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さ
ふりがな文庫
“
去
(
さ
)” の例文
「
自分
(
じぶん
)
の
真心
(
まごころ
)
がいつか、
兄
(
にい
)
さんにわかるときがあろう。」と、
弟
(
おとうと
)
は、
一粒
(
ひとつぶ
)
のしいの
実
(
み
)
を
裏庭
(
うらにわ
)
に
埋
(
う
)
めて、どこへとなく
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
りました。
白すみれとしいの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さて
獣
(
けもの
)
はまへにもいへるごとく、
初雪
(
しよせつ
)
を見て山つたひに雪浅き国へ
去
(
さ
)
る、しかれども
行后
(
ゆきおく
)
れて雪になやむもあればこれを
狩
(
か
)
る事あり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
然
(
しか
)
しながら
若
(
わか
)
い
衆
(
しゆ
)
と
稱
(
しよう
)
する
青年
(
せいねん
)
の一
部
(
ぶ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
家
(
いへ
)
に
不斷
(
ふだん
)
の
注目
(
ちうもく
)
を
怠
(
おこた
)
らない。
其
(
そ
)
れはおつぎの
姿
(
すがた
)
を
忘
(
わす
)
れ
去
(
さ
)
ることが
出來
(
でき
)
ないからである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
尤
(
もつと
)
も、あれで
若
(
も
)
しどつちかが
斷然
(
だんぜん
)
強
(
つよ
)
くでもなつたとしたら、
恐
(
おそ
)
らく
進
(
すゝ
)
まぬ方は
憤然
(
ふんぜん
)
町内を
蹴
(
け
)
つて
去
(
さ
)
つたかも知れない。
桑
(
くは
)
原、
桑
(
くは
)
原!
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
家人
(
かじん
)
のようすにいくばくか
不快
(
ふかい
)
を
抱
(
いだ
)
いた使いの人らも、お政の
苦衷
(
くちゅう
)
には
同情
(
どうじょう
)
したものか、こころよく
飲食
(
いんしょく
)
して早そうに
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
った。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
宿
(
やど
)
に
凝
(
じつ
)
としてゐるのは、
猶
(
なほ
)
退屈
(
たいくつ
)
であつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
匆々
(
そう/\
)
に
又
(
また
)
宿
(
やど
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
棄
(
す
)
てゝ、
絞
(
しぼ
)
りの
三尺
(
さんじやく
)
と
共
(
とも
)
に
欄干
(
らんかん
)
に
掛
(
か
)
けて、
興津
(
おきつ
)
を
去
(
さ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
村長
(
むらおさ
)
の話をきけば、数日前に、この
家
(
うち
)
へとまって
飄然
(
ひょうぜん
)
と
去
(
さ
)
ったという
妙
(
みょう
)
な老人というのこそ、どうやら果心居士であるような気がする。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
去
(
さ
)
んぬる頃、日本長崎の「さんた・るちや」と申す「えけれしや」(寺院)に、「ろおれんぞ」と申すこの国の少年がござつた。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
令史
(
れいし
)
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
事
(
こと
)
夥
(
おびたゞ
)
し。
呆
(
あき
)
れて
夜
(
よ
)
を
明
(
あか
)
すに、
山
(
やま
)
深
(
ふか
)
うして
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
ず。
道
(
みち
)
を
尋
(
たづ
)
ぬれば
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
ること
正
(
まさ
)
に
八百里程
(
はつぴやくりてい
)
。
三十日
(
さんじふにち
)
を
經
(
へ
)
て
辛
(
から
)
うじて
歸
(
かへ
)
る。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
去
(
さ
)
りながら仏のおしえは奇妙な仕置にて、大乗小乗と二つ分ちて、小乗は
