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たてひ
ふりがな文庫
“
達引
(
たてひ
)” の例文
「果し
眼
(
まなこ
)
になると、お前でも少しは怖いよ。次第によつては、
達引
(
たてひ
)
いてやらないものでもないが、一體いくらぐらゐ欲しいんだ」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「女中さんは買物に、お
汁
(
みおつけ
)
の実を仕入れるのですって。それから私がお道楽、
翌日
(
あした
)
は田舎料理を
達引
(
たてひ
)
こうと思って、ついでにその分も。」
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中には自分が
達引
(
たてひ
)
いて間夫を泊まらせ、明日の晩たくさん稼ぐから、今夜はタダで遊ばせてよとハッキリ言う女もあるそうな。
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
長く
彼様
(
あん
)
な事をしていても甚藏さんも詰らねえじゃアないか、兄弟分の
友誼
(
よしみ
)
で此の事はいわないと
達引
(
たてひ
)
いて呉れるなら、生涯食える様に百両遣ろうというのだ、百両貰って堅気に成りねえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ええ、そうとも、浪人の、一人や、二人、
達引
(
たてひ
)
く分にゃあ——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
▼ もっと見る
「お前は
卑怯
(
ひけふ
)
だぞ——何んにも知らないお北に生命まで
達引
(
たてひ
)
かせる氣か——あの綺麗な首を
曝
(
さら
)
し臺に載せて眺めるつもりか」
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脛
(
すね
)
を
達引
(
たてひ
)
け、と二三度行ったわ。何じゃねえか、一度お
前
(
めえ
)
、おう、先公、居るかいッて、景気に呼んだと思いねえ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なるほどね。知っていりゃ、自分で儲けて、この俺に
達引
(
たてひ
)
いてくれるか。——有難いね、八、手前の気っぷに惚れたよ」
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後はこの
侘住居
(
わびすまい
)
に、拓と
阿
(
お
)
雪との二人のみ。拓は見るがごとく目を煩って、何をする
便
(
たより
)
もないので、うら若い身で病人を
達引
(
たてひ
)
いて、兄の留守を支えている。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
好い男の若旦那を
達引
(
たてひ
)
かうといふのが、男も女も事を缺かない筈。庄司家の
身上
(
しんしやう
)
が後ろ
楯
(
だて
)
になつて居るから、少しもとを入れても損のしつこはない
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
私
(
わたい
)
が
達引
(
たてひ
)
くから
可
(
い
)
いわ、」といって蝶吉は
仇気
(
あどけ
)
ない顔に極めて老実な色を装った。梓はこれを聞いて、何か気がさしたような様子であったが、
笑
(
わらい
)
に紛らして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「成程ね。知つて居りや、自分で儲けて、この俺に
達引
(
たてひ
)
いてくれるか。——有難いね、八、手前の氣つぷに惚れたよ」
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この店の女房が、東京ものは
清潔
(
きれい
)
ずきだからと、気を利かして、正札のついた真新しい
湯沸
(
ゆわかし
)
を
達引
(
たてひ
)
いてくれた心意気に対しても、言われた義理ではないのだけれど。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「聽いたよ、新造に
達引
(
たてひ
)
かしちやよくねえな。二三日前瀧ノ川の
紅葉
(
もみぢ
)
を見に行つて、財布を
掏
(
す
)
られて、
伴
(
つれ
)
の女達にお茶屋の拂ひまでして貰つたといふ話だらう」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこへ来合せて水銭を
達引
(
たてひ
)
いて、それが御縁となりましたのが、
唯今
(
ただいま
)
の美人です。蝶さんなんだ。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「聴いたよ、新造に
達引
(
たてひ
)
かしちゃよくねえな。二三日前瀧ノ川の
紅葉
(
もみじ
)
を見に行って、財布を
掏
(
す
)
られて、
伴
(
つれ
)
の女達にお茶屋の払いまでして貰ったという話だろう」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
