閑靜かんせい)” の例文
新字:閑静
かれ夏休なつやすまへから、すこ閑靜かんせい町外まちはづれへうつつて勉強べんきやうするつもりだとかつて、わざ/\この不便ふべん村同樣むらどうやう田舍ゐなか引込ひつこんだのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こゑきくよすがもらざりければ、別亭はなれ澁茶しぶちやすゝりながらそれとなき物語ものがたり、この四隣あたりはいづれも閑靜かんせいにて、手廣てびろ園生そのふ浦山うらやましきものなり、此隣このとなりは誰樣たれさま御別莊ごべつさう
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうしてれからうちあたゝか閑靜かんせい書齋しよさいかへつて……名醫めいゝかゝつて頭痛づつう療治れうぢでもらつたら、ひさしいあひだわたくしはもうこの人間にんげんらしい生活せいくわつないが、それにしても此處こゝじつ不好いやところだ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それから一週間しうかんばかりのうちに、安井やすゐはとう/\宗助そうすけはなしたとほり、學校がくかうちかくの閑靜かんせいところ一戸いつこかまへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あたゝか閑靜かんせい書齋しよさいと、病室びやうしつとのあひだに、なんいのです。』と、アンドレイ、エヒミチはふた。『人間にんげん安心あんしんと、滿足まんぞくとは身外しんぐわいるのではなく、自身じしんうちるのです。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
餘所よそくらべると閑靜かんせいはる支度したくも、御米およねからへば、ねん一度いちどいそがしさにはちがひなかつたので、あるひ何時いつどほり準備じゆんびさへいて、つねよりも簡單かんたんとし覺悟かくごをした宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)