人魚にんぎょ)” の例文
北方ほっぽううみいろは、あおうございました。あるとき、いわうえに、おんな人魚にんぎょがあがって、あたりの景色けしきをながめながらやすんでいました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
イヤイヤあれはれいによりて人間にんげんどもの勝手かって仮構事つくりごとじゃ。乙姫様おとひめさまけっして魚族さかな親戚みうちでもなければまた人魚にんぎょ叔母様おばさまでもない……。
目一つの神につかまった話だの、人をいのこにする女神めがみの話だの、声の美しい人魚にんぎょの話だの、——あなたはその男の名を知っていますか? その男は私にった時から、この国の土人に変りました。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
うみなかには、人魚にんぎょというものがすんでいるということだが、そのおとこは、このふえ人魚にんぎょくのでないかとさえおもったのです。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なが年月としつきあいだはなしをする相手あいてもなく、いつもあかるいうみおもてをあこがれて、らしてきたことをおもいますと、人魚にんぎょはたまらなかったのであります。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うまいはずだ。人間にんげんではない、人魚にんぎょいたのだもの。」と、おじいさんは感嘆かんたんして、おばあさんとはないました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
雪女ゆきおんなしろ水晶すいしょうのようなひとみからはなつひかりと、人魚にんぎょのかんむりや、くびにかけた海中かいちゅうのめずらしいかいや、さんごじゅのかざりからながれるかがやきは
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それなら、わたしが、雪女ゆきおんなをよんできてあげましょう。また今夜こんやあたり、人魚にんぎょが、いわうえにいないものでもない。いたら、人魚にんぎょも、つれてきてあげましょう。」
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、そこには、さけも、果物くだものも、そのべものもなかったのです。このつぎの時分じぶんには、人魚にんぎょうみからべるものをたくさん用意よういしてくるといいました。
雪の上の舞踏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしや、人魚にんぎょがこのかぎを自分じぶんさずけてくれて、なにかまだこの発見はっけんせられない、かくされたはこひらかせるためではないかとかんがえました。かれは、そのかぎをってうちかえりました。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)