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兆
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ちょう
ふりがな文庫
“
兆
(
ちょう
)” の例文
仔細は、窺いえませんが、どうやら、宮廷の若公卿や一味の武者輩のうごきについて、六波羅にても、はや捨ておかれぬ謀反の
兆
(
ちょう
)
を
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けたたましく郵便
脚夫
(
きゃくふ
)
が
走込
(
はしりこ
)
むのも、
烏
(
からす
)
が鳴くのも、皆何となく土地の末路を示す、滅亡の
兆
(
ちょう
)
であるらしい。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
みんなは毎日その石で
畳
(
たた
)
んだ
鼠
(
ねずみ
)
いろの
床
(
ゆか
)
に
座
(
すわ
)
って古くからの
聖歌
(
せいか
)
を
諳誦
(
あんしょう
)
したり
兆
(
ちょう
)
よりももっと大きな数まで数えたりまた数を
互
(
たがい
)
に加えたり
掛
(
か
)
け合せたりするのでした。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
遊民の多きを亡国の
兆
(
ちょう
)
だなどゝ苦労するのは大きな間違いだ。文明の進んだ富める国には、必ず此の遊民がある。是れ太平の祥であると云って何も遊民を喜ぶのではない。
文明国には必ず智識ある高等遊民あり
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
燕王の宮殿
堅牢
(
けんろう
)
ならざるにあらざるも、風雨の力大にして、高閣の
簷瓦
(
えんが
)
吹かれて
空
(
くう
)
に
飄
(
ひるがえ
)
り、
砉然
(
かくぜん
)
として地に
堕
(
お
)
ちて粉砕したり。大事を挙げんとするに臨みて、これ何の
兆
(
ちょう
)
ぞ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
とにかく三つの外惑星が
双魚座
(
ピスケス
)
と連結するという天体現象は、大凶災の
兆
(
ちょう
)
とされているのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わが子一枝(カズエ)、一日ごとに変化の
兆
(
ちょう
)
、
歴然
(
れきぜん
)
たるものあり。成長に向う変化である。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
即ち十月一日より隔時観測を始めたり、
折節
(
おりふし
)
天候不穏の
兆
(
ちょう
)
ありしを以て、翌日剛力ら一同を下山せしめしため、予はいよいよ俊寛も
宜
(
よろ
)
しくという境遇となり、全く孤独の身となれり
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
瀬戸内の波いと穏やかに
馬関
(
ばかん
)
に着きしに、当時大阪に流行病あり、
漸
(
ようや
)
く
蔓延
(
まんえん
)
の
兆
(
ちょう
)
ありしかば、ここにも
検疫
(
けんえき
)
の事行われ、一行の着物は
愚
(
おろ
)
か荷物も所持の品々も
悉
(
ことごと
)
く消毒所に送られぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
全く仏法滅亡の
兆
(
ちょう
)
を
顕
(
あら
)
わして居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
小田原の
北条氏康
(
ほうじょううじやす
)
と戦って、今川方に敗戦の
兆
(
ちょう
)
が見えるや否、不利とならぬ間に和議の盟約をむすんで、駿府を救ったのもこの僧であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
儂
(
のう
)
熟〻
(
つらつら
)
考うるに、今や外交日に開け、
表
(
おもて
)
に
相親睦
(
あいしんぼく
)
するの状態なりといえども、
腹中
(
ふくちゅう
)
各〻
(
おのおの
)
針を
蓄
(
たくわ
)
え、優勝劣敗、弱肉強食、日々に
鷙強
(
しきょう
)
の欲を
逞
(
たくま
)
しうし、
頻
(
しき
)
りに東洋を
蚕食
(
さんしょく
)
するの
兆
(
ちょう
)
あり、しかして
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
すでに当城へ臨むときに、もし貴公がいささかの異心でもさしはさみ、敵に通ずるごとき
兆
(
ちょう
)
あらば、直ちに貴公と刺しちがえる覚悟でござった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天下一統の大業を完成して、後漢の代を興した光武帝から、今は二百余年を経、宮府の内外にはまた、ようやく
腐爛
(
ふらん
)
と
崩壊
(
ほうかい
)
の
兆
(
ちょう
)
があらわれてきた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とにかく、
撰
(
よ
)
りに
撰
(
よ
)
った悪玉と悪玉とが、この夜、手を結んだのは、弦之丞の身にとって、怖るべき不幸の
兆
(
ちょう
)
だ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、それもやがてまた、幕府
瓦解
(
がかい
)
の
兆
(
ちょう
)
をあらわした、安政六年の失火の時、本丸炎上の
紅蓮
(
ぐれん
)
をあびて、遂に永遠の
相
(
そう
)
を失い、もとの土に返ってしまった。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「吹上の
悪戯
(
わるさ
)
は万太郎の
所為
(
しょい
)
じゃ。そして、それを不吉の
兆
(
ちょう
)
らしく、尾ひれをつけて言いふらすものは、紀州家にそねみをもつ気の小さい大奥の女どもじゃ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
潰滅
(
かいめつ
)
の
兆
(
ちょう
)
が見えてきた。その方面の敵は、
不肖
(
ふしょう
)
池田勝三郎が当って蹴ちらしてみせる」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
観るに、
炎漢
(
えんかん
)
の気すでに衰え、帝星光をひそめ、魏王の
乾象
(
けんしょう
)
、それに反して、天を極め、地を限る。まさに魏が漢に代るべき
兆
(
ちょう
)
です。司天台の暦官たちもみなさように申しておりまする
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
源平対立の
兆
(
ちょう
)
は見えても、戦いはなく、むしろ、
地下
(
ちげ
)
階級の武者全体が、貴族政治の崩壊によるこんどの戦乱を、自己たちの地位向上の絶好な機会となし、赤旗も白旗も同陣営に
拠
(
よ
)
っていた。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁術は、憤怒を発して、とうとう自暴自棄の
兆
(
ちょう
)
をあらわした。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“兆”の解説
兆(ちょう)は漢字文化圏における数の単位の一つ。兆がいくつを示すかは時代や地域により異なる。現在、日本・台湾・韓国・香港では 10
12
= 1000000000000 を示す。
(出典:Wikipedia)
兆
常用漢字
小4
部首:⼉
6画
“兆”を含む語句
前兆
凶兆
兆候
吉兆
凡兆
瑞兆
兆殿司
中江兆民
京兆尹
祝京兆
巣兆
衰兆
京兆
乱兆
亡兆
明兆
兆民居士
敗兆
生不怕京兆尹
奇兆
...