下
(
げ
)
こんの人の教え、大乗は上根の人への教えと定めこれ有り候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ガンたちは、オムベルイ
地方
(
ちほう
)
を
去
(
さ
)
って、イエータ
運河
(
うんが
)
にそって東に飛びました。ここでは、夏のためのじゅんびをしていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
一方では季題や
去
(
さ
)
り
嫌
(
きら
)
いや打ち越しなどに関する連句的制約をある程度まで導入して進行の沈滞を防ぎ楽章的な形式の斉整を保つと同時に
俳諧瑣談
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私
(
わたくし
)
はもと
京
(
きょう
)
の
生
(
うま
)
れ、
父
(
ちち
)
は
粟屋左兵衞
(
あわやさひょうえ
)
と
申
(
もう
)
して
禁裡
(
きんり
)
に
仕
(
つか
)
えたものでございます。
私
(
わたくし
)
の
名
(
な
)
は
佐和子
(
さわこ
)
、二十五
歳
(
さい
)
で
現世
(
げんせ
)
を
去
(
さ
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
『
夫人
(
ふじん
)
は
牢屋
(
らうや
)
に
居
(
ゐ
)
る』と
云
(
い
)
つて
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
死刑執行者
(
しけいしつかうしや
)
に、『
此處
(
こゝ
)
へ
伴
(
つ
)
れて
參
(
まゐ
)
れ』
乃
(
そこ
)
で
其
(
そ
)
の
死刑執行者
(
しけいしつかうしや
)
が
箭
(
や
)
の
如
(
ごと
)
く
走
(
はし
)
り
去
(
さ
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
鳥はみんな
興
(
きょう
)
をさまして、一人
去
(
さ
)
り二人
去
(
さ
)
り今はふくろうだけになりました。ふくろうはじろじろ
室
(
へや
)
の中を見まわしながら
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
指
(
ゆび
)
を
屈
(
くつ
)
して
見
(
み
)
ると、
當日
(
たうじつ
)
は
吾等
(
われら
)
が
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
つてから、
丁度
(
ちやうど
)
九日目
(
こゝぬかめ
)
で、
兼
(
かね
)
て
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
の
試運轉式
(
しうんてんしき
)
の
日
(
ひ
)
と
定
(
さだ
)
められたる
紀元節
(
きげんせつ
)
の
前日
(
ぜんじつ
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
され共東天
漸
(
やうや
)
く白く夜光全く
去
(
さ
)
り、清冷の水は俗界の
塵
(
ちり
)
を去り
黛緑
(
たいりよく
)
の山は
笑
(
えみ
)
を
含
(
ふく
)
んて迎ふるを見れば、
勇気
(
いうき
)
勃然
(
ぼつぜん
)
為めに過去の
辛苦
(
しんく
)
を一
掃
(
そう
)
せしむ。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
すゝめもなさず
去
(
さ
)
るものは
日々
(
ひゞ
)
に
疎
(
うと
)
しの
俚諺
(
ことわざ
)
もあり
日
(
ひ
)
をだに
經
(
ふ
)
れば
芳之助
(
よしのすけ
)
を
追慕
(
つゐぼ
)
の
念
(
ねん
)
も
薄
(
うす
)
らぐは
必定
(
ひつぢやう
)
なるべし
心
(
こゝろ
)
ながく
時
(
とき
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
看
(
み
)
よ、
他
(
ほか
)
に
人一個
(
ひとひとり
)
居
(
を
)
らぬ
畑中
(
はたなか
)
。
其所
(
そこ
)
にわびしき
天幕
(
てんと
)
を
張
(
は
)
りて、
降
(
ふ
)
るや
降
(
ふ
)
らずの
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
る。それで
叔母達
(
をばたち
)
は
去
(
さ
)
るとも、
叔父
(
をぢ
)
と
共
(
とも
)
に
此所
(
こゝ
)
に
留
(
とゞま
)
るといふ。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
(權三に蹴られて、彦三郎はつまづき倒れる。水の音。一同は見返りもせずに、綱をひいて上のかたへ引返して
去
(
さ
)
る。)
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
微笑
(
びせう
)
を
以
(
もつ
)
て
苦
(
くるしみ
