ばり)” の例文
さて、手ぬぐいで顔をふこうとしますと、とめばりがすうっと顔をこすって、おかげで右の耳から左の耳まで、赤いミミズばれができてしまいました。
それをると、一寸法師いっすんぼうしは、れいのぬいばりかたなをきらりといて、ぴょこんとおにまえんで出ました。そしてありったけの大きなこえてて
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしの姿を見た夫人は、室内帽子をかぶった頭を、ばりの先でくと、いきなりわたしに向って、請願書せいがんしょを一通清書してもらえまいかと問いかけた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
いつぞや、加茂かもつつみ蚕婆かいこばばあばりにふかれてその目をつぶされ、いまは黒白あやめもわかたぬ不自由な身となった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またさかなときばりだとか、さかなときもりにも、ほねつのつくつたものでなければやくたないのでありまして、常陸ひたち椎塚すいつかといふ貝塚かひづかからは、たひあたまほね
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかし、つりのほうはまるでおかってがちがうので、いくらおあせりになっても一ぴきもおつれになれないばかりか、しまいにはつりばりを海の中へなくしておしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
この花のおしべがばりのように彎曲わんきょくしてそのやくを花の奥のほうに向けていること
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
や、『あんまり細いので、ぬいばりだとうぬぼれている、かがり針の話』なんかをね
島田虎之助の門下で、大石進の故智を学んで、刀を以てばりを突くの精妙を極めていることも知る人は知るであろうが、ここの見物はそんなことは知らず、米友も無論そんなことは知らず。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
初め、しもりの探りで釣り歩いていたが、教わったとおりにオモリを取り、三寸と二寸の二本ばり、草むらにすわったまま二間半の竿を風に吹かせて流すと、遠くへ流れて人の姿が見えなくなると食う。
江戸前の釣り (新字新仮名) / 三遊亭金馬(著)
蝙蝠こうもりのごとくげあがっていた蚕婆かいこばばあが、呂宋兵衛あやうしと見て、例の妖異よういくちびるから、ふくみばりを吹いたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一寸法師いっすんぼうしたいへんよろこんで、さっそくたび支度したくにかかりました。まずおかあさんにぬいばりを一ぽんいただいて、むぎわらでとさやをこしらえて、かたなにしてこしにさしました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こんどは、ぬいばりが、さっきよりももっとひどく、おまけに頭でないところを、つきさしたのです。
命はこれこれこういうわけで、つりばりをさがしに来たのですとおっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
オランダ人で伝法肌デスペラドといったような男がシェンケから大きなばりを借りて来てこれに肉片をさし、親指ほどの麻繩あさなわのさきに結びつけ、浮標にはライフブイを縛りつけて舷側げんそくから投げ込んだ。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
蚕婆かいこばばあはりにふかれて! あの吹きばりに目をいられて——おいらはとうとうめくらになってしまったんだ……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つぎに、ふたりは、まだねむっているぬいばりのところへいって、その頭をつまんで、主人しゅじんのいすのクッションにつきさしました。それから、とめばりのほうは、主人の手ぬぐいにさしておきました。
いやなつりばり
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)