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野葡萄
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のぶどう
ふりがな文庫
“
野葡萄
(
のぶどう
)” の例文
濁酒に限らず、イチゴ酒でも、
桑
(
くわ
)
の実酒でも、
野葡萄
(
のぶどう
)
の酒でも、リンゴの酒でも、いろいろ
工夫
(
くふう
)
して、酔い心地のよい上等品を作る。
母
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
周囲の木々にからみついている
野葡萄
(
のぶどう
)
の実をとってやったり、彼女たちを面白がらせるために墓石の銘を全部朗唱したり、あるいはまた
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そのうちに、彼は、草庵の前の一本の樹に
絡
(
から
)
んでいる
野葡萄
(
のぶどう
)
の葉蔭から、キラと、自分のほうを睨んでいる二ツの眼に出会った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤に、黄に、紫に、からからに乾いて蝕まれた
野葡萄
(
のぶどう
)
の葉と、枯
蓬
(
よもぎ
)
とが虫の音も絶えはてた地面の上に干からびて縦横に折り重なっていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ずうっと下の方の野原でたった一人
野葡萄
(
のぶどう
)
を
喰
(
た
)
べていましたら馬番の理助が
欝金
(
うこん
)
の切れを首に巻いて
木炭
(
すみ
)
の空俵をしょって
大股
(
おおまた
)
に通りかかったのでした。
谷
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
よつてイザナギの命が御髮につけていた黒い木の
蔓
(
つる
)
の輪を取つてお投げになつたので
野葡萄
(
のぶどう
)
が
生
(
は
)
えてなりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
以前は普通の食事にも食べていたというが、現在はその粉に
蓬
(
よもぎ
)
や
野葡萄
(
のぶどう
)
の葉の干したのを交ぜて、円くしてオヤキに焼き、味噌・砂糖などを附けて食べる。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
大きな
笠
(
かさ
)
の中へ、
野葡萄
(
のぶどう
)
をいっぱい採って来て、そればかり
貪
(
むさ
)
ぼっていたものだから、しまいに
舌
(
した
)
が荒れて、飯が食えなくなって困ったという話もついでにつけ加えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その頭上には
梣
(
とねりこ
)
や
槲
(
かし
)
が、半かけの月光や星の光を、枝葉の隙からわずか
零
(
こぼ
)
し、
野葡萄
(
のぶどう
)
や
木賊
(
とくさ
)
や
蕁麻
(
いらくさ
)
や
芒
(
すすき
)
で、おどろをなしている地面の諸所へ、銀色の斑紋を織っていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
エブコ (
野葡萄
(
のぶどう
)
の如き野草の茎の中に
棲
(
す
)
む虫)を用ゐるものは鮠釣
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そして、餓鬼のように、
野葡萄
(
のぶどう
)
や山
苺
(
いちご
)
を食べ草の
茎
(
くき
)
を噛む。渓流にかがみこんで、小魚や水に
棲
(
す
)
む虫まで口に入れた。血を
摂
(
と
)
るべく食うのである。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左はだらだらの谷で
野葡萄
(
のぶどう
)
や雑木が
隙間
(
すきま
)
なく立て込んだ。路は馬車が
辛
(
かろ
)
うじて通れるぐらい狭い。そこを廻って横手の門から車を捨てて
這入
(
はい
)
ると、眼がすっきりと静まった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
道の一方の、小川が森に流れこむほうの側には、
樫
(
かし
)
や
栗
(
くり
)
の木立に
野葡萄
(
のぶどう
)
の
蔓
(
つる
)
が厚くからみついて、あたりを洞穴のように真暗にしていた。この橋をわたるのは、世にもつらい責苦だった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
野葡萄
(
のぶどう
)
の実は、まだ青かった。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
山野でも、恋する
鹿
(
しか
)
だの、
野葡萄
(
のぶどう
)
に踊るリスだの、動物たちも月夜の生理に浮かされるというが、清盛もなんとなく、やしきにしりがおちつかない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袂
(
たもと
)
にも、
袴
(
はかま
)
にも——辺りの草にも血らしいものはこぼれていない。けれど、眉も眼も苦しげに
塞
(
ふさ
)
いだまま、清十郎の唇は
野葡萄
(
のぶどう
)
のような色をしていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野葡萄
(
のぶどう
)
のような眸は、これを男に濡れさせてみたくなるばかりな
蠱惑
(
こわく
)
をひそめ、なにかに
渇
(
かわ
)
いているらしい唇がその口紅を黒ずませて烈しい
動悸
(
ときめき
)
に耐えている。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木樵
(
きこり
)
や炭焼き小屋を
窺
(
うかが
)
っては、持ちあわせの
物代
(
ものしろ
)
を食に
換
(
か
)
えて来たり、
野葡萄
(
のぶどう
)
だのあけびのツルなども曳いて、かつて
九重
(
ここのえ
)
の大膳寮では見もされぬ奇異な物も
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊織は、
野葡萄
(
のぶどう
)
の
実
(
み
)
へよく来るむささびの顔を覚えている。あの
琥珀色
(
こはくいろ
)
の眼が、草庵から
映
(
さ
)
す
燈
(
ひ
)
のせいか、妖怪のそれのように、怖ろしくぎらぎら光っているのだった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野葡萄
(
のぶどう
)
の幾ツブかを口に入れ、忠顕はその皮を器用に
懐紙
(
かいし
)
へ吐いてくるみながら言った。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山の芋、栗、甘柿、
野葡萄
(
のぶどう
)
、
松茸
(
たけ
)
などの山の
幸
(
さち
)
。もしや野山に
臥
(
ふ
)
しておわせられた
戎衣
(
じゅうい
)
(軍服)の日を思い出られて、珍しくもない物ながら、ふと、おなぐさみにもなろうかと存じまして
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったく
呼吸
(
いき
)
もせずに、そうしていたのであったが、やがて、伊織の眼の力が、彼を、圧伏してしまったものか、
野葡萄
(
のぶどう
)
の葉が、カサと揺れたせつなに、むささびの影はどこへやら消えてしまった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“野葡萄(ノブドウ)”の解説
ノブドウ(野葡萄、学名: Ampelopsis glandulosa var. heterophylla)はブドウ科ノブドウ属に属するつる性落葉低木。藪に多く見られ、都市でも空地などに見られる。地方名でイヌブドウ、カラスブドウともいう。中国名は、異葉蛇葡萄。
(出典:Wikipedia)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
葡
漢検準1級
部首:⾋
12画
萄
漢検準1級
部首:⾋
11画
“野”で始まる語句
野
野原
野暮
野分
野面
野郎
野良
野路
野菜
野茨