)
に
對
(
むか
)
はなかつた、
死
(
し
)
を
輕蔑
(
けいべつ
)
しませんでした、
却
(
かへ
)
つて「
此
(
こ
)
の
杯
(
さかづき
)
を
我
(
われ
)
より
去
(
さ
)
らしめよ」と
云
(
い
)
ふて、ゲフシマニヤの
園
(
その
)
で
祈祷
(
きたう
)
しました。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それを考えると、この村を
去
(
さ
)
るのが
残念
(
ざんねん
)
でたまりませんでした。わたしは
打穀場
(
だこくば
)
のうらてをぬけて
谷
(
たに
)
へくだり、
荒
(
あ
)
れ地のほうへのぼって行きました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
晏子
(
あんし
)
が
莊公
(
さうこう
)
の
尸
(
し
)
に
伏
(
ふ
)
し、
之
(
これ
)
を
哭
(
こく
)
して
禮
(
れい
)
を
成
(
な
)
し
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
去
(
さ
)
るに
方
(
あた
)
つて、
豈
(
あ
)
に
所謂
(
いはゆる
)
(七二)
義
(
ぎ
)
を
見
(
み
)
て
爲
(
な
)
さざるは
勇
(
ゆう
)
無
(
な
)
き
者
(
もの
)
邪
(
か
)
。
国訳史記列伝:02 管晏列伝第二
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
が、その
冬
(
ふゆ
)
が
過
(
す
)
ぎ
去
(
さ
)
ってしまったとき、ある
朝
(
あさ
)
、
子家鴨
(
こあひる
)
は
自分
(
じぶん
)
が
沢地
(
たくち
)
の
蒲
(
がま
)
の
中
(
なか
)
に
倒
(
たお
)
れているのに
気
(
き
)
がついたのでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
五合、三合、
従前
(
もと
)
の通りになって、
去
(
さ
)
らば烟草の方は
喫
(
の
)
まぬむかしの通りにしようとしても
是
(
こ
)
れも出来ず、馬鹿々々しいとも何とも
訳
(
わ
)
けが
分
(
わか
)
らない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
『
料理番
(
れうりばん
)
に
申
(
まを
)
しつけて、
玄竹
(
げんちく
)
に
馳走
(
ちそう
)
をして
取
(
と
)
らせい。
余
(
よ
)
もともに一
獻
(
こん
)
酌
(
く
)
まう。』と、
但馬守
(
たじまのかみ
)
は、
紀
(
こつな
)
を
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
らせた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
余
(
よ
)
明治
(
めいぢ
)
三十五
年
(
ねん
)
春
(
はる
)
四
月
(
ぐわつ
)
、
徳島
(
とくしま
)
を
去
(
さ
)
り、
北海道
(
ほくかいだう
)
に
移住
(
いぢゆう
)
す。
是
(
これ
)
より
先
(
さ
)
き、
四男
(
しなん
)
又一
(
またいち
)
をして、
十勝國
(
とかちのくに
)
中川郡
(
なかがはごほり
)
釧路國
(
くしろのくに
)
足寄郡
(
あしよろごほり
)
に
流
(
なが
)
るゝ
斗滿川
(
とまむがは
)
の
畔
(
ほとり
)
に
牧塲
(
ぼくぢやう
)
を
經營
(
けいえい
)
せしむ。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
頓
(
やが
)
て彼れ
衣嚢
(
かくし
)
を探り
最
(
いと
)
太
(
ふと
)
やかなる
嗅煙草
(
かぎたばこ
)
の箱を
取出
(
とりいだ
)
し幾度か鼻に当て我を忘れて其香気を
愛
(
めず
)
る如くに見せ
掛
(
かく
)
る、
去
(
さ
)
れど余は
兼
(
かね
)
てより彼れに此癖あるを知れり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
老人
(
らうじん
)
の
言
(
い
)
ひ
聞
(
き
)
かした
言葉
(
ことば
)
は
先
(
ま
)
づ
斯
(
こ
)
んなものでありました。そして
權藏
(
ごんざう
)
は
奮
(
ふる
)
ひ
起
(
た
)
つて
老人
(
らうじん
)
の
下
(
もと
)
を
去
(
さ
)
つたのです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
時
(
とき
)
にはわざと
背中合
(
せなかあわ
)
せにすわる
場合
(
ばあい
)
もままあったが、さて、
吉次
(
きちじ
)
はやがて
舞台
(
ぶたい
)
に
出
(
で
)
て、
子役
(
こやく
)
としての
評判
(
ひょうばん
)
が
次第
(
しだい
)
に
高
(
たか
)
くなった
時分
(
じぶん
)
から、
王子
(