奴なきお夏さんは、
撞木
(
しゅもく
)
なき時の鐘。涙のない恋、戦争のない歴史、
達引
(
たてひ
)
きのない
江戸児
(
えどっこ
)
、江戸児のない東京だ。ああ、しかし
贅六
(
ぜいろく
)
でも可い、私は
基督教
(
キリストきょう
)
を信じても可い。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それより私が
達引
(
たてひ
)
いて、見事に立て過さして上げるから、これを
機
(
しお
)
に足を洗ってお
了
(
しま
)
いよ
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
店前
(
みせさき
)
へ廻ると、「いい話がある、内証だ。」といきなり女房を茶の間へ連込むと、長火鉢の向うへ坐るか坐らないに、「
達引
(
たてひ
)
けよや。」と身構えた。「ありませんわ。」
極
(
きま
)
ってら。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「現に、本人がさう言ひましたよ、——十手捕繩を返上して、此處へ轉げ込んで來る氣はありませんか、見事私は
達引
(
たてひ
)
いて、八五郎親分を、くはへ
楊枝
(
やうじ
)
で過さして見せる——つてね」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
新学士に是非と云って、
達引
(
たてひ
)
きそうな朋輩はないか、と
煩
(
うるさ
)
く尋ねるような英吉に、
厭
(
いや
)
なこった、
良人
(
うちの
)
が手を
支
(
つ
)
いてものを言う大切なお嬢さんを、とお蔦はただそれだけでさえ
引退
(
ひっさが
)
る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
最後にその
三人
(
みたり
)
の
従姉妹
(
いとこ
)
が、頭のもの、帯一本、
指環
(
ゆびわ
)
を一ツ売ったという、二十円
余
(
あまり
)
二月足らずの学資を
達引
(
たてひ
)
いてくれたまでで、あわれ一
人
(
にん
)
は目を煩い、一人は気が狂ったようになり
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元手に稼がうなんて野郎は大嫌ひさ。その代り、
袷
(
あはせ
)
を受出すとか、友達の義理とか、筋の通つた話なら、遠慮することは無い。どかりと持ち込んで來るが宜い。身の皮を剥いでも
達引
(
たてひ
)
くぜ
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お勝はそのために、すつかり人氣が落ちて、弟子も皆んな離れてしまひましたが、常陸屋の大身上が後ろに控へて居るので、勘當された若旦那を
達引
(
たてひ
)
いて離しませんよ。飛んだ貞女で、へツ
銭形平次捕物控:179 お登世の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そら、食いねえは可いが、
燈
(
あかり
)
は
点
(
つ
)
けたそうですけれど、火屋なしの裸火。むんむと
瓦斯
(
がす
)
のあがるやつを、店から引摺って来た、毛だらけの椅子の上へ。
達引
(
たてひ
)
かれたむき身をじわじわ、とやって
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「人の貧乏を感心する奴もねえものだ。お前に
達引
(
たてひ
)
いてくれとは言はねえ」
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金子
(
かね
)
は
為替
(
かわせ
)
で無理算段で返しましたが、はじめての客に帰りの俥まで
達引
(
たてひ
)
いた以上、
情夫
(
まぶ
)
——情夫(苦い顔して)が一度きり
鼬
(
いたち
)
の道では、帳場はじめ、朋輩へ顔が立たぬ、今日来い、明日来い
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄司の一人息子といふ肩書を振り舞はせば、唯で食はせようとする人も、
達引
(
たてひ
)
かうといふ人も、
箒
(
はうき
)
で
掃
(
は
)
くほどある筈です。それをしないのは、人が良いのか、強情なのか、平次でも見當はつきません。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汝
(
てめえ
)
のためならばな、
兜
(
かぶと
)
も
錣
(
しころ
)
も
何
(
なッ
)
ちも
用
(
い
)
らない、そらよ持って行きねえで、ぽんと
身体
(
からだ
)
を投出してくれてやる場合もあります代りにゃ、
女
(
あま
)
の
達引
(
たてひ
)
く時なんざ、べらんめえ、これんばかしの
端
(
はした
)
をどうする
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
達
常用漢字
小4
部首:⾡
12画
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
“達”で始まる語句
達
達磨
達者
達人
達摩
達磨船
達見
達夫
達磨茶屋
達谷