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こくめい
ふりがな文庫
“
克明
(
こくめい
)” の例文
平次は
克明
(
こくめい
)
に二度目の調べを始めたのです。その後から
胡散
(
うさん
)
の鼻をふくらませて、弁慶の小助がついて来たことは言うまでもありません。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
四十格好の
克明
(
こくめい
)
らしい
内儀
(
かみ
)
さんがわが事のように
金盥
(
かなだらい
)
に水を移して持って来てくれた。葉子はそれで
白粉気
(
おしろいけ
)
のない顔を思う存分に冷やした。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
(お春の癖で、こう云う話をする時は一々その人の口調を真似て、当時の会話を
克明
(
こくめい
)
に再演して見せるのである)
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その会場はいつも満員で、市民はせめてその顔なりと一目見ようと、門外にたたずむもの何千人をもってかぞえられた。富士男が
克明
(
こくめい
)
にしるした遭難日記が出版された。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
みな佐賀のほこり、
御用焼
(
ごようや
)
きの
色鍋島
(
いろなべしま
)
を
克明
(
こくめい
)
に制作している、善良なる
細工人
(
さいくにん
)
ばかりの山だ。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
其内
(
そのうち
)
腰
(
こし
)
に
挟
(
はさ
)
んだ、
煮染
(
にし
)
めたやうな、なへ/\の
手拭
(
てぬぐひ
)
を
抜
(
ぬ
)
いて
克明
(
こくめい
)
に
刻
(
きざ
)
んだ
額
(
ひたひ
)
の
皺
(
しは
)
の
汗
(
あせ
)
を
拭
(
ふ
)
いて、
親仁
(
おやぢ
)
は
之
(
これ
)
で
可
(
よ
)
しといふ
気組
(
きぐみ
)
、
再
(
ふたゝ
)
び
前
(
まへ
)
へ
廻
(
まは
)
つたが、
旧
(
きう
)
に
依
(
よ
)
つて
貧乏動
(
びんぼうゆるぎ
)
もしないので
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
克明
(
こくめい
)
に頭を下げて頼むので、番頭は飛んだ
厄介者
(
やっかいもの
)
と言わぬばかりに小僧に
顋
(
あご
)
を向け
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
田鍋のやつは、勘は鈍いが、あれで相当
克明
(
こくめい
)
でねばり強いから、そのうちにはきっと一件を感づくに違いない。そうなったら……ああ、そうなったら
万事休
(
ばんじきゅう
)
すだ。わしの最後の一線が崩れ去るのだ。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
克明
(
こくめい
)
な
霊
(
たましひ
)
のかたわれが
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「三月四日の月といふ字を見るが宜い、本文のは
克明
(
こくめい
)
に二本の横棒を引つ張つてゐるが、日附の方はチヨンチヨンと點を二つ續けて打つて居るぜ」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は、それらの
検見帳
(
けみちょう
)
から、領下の
戸帳
(
こちょう
)
や
蓄備倉
(
ちくびそう
)
の
表
(
ひょう
)
や
年貢控
(
ねんぐひか
)
えなどを
克明
(
こくめい
)
に見終っての後。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
体
(
たい
)
は
医者殿
(
いしやどの
)
、
手
(
て
)
のつけやうがなくつて、
身
(
み
)
の
衰
(
おとろへ
)
をいひ
立
(
た
)
てに一
日
(
にち
)
延
(
の
)
ばしにしたのぢやが三
日
(
か
)
経
(
た
)
つと、
兄
(
あに
)
を
残
(
のこ
)
して、
克明
(
こくめい
)
な
父親
(
てゝおや
)
の
股引
(
もゝひき
)
の
膝
(
ひざ
)
でずつて、あとさがりに
玄関
(
げんくわん
)
から
土間
(
どま
)
へ
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それでも女のことで、荒らかに封を切るということはなく、
楊枝
(
ようじ
)
の先で
克明
(
こくめい
)
に封じ目をほどいて、手紙の中の
文言
(
もんごん
)
を読んでみると、それがいよいよいやな感じを起させてしまいました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最初にそれへ気がついたのが三位卿で、ここの天険に軍船の配置をする場合のため、
克明
(
こくめい
)
に鳴門一帯を測量した時、水陣図のおぼえ書に、その
渦路
(
うずみち
)
の秘密も書き加えておいた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その内腰に
挟
(
はさ
)
んだ、
煮染
(
にし
)
めたような、なえなえの
手拭
(
てぬぐい
)
を抜いて
克明
(
こくめい
)
に刻んだ額の
皺
(
しわ
)
の汗を
拭
(
ふ
)
いて、
親仁
(
おやじ
)
はこれでよしという
気組
(
きぐみ
)
、再び前へ廻ったが、
旧
(
もと
)
によって
貧乏動
(
びんぼうゆるぎ
)
もしないので
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼のうちは
克明
(
こくめい
)
に働いて、夜分になると戸を締め切っておいて盗みに出かけます。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのお團子を並べたやうに四十餘りの丸を書いて、それに八五郎一流の
拙
(
まづ
)
い假名文字で、
克明
(
こくめい
)
に名前を書き入れたのを見せながら、大して極り惡がりもせずに、八五郎はかういふのです。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お玉は大事そうに三味線を抱えて、草履を
克明
(
こくめい
)
に脱ぎ並べて、その席へ身を載せて、上の方へお辞儀をして、袋をはずして中から三味線を取り出しにかかる模様が慣れたものであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ちょいと見ると、いやどれもこれも
克明
(
こくめい
)
で分別のありそうな顔をして。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
竜之助は冷然として、その書き終るを見ていると、壮士はその紙を持って前後を見廻したが、
傍
(
かたえ
)
に大きな松の樹がある、
小柄
(
こづか
)
を抜いてその一端を突きさして、あとの
隅
(
すみ
)
を
克明
(
こくめい
)
に
松脂
(
まつやに
)
で押える。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一寸
(
ちよいと
)
見
(
み
)
ると、いやどれもこれも
克明
(
こくめい
)
で、
分別
(
ふんべつ
)
のありさうな
顔
(
かほ
)
をして。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手のつけようがなくって身の
衰
(
おとろえ
)
をいい立てに一日延ばしにしたのじゃが三日
経
(
た
)
つと、兄を残して、
克明
(
こくめい
)
な
父親
(
てておや
)
は股引の
膝
(
ひざ
)
でずって、あとさがりに玄関から土間へ、
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
は
)
いてまた
地
(
つち
)
に手をついて
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“克明”の意味
《名詞》
克明(こくめい)
細かいところまで丹念で詳細なこと。また、そのようなさま。
素直であること。実直であること。
明らかであること。
(出典:Wiktionary)
克
常用漢字
中学
部首:⼉
7画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“克”で始まる語句
克
克己
克服
克巳
克己心
克々
克礼
克勤
克平
克己力