其端そのはし)” の例文
磨製石斧 磨製石斧とは細長ほそながくして其端そのはしを付けたる石器の稱へなり。大小不定だいせうふていなれど長さ五六寸ばかりをつねとす。刄は殆と悉皆一端のみにりと云つて可なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
が、やがてあいちやんは、びるだけとほくへ兩腕りやううでばして、其端そのはしを一かけたゝおとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
試みにこれ手繰たぐって見ると、綱は古代の大蛇だいじゃのように際限はてしもなく長いもので、れどもれども容易に其端そのはしにはとどかなかったが、こんよく手繰たぐっているうちに、ようやく残りなく引揚ひきあげた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いひさしておりきあふいづなみだがたければくれなひの手巾はんけちかほに押當おしあて其端そのはしひしめつゝものいはぬこと小半時こはんときにはものおともなくさけしたひてりくるのうなりごゑのみたかきこえぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これを調しらべるには、和田氏わだし卷尺まきしやくつ、が一ぱう其端そのはしち、一ぱう燈器とうきつ。大野氏おほのし一々いち/\るといふ役目やくめで、うしてうちに、あたましり衝突しやうとつする。あしむ。く。
長さは幾丈あるか鳥渡ちょっとは想像が付かぬ位で、黒い固い綱は狭い室内に蟠蜒とぐろを巻いて、其端そのはしは蛇の鎌首のように突っ立った。これが総て人間の髪毛かみのけであるかと思うと、市郎は何となく薄気味悪く感じた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)