資本しほん)” の例文
其のうち僕は三百円しか頂戴せんじゃねえか、だから千や二千の資本しほんを貸して、僕の後立うしろだてになっても君が腹の立つ事は少しもあるめえ
叔母をば自分じぶんとほりが、宗助そうすけ本當ほんたうけられないのをにするやうに、安之助やすのすけからした資本しほんたかまではなした。それは五千ゑんほどであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「少し資本しほんが続けば、この土地でもずいぶん利益の上る事業があるんじゃが、資本を自由に出してわしに任せてくれる者がないからちっとも実行ができん」
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
たゞし、資本しほんは一めんいておほいに國家的こくかてきであるから國際戰爭こくさいせんさうおこり、したがつてまた國家的こくかてき社會主義者しやくわいしゆぎしやもあり、コスモポリタンにざる心理しんりはたらきがそこにる。
なんゆへに、婬賣いんばい女につみおこな資本しほんりながら、香水料こうすいりよう慈惠じけいせしや、なんゆへ少娘むすめ困厄こんやくせしめし惡漢あくかんをうちひしぐなどの正義せいぎありて、しかしておのみづかひところすほどの惡事あくじせしや
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
読者諸君でもし料亭の名が『資本しほん』など、をかしいとお思ひになつたとすれば、それは諸君が野暮天であり、少くとも粋な御仁でない、玄関で下駄をぬぐのを中止して、もう一度表門へ引返し
小熊秀雄全集-15:小説 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
ふり否々いや/\然に非ず此は此程手土産てみやげにても持參すべきなれども其代りに進ぜるなりと種々申て漸々やう/\受納うけをさめさせなほ靱負ゆきへは申樣我等未だ少々の資本しほんもあれば何ぞ一目論見もくろみ致し度思ふなり何と金貸渡世かねかしとせいは如何有らんと相談さうだんなせば主はおどろき御身何程の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
資本しほんはいよ/\ます/\コスモポリタンとなりつゝある。ジエー・エス・ミル。
あれをやって損をしたからと云って、今度はれをやると又損をして、つい資本しほんなくすような始末で、仕方がないから店をしまって、八丁堀亀島町はっちょうぼりかめじまちょう三十番地に裏屋住うらやずまいをいたして居りますと
自分じぶん幾分いくぶんかの資本しほんんで、一所いつしよ仕事しごとをして見樣みやうといふかんがへになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
資本しほんがコスモポリタンとなれば勞働らうどうもコスモポリタンになるはずである。資本しほん勢力せいりよく資本しほん搾取力さくしゆりよくがコスモポリタンになれば、それに對抗たいかうする勞働運動らうどううんどうおなじくコスモポリタンになるはずである。