おうじ
)
を
去
(
さ
)
った
互
(
たがい
)
の
親
(
おや
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「右の者
去
(
さ
)
んぬる六月十五日本所北割下水大伴蟠龍軒方へ忍び込み、同人舎弟を始め
外
(
ほか
)
四人の者を
殺害
(
せつがい
)
致し
候者也
(
そうろうものなり
)
」と読むより、
左
(
さ
)
なきだに義気に富みたる文治
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
国許
(
くにもと
)
ともお
側
(
そば
)
去
(
さ
)
らずだったが、そのとき
展墓
(
てんぼ
)
のため(理由はほかにあった)帰国したといい、兄の和兵衛を訪ねて来たついでに、出三郎の住居をのぞいたのである。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
発車の笛、寒き
夕
(
ゆふべ
)
の潮風に響きて、汽車は「ガイ」と一と
動
(
ゆ
)
りして進行を始めぬ、駅長は
鞠躬如
(
きくきゆうぢよ
)
として窓外に平身低頭せり、
去
(
さ
)
れど車中の客は元より
一瞥
(
いちべつ
)
だも与へず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
ロミオは
汝等
(
おぬしら
)
をば
寢室
(
ねま
)
への
通路
(
かよひぢ
)
にせうとお
思
(
おも
)
やったに、
予
(
わし
)
は
志望
(
おもひ
)
を
能
(
え
)
い
遂
(
と
)
げいで、
處女
(
をとめ
)
のまゝで
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
るのぢゃ。さ、
綱
(
つな
)
よ。さ、
乳母
(
うば
)
よ。これから
婚禮
(
こんれい
)
の
床
(
とこ
)
へ
往
(
ゆ
)
かう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「いよいよ、いつぞやの
約束
(
やくそく
)
を
果
(
は
)
たす日が
来
(
き
)
た。わたしたちは
今夜限
(
こんやかぎ
)
りこの
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
ろうと
思
(
おも
)
う。」
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
彼
(
かれ
)
の
処女作
(
しよぢよさく
)
が
市場
(
しぢやう
)
に
出
(
で
)
たとき、まだ
年
(
とし
)
の
少
(
すくな
)
いこの
天才
(
てんさい
)
の
出現
(
しゆつげん
)
に
驚
(
おどろ
)
かされて、
集
(
あつ
)
まつて
来
(
き
)
た
多
(
おほ
)
くの
青年
(
せいねん
)
も、そろ/\
彼
(
かれ
)
の
実質
(
じつしつ
)
が
疑
(
うたが
)
はれて
来
(
き
)
たやうに、
二人
(
ふたり
)
去
(
さ
)
り三
人
(
にん
)
離
(
はな
)
れして
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
何かをソッと
伺
(
うかが
)
っているという様子だ。いやに眼を光らせているのだ。そして、おれが降りて来たのを見ると、ハッとした様に、
去
(
さ
)
り
気
(
げ
)
なく部屋の中へはいってしまった。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
毎号
(
まいがう
)
三千
(
さんぜん
)
づゝも
刷
(
す
)
るやうな
訳
(
わけ
)
で、
未
(
いま
)
だ
勉
(
つと
)
めて
拡張
(
かくちやう
)
すれば
非常
(
ひじやう
)
なものであつたのを、
無勘定
(
むかんじやう
)
の
面白半分
(
おもしろはんぶん
)
で
遣
(
や
)
つて
居
(
ゐ
)
た
為
(
ため
)
に、
竟
(
つひ
)
に
大事
(
だいじ
)
を
去
(
さ
)
らせたとは
後
(
のち
)
にぞ
思合
(
おもひあは
)
されたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
去
(
さ
)
んぬる
正平
(
しょうへい
)
の昔、
武蔵守
(
むさしのかみ
)
殿(
高師直
(
こうのもろなお
)
)が
雲霞
(
うんか
)
の兵を
引具
(
ひきぐ
)
して将軍(
尊氏
(
たかうじ
)
)御所を打囲まれた折節、兵火の
余烟
(
よえん
)
を
遁
(
のが
)
れんものとその近辺の
卿相雲客
(
けいしょううんかく
)
、或いは六条の長講堂
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
去
(
さ
)
りながらこの
問題
(
もんだい
)
は
實
(
じつ
)
は
哲學
(
てつがく
)
の
領分
(
れうぶん
)
に
屬
(
ぞく
)
するもので、
容易
(
ようゐ
)
に
解決
(
かいけつ
)
されぬ
性質
(
せいしつ
)
