のべ)” の例文
以て此證據の品にもとづき事成就じやうじゆ致すやう深慮しんりよの程こそ願はしとのべければ伊賀亮は欣然きんぜんと打笑ひ左こそ有べし事を分てたのむとあれば義を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其処そこで僕は最早もはや進んで僕の希望のぞみのべるどころではありません。たゞこれめいこれしたがうだけのことを手短かに答えて父の部屋を出てしまいました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それもどんな姿なりにも勘次かんじ義理ぎりのべればそれでもまだよかつたが、勘次かんじめうがひけてそれがのどまでてもおさへつけられたやうでこゑはつすることが出來できなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかしわたくしはここ仔細しさいらしく、わたくしばかりが唯一人、木戸御免ごめんの特権を得ている事について、この劇場とわたくしとの関係やら何やらを自慢らしくのべ立てる必要はないだろう。
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
けれども彼女の周囲の人たちは驚愕きょうがくのあまり狼狽あわててしまって、目の前に展開された恥辱にふるい怒って、彼女から何も知り得ぬさきに、彼女を許すべからざるもののようにのべ立ててしまった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
若し騙したら乃公おれが払う、サアおあがりなさいといって、船頭もれに安心して無理も云わず、ソレカラ私はその下ノ関の男に厚く礼をのべて船を飛出し、地獄に仏と心の中にこの男を拝みました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ひそめあの御方の儀に付ては一朝一夕いつてういつせきのべがたしまづ斯樣々々かやう/\の御身分の御方なりとてつひに天一坊と赤川大膳だいぜんに引合せすなはち御墨付すみつきと御短刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「わしもれ……」とかれかすかにいつたのみで沈默ちんもくつゞけた。かれ内儀かみさんのまへにどうしてものべなければならないことにそのこゝろ惑亂わくらんした。かれはぽうつとしてくらまうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とらしか返答へんたふ致すべしとさも横柄わうへいのべけるに兩人再び驚きしが大膳は聲をはげまし汝天下の御落胤ごらくいんなどとあられもなきいつはりを述べ我々をあざむき此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)