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雨漏
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あまもり
ふりがな文庫
“
雨漏
(
あまもり
)” の例文
彼は表の戸をそっと閉めて、しめっぽい畳の上にあぐらを掻いて、時々に天井裏へぽとぽとと落ちて来る
雨漏
(
あまもり
)
の音を聴いていた。
半七捕物帳:12 猫騒動
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夜半滝のような大雨の屋根を打つ音にふと目を
覚
(
さま
)
すとどこやら家の内に
雨漏
(
あまもり
)
の
滴
(
したた
)
り落るような
響
(
ひびき
)
を聞き寝就かれぬまま起きて
手燭
(
てしょく
)
に火を点じた。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
日中なれども
暗澹
(
あんたん
)
として日の光
幽
(
かすか
)
に、陰々たる
中
(
うち
)
に
異形
(
いぎやう
)
なる
雨漏
(
あまもり
)
の壁に染みたるが
仄見
(
ほのみ
)
えて、鬼気人に
逼
(
せま
)
るの感あり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
低い
天井
(
てんじょう
)
の白茶けた板の、二た所まで
節穴
(
ふしあな
)
の
歴然
(
れっき
)
と見える上、
雨漏
(
あまもり
)
の
染
(
し
)
みを
侵
(
おか
)
して、ここかしこと
蜘蛛
(
くも
)
の
囲
(
い
)
を
欺
(
あざむ
)
く
煤
(
すす
)
がかたまって黒く釣りを
懸
(
か
)
けている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「二百十日の嵐で、お屋敷の
廂
(
ひさし
)
も
塀
(
へい
)
も、奧庭の
祠
(
ほこら
)
もひどく
傷
(
いた
)
んだ。彼方此方手入れをする
序
(
ついで
)
に、
雨漏
(
あまもり
)
のひどくなつた祠も修繕させようと思ふと、正面臺の上に、これがキチンとのつてゐたのぢや」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
が、惜しい哉、十年前一見した時既に
雨漏
(
あまもり
)
や
鼠
(
ねずみ
)
のための汚損が甚だしくして見る影もなかった。当時案内の
雛僧
(
すうそう
)
を通じて補修して大切に保存すべき由を住職に伝えたが、今はドウなったか知らん。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
狼のこゑはいとはね住み
古
(
ふ
)
りて世にわびしきは
雨漏
(
あまもり
)
の音
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そを
傳
(
つた
)
ふ
雨漏
(
あまもり
)
の水は蛇の
如
(
ごと
)
し。
そぞろごと
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「何が
恐
(
おそろ
)
しからうぞ、今時の若いお人にも似ぬことを言はつしやる、
狼
(
おおかみ
)
より
雨漏
(
あまもり
)
が恐しいと言ふわいの。」
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
差出口をするのは
僭越
(
せんえつ
)
であり失礼であろう。
雨漏
(
あまもり
)
がしていられなくなれば引越先をさがすより仕様がない。引越す目当がなければ枕元に
盥
(
たらい
)
でも持出して
徐
(
おもむろ
)
に空の晴れるのを待つばかりだ。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
巨寺
(
おおでら
)
の壁に見るような、
雨漏
(
あまもり
)
の
痕
(
あと
)
の
画像
(
えすがた
)
は、
煤
(
すす
)
色の壁に吹きさらされた、袖のひだが、浮出たごとく、
浸附
(
しみつ
)
いて、どうやら
饅頭
(
まんじゅう
)
の形した笠を
被
(
かぶ
)
っているらしい。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨漏
(
あまもり
)
のあとのある古びた壁なぞ、八畳の座敷一体をいかにも薄暗く
照
(
てら
)
している。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
けれども、
雨漏
(
あまもり
)
にも
旅馴
(
たびな
)
れた僧は、押黙って
小止
(
おやみ
)
を待とうと思ったが、ますます雫は繁くなって、掻巻の裾あたりは、びしょびしょ、
刎上
(
はねあが
)
って
繁吹
(
しぶき
)
が立ちそう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨漏
(
あまもり
)
のあとのある古びた壁なぞ、八
畳
(
でふ
)
の
座敷
(
ざしき
)
一体をいかにも
薄暗
(
うすぐら
)
く
照
(
てら
)
してゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
古びた
雨漏
(
あまもり
)
だらけの壁に向つて、
衝
(
つ
)
と立つた、
唯
(
と
)
見れば
一領
(
いちりょう
)
、
古蓑
(
ふるみの
)
が描ける
墨絵
(
すみえ
)
の滝の如く、
梁
(
うつばり
)
に
掛
(
かか
)
つて居たが、見てはじめ、人の
身体
(
からだ
)
に着るのではなく、
雨露
(
あめつゆ
)
を
凌
(
しの
)
ぐため
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
漏
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“雨”で始まる語句
雨
雨戸
雨滴
雨露
雨風
雨傘
雨乞
雨樋
雨垂
雨気