鑑定めきゝ)” の例文
「親分の鑑定めきゝも、人相見ほどには行きませんね、——あの浪人者は、どんなきつかけで増田屋へ入つたと思ひます」
岡倉覚三氏は邦画の鑑定めきゝにかけては、随分鋭い鑑識を持つてゐた人だから、あの人の鑑定つきだったら、三万円位り出す富豪かねもちがあつたかも知れないが
くら意地いぢつてるな、鑑定めきゝむとこれからお茶を立てるんで御広間おひろまかまかゝつてる、おめえにも二三教へた事もつたが、何時いつむやうにして茶碗ちやわんなぞはわかりません
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
鑑定めきゝに來たりし樓の主が誘ひにまかせ、此地に活計たつきもとむとて親子三人みたりが旅衣、たち出しは此譯、それより奧は何なれや、今は寮のあづかりをして母は遊女の仕立物、父は小格子こがうしの書記に成りぬ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
名前がないからわからないけれど、無類の惡筆だつたから、誰の鑑定めきゝにも、お谷がのたくらせたものとわかつた。
お薬師様が刀の鑑定めきゝに下手で、加之おまけに無口だからいやうなものの、しか犬養木堂いぬかひもくだうのやうな鑑定めきゝ自慢で、口汚ない仏様だつたらたまつたものでは無からう。
亭「へい良いお鑑定めきゝいらっしゃいまするな、恐入りました、おおせの通り私共わたくしども仲間の者も天正助定てんしょうすけさだであろうとの評判でございますが、しい事には何分無銘むめいにて残念でございます」
鑑定めきゝたりしろうあるじさそひにまかせ、此地このち活計たつきもとむとて親子おやこ三人みたり旅衣たびごろも、たちいでしは此譯このわけ、それよりおくなになれや、いまりようのあづかりをしてはゝ遊女ゆうぢよ仕立物したてものちゝ小格子こがうし書記しよきりぬ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「八、お前は氣の毒だが、石卷左陣さんを呼んで來てくれ。短刀を鑑定めきゝして頂きたいからつて、宜いか」
と、欧陽詢は百姓の方には見向きもしないで、馬をめたまゝ、じつと石碑の文字に見惚みとれてゐた。馬は幸福しあはせと文字の鑑定めきゝが出来なかつたので、そのにせつせと道つ端の草を食べてゐた。
まづ此方こちらへと、鑑定めきゝをしてもらつもりで、自慢じまん掛物かけもの松花堂しやうくわだう醋吸すすひせいを見せるだらう、掛物かけものだ、箱書はこがき小堀こぼりごんらうで、仕立したてたしかつたよ、天地てんち唐物緞子からものどんすなか白茶地しらちやぢ古金襴こきんらんで。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
本阿彌ほんあみ鑑定めきゝで、僞と知れたのはツイ近頃、——その前に萬一の時の事を五兵衞に相談すると、佩刀を盜まれた落度から僞物と掏り換への罪は、皆んな五兵衞が自分で引受けるから
本阿彌ほんあみ鑑定めきゝで僞物と解り、石川樣へ嚴重なお達しがあつたのだ相でございます
する人ぢやありませんよ。——こればかりは三輪の萬七親分の鑑定めきゝ違ひでせう
「もう宜いよ、相變らず、女の鑑定めきゝだけは確かだ、——ところで男の方は」
あきれ返つた野郎だ。手前はその刀屋の鑑定めきゝを、相手に言はなかつたのか」
俺は近所の醫者へ行つてそれを鑑定めきゝしてもらつて來る間、お前は金入と細紐を持つて行つて、不二屋の女達のうち、誰のものか——本人に訊いちやまづいな、下女のお伊曾に訊いて見るが宜い
「お前の鑑定めきゝが當てになるものか。兎に角行つて見るとしようか」
「うまいな、お前の鑑定めきゝもまんざらぢやないよ」
八五郎が娘の鑑定めきゝにかけてはまさに本阿彌です。
「女の鑑定めきゝにかけては、お前は全く本阿彌ほんあみだ」
「女の鑑定めきゝとなると、お前は大したものだな」
「へエ、親分はそんな鑑定めきゝまでするんですか」
「相變らず、お前は女の鑑定めきゝは早い」