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雨気
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あまけ
ふりがな文庫
“
雨気
(
あまけ
)” の例文
旧字:
雨氣
とにかく驚いて顔を上げると、自分の
身体
(
からだ
)
のある処よりも
遥
(
はるか
)
に低く、
雨気
(
あまけ
)
を帯びた雲の間をば一輪の
朧月
(
おぼろづき
)
が矢の如くに走っているのを見た。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雨気
(
あまけ
)
をふくむ冷やかな風は、秋のような肌ざわりである。
白衣
(
びゃくえ
)
の人影は、五、六歩ふみだしてから、乱雲の空を、少し
気遣
(
きづか
)
わしげに仰いで立つ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四辺
(
あたり
)
は真暗に暮れてしまって
雨気
(
あまけ
)
をふくんだ風が出た。李張は
何時
(
いつ
)
の間にか邸内へ入り、燭の見えている
東房
(
とうぼう
)
の方へ往って、そこの窓から内を
覗
(
のぞ
)
いてみた。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
バスケツトを
引揚
(
ひきあ
)
げて、
底
(
そこ
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てゝ
見
(
み
)
た。
雨気
(
あまけ
)
が
浸通
(
しみとほ
)
つて、
友染
(
いうぜん
)
が
濡
(
ぬ
)
れもしさうだつたからである。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雨気
(
あまけ
)
をもった夜風が、向こうの関東
煮
(
だき
)
屋の低い小さな屋根の上のペンペン草を、あるかなきかに揺っていた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
九月末の暗い夜で、
雨気
(
あまけ
)
を含んだ低い大空には影の薄い星が三つ四つ、あるか無きかのように光っていた。
半七捕物帳:48 ズウフラ怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ドードーッと一
迅
(
じん
)
吹いて来ます風が冷たい風、「夕立や風から先に濡れて来る」と云う
雨気
(
あまけ
)
で、
頓
(
やが
)
てポツリ/\とやッて来ました、
日覆
(
ひよけ
)
になった
葦簀
(
よしず
)
に雨が当るかと思ううちに
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夕飯
(
ゆうめし
)
は小川屋に行って食った。
雨気
(
あまけ
)
を帯びた夕日がぱッと
障子
(
しょうじ
)
を明るく照らして、酒を飲まぬ荻生さんの顔も赤い。小畑は美穂子や雪子のことはなるたけ口にのぼさぬようにした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
みなの意見で一俵だけはなにかの用意に囲い、五俵を十三人に割当て、そのうえのことに豆を粉にして主な食料にあてる。月のはじめに大雨に逢ったきり、その後、いっこうに
雨気
(
あまけ
)
がない。
重吉漂流紀聞
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そしてその後ろ影を伏し拝んでいたが、やがて、
雨気
(
あまけ
)
を含んだ一陣の風が大地を払って吹き去った途端に、彼の姿も一散に風の行方へ走り出していた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨気
(
あまけ
)
を含んで重苦しい夕風が焼跡の石の間に生えた雑草の葉を吹きひるがえしているのを見た。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうだろう、お互に
二十
(
はたち
)
の歳です。——死んだ人は、たしか一つ上だったように後で聞いて覚えている。前の晩は、
雨気
(
あまけ
)
を含んで、花あかりも
朦朧
(
もうろう
)
と、霞に綿を敷いたようだった。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
有合
(
ありあい
)
の鋤を
担
(
かつ
)
いで是から二十丁もある根本の聖天山へ
上
(
あが
)
って見ると、
四辺
(
あたり
)
は
森々
(
しん/\
)
と樹木が茂って居り、裏手は絹川の
流
(
ながれ
)
はどう/\と、此の
頃
(
ごろ
)
の
雨気
(
あまけ
)
に水増して急に
落
(
おと
)
す河水の音高く
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
暗い夜で、
雨気
(
あまけ
)
を含んだ低い雲の間に、うすい
天
(
あま
)
の
河
(
がわ
)
が微かに流れていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
銀座の大通りは左右のひろい横町もともども見渡すかぎりひっそりしていて、
雨気
(
あまけ
)
を含んだ闇の空と、湿った路の
面
(
おもて
)
に反映するカッフェーや酒場の色電燈が目につくばかりである。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
まだ
何処
(
どこ
)
にか
雨気
(
あまけ
)
が残っておりますなら、向うの
霞
(
かすみ
)
の中でしょうと思いますよ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
暦はもう
卯月
(
うづき
)
に入って、昼間から
雨気
(
あまけ
)
を含んだ暗い宵であった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宗吉はそう
断念
(
あきら
)
めて、
洋傘
(
こうもり
)
の
雫
(
しずく
)
を切って、軽く黒の
外套
(
がいとう
)
の脇に挟みながら、薄い皮の手袋をスッと手首へ
扱
(
しご
)
いて、割合に透いて見える、なぜか、
硝子囲
(
がらすがこい
)
の温室のような気のする、
雨気
(
あまけ
)
と人の香の
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
噛
(
か
)
みたいほどの
雨気
(
あまけ
)
を帯びた辻の風も、そよとも通わぬ。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨気
(
あまけ
)
が深く包みはしたが、どの峰も姿が薄い。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“雨気”の意味
《名詞》
雨が降りそうな空模様、気配。
(出典:Wiktionary)
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“雨”で始まる語句
雨
雨戸
雨滴
雨露
雨風
雨漏
雨傘
雨乞
雨樋
雨垂