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身慄
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みぶる
ふりがな文庫
“
身慄
(
みぶる
)” の例文
わたくしは光栄という気持ちが浮ぶと同時に、何か企らみのある嫌な暖味がわたくしを襲うので思わず
身慄
(
みぶる
)
いが出そうになるのでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これは
阿呆
(
あはう
)
な子で、学校へ行くのが厭だと云つて居るのですと
老婢
(
らうひ
)
はよく私に教へました。さう云はれます度に私は
身慄
(
みぶる
)
ひがしました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そして再び
身慄
(
みぶる
)
いに襲われた。なぜならば、
﨟
(
ろう
)
やかに化けた
女狐
(
めぎつね
)
のように——草の根に
顫
(
おのの
)
いていた女は、野で見るには、余りに美しい。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「遠い昔の新婚旅行の晩、………彼が顔から近眼の
眼鏡
(
めがね
)
を
外
(
はず
)
したのを見ると、とたんにゾウッと
身慄
(
みぶる
)
いがしたこと」も事実であり
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いま日本全国の金持ちどもは、俺の名を聞くと
身慄
(
みぶる
)
いしている。仮面強盗という名をきいただけで、全国の金持ちどもは慄えあがっている。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
茫然としていると、雨に打れて見る間に濡しょぼたれ、
怕
(
おそ
)
ろしく寒くなる。
身慄
(
みぶる
)
い一つして、クンクンと親を呼んで見るが、何処からも出て来ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
三等車の中に立ちこめていた生のにおいの彼女に与えた不思議な
身慄
(
みぶる
)
い、——それらのものが一どきによみ返った。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
思ひ出しても、
身慄
(
みぶる
)
ひのするあの頃——朝から晩まで、ひつきりなしの銃声、馬の蹄の音、負傷兵をのせた担架の
往
(
ゆ
)
き
来
(
き
)
、窓をかすめる飛行機の翼の影……。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
僕は父親のある極悪非道な
目論見
(
もくろみ
)
を想像して
身慄
(
みぶる
)
いした。あれは僕に顔を見られることさえ恐れているのだ。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
宿のお内儀はそこで恐ろしそうにブルブルッと
身慄
(
みぶる
)
いした。大隅学士は唇を堅く噛んで、無言で
突立
(
つった
)
っていたが、彼は何か重大な決心を堅めているようであった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
薄暗い中に坐っていたものの幾人かが、ブルッと
身慄
(
みぶる
)
いをして、自分たちの肩を撫でおろしました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さすがの熊城も、その思わず眼を覆いたいような光景を想起して、ブルッと
身慄
(
みぶる
)
いしたが、「しかし、易介は自分からこの中に入ったのだろうか。それとも犯人が……」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
神を怖れなかつたソクラテスも、女の舌だけは
身慄
(
みぶる
)
ひして
怖
(
こは
)
がつたといふが、その女のなかで一番皮肉な、
啄木鳥
(
きつつき
)
のやうな舌を持つてゐるのが婆芸者といふ一階級である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
次に
行
(
い
)
ったのは二番目の娘であったが、此娘は姉様より更に
臆病
(
おくびょう
)
なので、森林の側まで行くか行かぬに早や
身慄
(
みぶる
)
いがし矢張り姉様と同じ様な狡猾い事を考え、一目散に家に帰って来た。
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
十三枚目には、青い線が殊に
身慄
(
みぶる
)
いしたように曲折している。
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ローラは突然
身慄
(
みぶる
)
いをした、が声だけは慄えずに言った
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
水に浸されて
身慄
(
みぶる
)
ひする梢の繁り
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
とお
睨
(
にら
)
み廻しになるあなたの顔が目に見えて
身慄
(
みぶる
)
ひをすると云ふのです。または自身達の
散
(
ちら
)
して置いた
塵
(
ちり
)
でなくても
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
あの遠い昔の新婚旅行の晩、私は寝床にはいって、彼が顔から近眼の
眼鏡
(
めがね
)
を
外
(
はず
)
したのを見ると、とたんにゾウッと
身慄
(
みぶる
)
いがしたことを、今も
明瞭
(
めいりょう
)
に思い出す。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と彼は
身慄
(
みぶる
)
いして飛び退こうとしたが、
袴
(
はかま
)
の裾は床から伸ばした兄の手にかたく掴まれてしまっていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
梟
(
ふくろう
)
に
脅
(
おど
)
かされた
五位鷺
(
ごいさぎ
)
だと牧瀬はいつた。歳子の襲はれさうになる恋愛的な気持ちを防ぐ本能が、かの女にぶる/\と
身慄
(
みぶる
)
ひをさして、その気持ちを振り落さした。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
殖えたところ? 夫の不思議な言葉に、あたしはまた
身慄
(
みぶる
)
いをした。あたしをどうするつもりだろう。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さっきの若い
喀血患者
(
かっけつかんじゃ
)
のような無気味なほど大きな眼でこちらを最初誰だか分からないように見るのではないかと考えながら、そんな自身の考えに思わず
身慄
(
みぶる
)
いをした。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ああ、どこまで
執念深
(
しゅうねんぶか
)
い男であろうとお豊は
身慄
(
みぶる
)
いを止めることができません。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
検事もブルッと
身慄
(
みぶる
)
いして
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
なんだか非常に恐ろしいことを手伝っているような気持がして、彼は思わずブルブルと
身慄
(
みぶる
)
いした。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……まして
貴方
(
あなた
)
のような
女々
(
めめ
)
しい男、お通は、嫌いも嫌い、
身慄
(
みぶる
)
いの出るほど嫌いでございます
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、むす子も、かの女のした通り、一度眼を瞑って、ぱっと開いて、その花を見入った。二人に
身慄
(
みぶる
)
いの出るほど共通な感情が流れた。むす子は、太く
徹
(
とお
)
った声でいった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼女にはそれが自分にこれから返されようとしかけている生の懐しい匂の前触れでもあるかのような気がされた。彼女はそう思うと、その胸苦しさも忘れ、何か不思議な
身慄
(
みぶる
)
いを感じた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
指でわたくしの後頭部の髪の毛を掻き分けながら熱い涙をわたくしの
鬢
(
びん
)
に滴らしたり、それはわたくしに
身慄
(
みぶる
)
いの出るほど嫌なものを感じさせるだけに、わたくしを途方に暮れさせる所作でした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぞっと、
身慄
(
みぶる
)
いを覚えた時、わしは
一瞬
(
いっとき
)
に世の中が
厭
(
いや
)
になった。所詮、この世というものは、学識ある者も、教養のない者も、食える者も、食えない者も、一様に皆つづまるところ
餓鬼
(
がき
)
の寄合いか。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おおッ——」と半之丞は、電気に觸れたように
身慄
(
みぶる
)
いした。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
むす子は母親の眼の前に現実を突きつけるように意地悪く云い放ちながら、握った手では母親の怯えの
脉
(
みゃく
)
をみていた。かの女には独りで異国に残るむす子の悲壮な覚悟が伝わって来て
身慄
(
みぶる
)
いが出た。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
軽い
身慄
(
みぶる
)
いと共にその時を待った。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
宗教などという
黴臭
(
かびくさ
)
いと思われるものに関る気はないし、そうかといって、夫人のいったまこととかまごころとかいうものを突き詰めて行くのは、安道学らしくて
身慄
(
みぶる
)
いが出るほど、
怖気
(
おぞけ
)
が振えた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かの女は
身慄
(
みぶる
)
いが出るほど
嬉
(
うれ
)
しくなる。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
慄
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“身”で始まる語句
身体
身
身上
身装
身扮
身體
身動
身長
身代
身悶