光明あかり)” の例文
が、そのうちうっすりと光明あかりがさしてて、今日きょうおくっててくだされた、あのおじいさんの姿すがたうつった。
わが王妃つま、わが夢、わが欲望のぞみ! ウスナの家がわしに対してあの苦いにがい罪を犯さなかった前には、おお、婦人おなごの中のこじかよ、わしが自分の夢をお前の顔の光明あかりに照らした時
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
義にあつく、お情けぶかく、だれにも慕われなさる人民の中の光明あかりみたいなお人としてだ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
全く天の光明あかりだ、暗の夜ならば決して光明は射さぬであろう、併し其の穴から直接に空を見る事は出来ぬ、穴は唯真向うを見る許りで、奥の方に何があるかは能く見て取る事が出来ぬ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
或一、文三が散歩より帰ッて見れば、叔母のお政は夕暮より所用あッて出たままだ帰宅せず、下女のおなべも入湯にでも参ッたものか、これも留守、ただお勢の子舎へや而已のみ光明あかりしている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
てよ! あのまどからるゝ光明あかりは? あれは、東方ひがし、なればヂュリエットは太陽たいやうぢゃ!……あゝ、のぼれ、うるはしい太陽たいやうよ、そして嫉妬深りんきぶかつきころせ、彼奴あいつ腰元こしもとそもじはううつくしいのをくやしがって
塚田巡査が穴をくだるについては、市郎ほどの危険と困難とを感じなかった。上に立つ大勢の人々は綱をあやつって彼の行動を助け、つ幾多の松明たいまつ振翳ふりかざして、あたう限りの光明あかりを彼の行手に与えて居た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
最初さいしょは、なにやら濛気もやでもかかっているようで、もののけじめもわかりかねましたが、そのうち不図ふと何所どこからともなしに、一じょう光明あかりんでると同時どうじに、自分じぶんかれているところ
沢庵は、その悲嘆の闇にある彼女にとって、ただ一つの光明あかりであった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『まあおじいさまでございますか!』わたくしおぼえずきて、祖父じじかたすがってしまいました。帰幽後きゆうごわたくしくらくら心胸こころに一てん光明あかりしたのはじつにこのとき最初さいしょでございました。