のものである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
追分の供養塔などの立ち竝んだ村はづれ——北國街道と中山道との
分
(
わ
)
か
去
(
さ
)
れ——に立つて眞白な花ざかりの蕎麥畑などの彼方に眺めやつてゐると、いかにも穩かで、親しみ深く
初秋の浅間
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
三ヶ
月
(
げつ
)
ばかり
過
(
す
)
ぎると、
彼女
(
かのぢよ
)
は
國許
(
くにもと
)
に
歸
(
かへ
)
つて
開業
(
かいげふ
)
するといふので、
新
(
あたら
)
しい
若
(
わか
)
い
夫
(
をつと
)
と
共
(
とも
)
に、この
土地
(
とち
)
を
去
(
さ
)
るべくさま/″\な
用意
(
ようい
)
に
取
(
と
)
りかゝつた。
彼女
(
かのぢよ
)
は
持
(
も
)
つてゐるものを
皆
(
みな
)
捧
(
さゝ
)
げた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
これに
似
(
に
)
た
觀察
(
かんさつ
)
は
阿蘇山
(
あそざん
)
の
嘉元三年
(
かげんさんねん
)
三月三十日
(
さんがつさんじゆうにち
)
(
西暦
(
せいれき
)
千三百五年
(
せんさんびやくごねん
)
五月二日
(
ごがつふつか
)
)の
午後四時頃
(
ごごよじごろ
)
、
地中
(
ちちゆう
)
から
太陽
(
たいよう
)
の
如
(
ごと
)
き
火玉
(
ひだま
)
が
三
(
みつ
)
つ
出
(
で
)
て
空
(
そら
)
に
上
(
のぼ
)
り、
東北
(
とうほく
)
の
方
(
ほう
)
へ
飛
(
と
)
び
去
(
さ
)
つたといふことがある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
祖父
(
おほぢ
)
は
播磨
(
はりま
)
の
一四
赤松に仕へしが、
去
(
さ
)
んぬる
一五
嘉吉
(
かきつ
)
元年の
乱
(
みだれ
)
に、
一六
かの
館
(
たち
)
を去りてここに来り、庄太夫にいたるまで
三代
(
みよ
)
を
経
(
へ
)
て、
一七
春
耕
(
たがや
)
し、秋
収
(
をさ
)
めて、家
豊
(
ゆた
)
かにくらしけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
モロッコのマグラ市近き野に獅が多いが極めて
怯懦
(
きょうだ
)
で、小児が叱ると狼狽
遁
(
に
)
げ
去
(
さ
)
る
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
もう
去
(
さ
)
つてくれ、
無邪氣
(
むぢやき
)
ないたづらをして、その
邊
(
へん
)
をかき
亂
(
みだ
)
すのは
辛抱
(
しんぼう
)
するが、
不潔
(
ふけつ
)
なことをする
虞
(
おそれ
)
がある、
追
(
お
)
つても
去
(
さ
)
らない、そのまゝ
默認
(
もくにん
)
してゐるうちに、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に、またたれた。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
雨戸
(
あまど
)
引きあけると、何ものか影の如く
走
(
は
)
せ
去
(
さ
)
った。白は後援を得てやっと
威厳
(
いげん
)
を恢復し、二足三足あと
追
(
おい
)
かけて
叱
(
しか
)
る様に吠えた。野犬が肥え太った白を豚と思って喰いに来たのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
チラリと私の顔を盗み見たようであったが、間もなく
去
(
さ
)
り
気
(
げ
)
ない口調で答えた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
都
(
すべ
)
ての
悦
(
よろこび
)
も
満足
(
まんぞく
)
も
自負
(
じふ
)
も
自信
(
じゝん
)
も、
悉
(
こと/″\
)
く自分を
去
(
さ
)
ツて
了
(
しま
)
ツて、
代
(
かはり
)
に
恐怖
(
きようふ
)
が來る。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
然
(
しか
)
るに今の天下の形勢は
枝葉
(
しえふ
)
を
病
(
や
)
んでゐる。民の
疲弊
(
ひへい
)
は
窮
(
きは
)
まつてゐる。
草妨礙
(
くさばうがい
)
あらば、
理
(
り
)
亦
(
また
)
宜
(
よろ
)
しく
去
(
さ
)
るべしである。天下のために
残賊
(
ざんぞく
)
を除かんではならぬと云ふのだ。そこで其残賊だがな。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
去
常用漢字
小3
部首:⼛
5画
“去”を含む語句
過去
逝去
死去
去来
退去
去年
立去
御逝去
逃去
帰去来
去歳
卒去
去嫌
去來
除去
去冬
薨去
置去
遠去
取去
...