)” の例文
あたかなによ、それ畜生道ちくしやうだう地獄ぢごくを、月夜つきようつしたやうなあやし姿すがた板戸いたど魑魅魍魎ちみまうりやうといふのであらうか、ざわ/\とそよ気色けしきだつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこへ持つてくと、売酒郎噲々ばいしゆらうくわい/\が、所謂七の絹で七たびした酒を飲ませたといふ、東山の竹酔館は、表の招牌まねきかんばん
此處こゝ三十へだてなれどもこゝろかよはずは八がすみ外山とやまみねをかくすにたり、はなちりて青葉あをばころまでにおぬひもとにふみつう、ことこまなりけるよし、五月雨さみだれのきばにれまなく人戀ひとこひしきをりふし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにげばさゝうなものだけれど、屋根やね一つとほくにえず、えださす立樹たちきもなし、あの大空おほぞらから、さへぎるものはたゞ麦藁むぎわらで、かつつてはきふくもる……うも雲脚くもあしらない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
珠数屋は「二に曲げて首に懸けるやうな」とは、随分長い珠数を欲しがるものだと、早速そんなのを一つ拵へて持たせてやつた。すると、門左は註文書ちゆうもんがきに違ふと言つて、押し返して来た。
むぐらしげれる宿の寂しきに