“路頭(ろとう)” の例文
今、黒川にどうかなってしまわれると、せっかく息をふきかえした、新興ミマツ曲馬団の全員が、また路頭(ろとう)に迷わなければならない。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
渠(かれ)は路頭(ろとう)の乞食(こつじき)の如(ごと)く、腰を屈(かが)め、頭を下げて、憐(あわれみ)を乞えり。されどもなお応ずる者はあらざりしなり。盲人(めしい)はいよいよ途方(とほう)に暮れて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
邪魔(じやま)に致(いた)し罪(つみ)なき者に罪を着(き)せ離縁(りえん)仕つりしにより私し共路頭(ろとう)に迷(まよ)ひ候を村内の者共達(たつ)て勸(すゝ)めに任(まか)せ里儀を惣内妻に致(いた)候夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかもその金を受け取らないとなれば、わたしばかりか一家のものも、路頭(ろとう)に迷うのでございます。どうかこの心もちに、せめては御憐憫(ごれんびん)を御加え下さい。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただ心がかりは娘のことで、父をうしなって路頭(ろとう)に迷うであろうから、素姓の知れない捨子を拾ったとおもって面倒をみて、成長の後は下女にでも使ってくれと頼んだ。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
若(も)しミツシヨンより金を貰(もら)ふ事(こと)が精神上(せいしんじやう)彼(かれ)と彼(かれ)の教会(けうくわい)の上に害(がい)ありと信(しん)ずれば直(たゞち)に之を絶(た)つにあり、我れ饑(う)ゆるとも可なり、我の妻子(さいし)にして路頭(ろとう)に迷(まよ)ふに至るも我は忍(しの)ばん
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
全てが一家族のような小さな村にも路頭(ろとう)に迷って死を求める人がある、都会の自殺には覇気(はき)がありむしろ弾力もある生命力が感じられるが、この山奥の自殺者の無力さ加減
禅僧 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
洛中(らくちゆう)の民はさながら狂(きやう)せるが如く、老を負ひ幼を扶けて火を避くる者、僅の家財を携へて逃ぐる者、或は雜沓(ざつたふ)の中に傷(きずつ)きて助けを求むる者、或は連れ立ちし人に離れて路頭(ろとう)に迷へる者
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
トヾの結局(つまり)が博物館(はくぶつくわん)に乾物(ひもの)の標本(へうほん)を残(のこ)すか左(さ)なくば路頭(ろとう)の犬(いぬ)の腹(はら)を肥(こや)すが世(よ)に学者(がくしや)としての功名(こうみやう)手柄(てがら)なりと愚痴(ぐち)を覆(こぼ)す似而非(えせ)ナツシユは勿論(もちろん)白痴(こけ)のドン詰(づま)りなれど、さるにても笑止(せうし)なるは世(よ)の是(これ)沙汰(さた)
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
路頭(ろとう)の子(こ)
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなわけで、逃げ出したような、逐い出されたような形で、劉家を立ち退いたのでございますが、どこへ行くという目的(めあて)もないので、こうして路頭(ろとう)に迷っているのでございます
大岡越前守殿(おほをかゑちぜんのかみどの)是を聞(きか)れコリヤ九郎兵衞云願書の趣(おもむ)きにては嘸(さぞ)かし無念(むねん)に有ん如何にも不便のことなり女房深(ふか)も一人の子息(しそく)を殺され老行(おいゆく)夫婦の路頭(ろとう)に迷(まよ)ふは後世の杖を奪(うばは)れ嬰兒(えいじ)の乳房(ちぶさ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)