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三叉
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みつまた
ふりがな文庫
“
三叉
(
みつまた
)” の例文
こゝに谷は
三叉
(
みつまた
)
をなし、街道はゲリジム山麓を西に折れてナブルスの
邑
(
まち
)
に到る。余等はヤコブの井を見る可く、大道より右にきれ込む。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
神将は手に
三叉
(
みつまた
)
の
戟
(
ほこ
)
を持つてゐましたが、いきなりその戟の切先を杜子春の胸もとへ向けながら、眼を
嗔
(
いか
)
らせて叱りつけるのを聞けば
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蓮池の計画もあったが、これは実現されなかった。珍しい物としては、甘茶の木だの、
三叉
(
みつまた
)
の木などがあった。桑の木のことは、後に記す。
私の父
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
詞の初に
三叉
(
みつまた
)
、駒形、待乳山の地名を挙げ、「見れば心もすみ田川流に浮ぶ一葉の舟の昔は」と云つて、舟の由来に入る。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
三叉
(
みつまた
)
の女屋敷
菖蒲
(
あやめ
)
の寮は、大川筋の水明りから明けて、絵絹ににじませたような
芦
(
あし
)
の
洲
(
す
)
や寮の屋根などが、ほのぼのと夢のままに浮かんできた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
それがまた新に青くなつて、一樣になつて、歸り來る時、葉の
裁方
(
たちかた
)
にまで
變
(
かはり
)
が無い、白楊の葉は
心
(
しん
)
の臟、橡の樹のは
掌
(
てのひら
)
、
篠懸
(
すずかけ
)
の樹のは
三叉
(
みつまた
)
の
鋒
(
ほこ
)
の形だ。
落葉
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
それは
三叉
(
みつまた
)
になった棒の先に、釘を曲げたのを植えつけた輪があり、それをさりげないようすで転がして歩く。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たゞ、大川に面した河岸側だけ、むかし
三叉
(
みつまた
)
と言って夏の涼みや秋の月見の風雅な場所だったことを
偲
(
しの
)
ばしめるように上品で瀟洒とした料理店が少し残っております。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まづしい人人の群で混雜する、あの
三叉
(
みつまた
)
の狹い通りは、ふしぎに私の空想を呼び起す。みじめな郵便局の前には、大ぜいの女工が群がつてゐる。どこへ手紙を出すのだらう。
散文詩・詩的散文
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そして其処は道が
三叉
(
みつまた
)
になって、東の方から上って来た道がそこで分かれて、一方は今の別荘の裏を通って外人部落のなかに消え、もう一方はこれは昔ながらの村道らしく
晩夏
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
第一段の上には
三叉
(
みつまた
)
の
矛
(
ほこ
)
の形が刻まれている。登ることのできないそれらの階段はなお
承口
(
うけぐち
)
のうちに丈夫についている。他の部分はちょうど歯のぬけた
顎
(
あご
)
のようなありさまをしている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
向うは
往来
(
おうらい
)
が
三叉
(
みつまた
)
になっておりまして、
側
(
かた
)
えは
新利根
(
しんとね
)
大利根
(
おおとね
)
の
流
(
ながれ
)
にて、
折
(
おり
)
しも空はどんよりと雨もよう、
幽
(
かす
)
かに見ゆる
田舎家
(
いなかや
)
の
盆灯籠
(
ぼんどうろう
)
の火もはや消えなんとし、
往来
(
ゆきゝ
)
も
途絶
(
とだ
)
えて
物凄
(
ものすご
)
く
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
BDM(ドイツ女子青年団)の〈
三叉
(
みつまた
)
の物干棒〉のバッジをつけてルロンへ口紅を買いに行って、あっさりお断りをくったというトンチキだが、なんのつもりか鶴のように片足で立って
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
傷口を診察するタヨリになるのは蛍色の月の光りと、木の枝の
三叉
(
みつまた
)
