりを
愛
(
め
)
で
慈
(
いつく
)
しんだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
木の根を掴んだり岩角に
縋
(
すが
)
り付いたりして、馬の脊を逆落しに降りた所は根曲り竹の密生した岩壁の窪に過ぎなかった、急直に下ろして来た岩壁はこの窪を作る為に
円味
(
まるみ
)
を帯びて抉れ込んでいる。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
円
常用漢字
小1
部首:⼌
4画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“円”で始まる語句
円
円髷
円座
円柱
円顔
円朝
円形
円屋根
円卓
円滑