に結び付けて地に立てた懐中電燈の光りだけで、それすら電池が弱りかけているらしく光線がダンダンと赤茶気て来る。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
傾いた
舷
(
ふなべり
)
から、二
人
(
にん
)
半身を乗り
出
(
いだ
)
して、うつむけに海を
覗
(
のぞ
)
くと思うと、
鉄
(
くろがね
)
の
腕
(
かいな
)
、
蕨
(
わらび
)
の手、二条の柄がすっくと空、
穂尖
(
ほさき
)
を
短
(
みじか
)
に、一斉に
三叉
(
みつまた
)
の
戟
(
ほこ
)
を構えた瞬間、畳およそ百余畳、海一面に
鮮血
(
からくれない
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三叉
(
みつまた
)
に裂けた太い尾を肩に高々と背負ったまま奇怪の舞踏をやっている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兵士らは
殺戮
(
さつりく
)
の叫びを発しながら、あらゆる人家に
闖入
(
ちんにゅう
)
して、あらゆる
狼藉
(
ろうぜき
)
を働こうとした。百姓らは棒を持って追っかけ、荒れ犬をけしかけていた。第三の兵士が、
三叉
(
みつまた
)
に腹を刺されて倒れた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
三叉
(
みつまた
)
の
鏃
(
やじり
)
ある矢にマカオーン勇將の 505
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
神将は手に
三叉
(
みつまた
)
の
戟
(
ほこ
)
を持っていましたが、いきなりその戟の
切先
(
きっさき
)
を杜子春の
胸
(
むな
)
もとへ向けながら、眼を
嗔
(
いか
)
らせて叱りつけるのを聞けば
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは
三叉
(
みつまた
)
になった棒の先に、
釘
(
くぎ
)
を曲げたのを植えつけた輪があり、それをさりげないようすで転がして歩く。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
小舟は程なく彼女たちを苫の下にかくして、矢のように、
三叉
(
みつまた
)
の洲から、大川へ漕ぎ出て行った。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まづしい人人の群で混雑する、あの
三叉
(
みつまた
)
の狭い通りは、ふしぎに私の空想を呼び起す。みじめな郵便局の前には、大ぜいの女工が群がつてゐる。どこへ手紙を出すのだらう。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
化粧机のあったところに食器棚をすえ、壁の
靴摺
(
くつずれ
)
の
三叉
(
みつまた
)
のソケットから電気コンロを二つとってご飯蒸と味噌汁の鍋をかけ、食事の間に台所へ立たなくとも、居なりで用が足りるようにしてある。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
葛城山
(
かつらぎやま
)
の麓にある、路が
三叉
(
みつまた
)
になった往来へ、笛を吹きながら来かかりますと、右と左と両方の路から、弓矢に身をかためた、二人の年若な侍が、
逞
(
たくま
)
しい馬に
跨
(
またが
)
って
犬と笛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこらの手頃の樹を
伐
(
き
)
り仆して来い。そして空井戸の上へ
三叉
(
みつまた
)
を組め。それへ竹籠の麻縄をかけるんだ。……なに、籠をどうするのかッて。べら棒め、飾り物じゃあねえ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
神将はかう
喚
(
わめ
)
くが早いか、
三叉
(
みつまた
)
の
戟
(
ほこ
)
を
閃
(
ひらめ
)
かせて、一突きに杜子春を突き殺しました。さうして峨眉山もどよむ程、からからと高く笑ひながら、どこともなく消えてしまひました。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
頼房は子を連れて、やしきを出、舟にのせて、河幅のもっとも広い
三叉
(
みつまた
)
の対岸から
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そのお島姉さんが、また、使い屋に手紙を持たせて、どうしても、もう一ぺん、お前に会わなければならないことがあるから、
三叉
(
みつまた
)
の
菖蒲橋
(
あやめばし
)
まで私に来てくれといってよこした……その返辞を」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
叉
漢検準1級
部首:⼜
3画
“三叉”で始まる語句
三叉路
三叉箭
三叉道