話柄わへい)” の例文
二六新報の計画した娼妓自由廃業の運動はこの時既に世人の話柄わへいとなっていたが、遊里の風俗はなお依然として変る所のなかった事は
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
奈美子なみこしろきれあたまをくる/\いて、さびしいかれ送別そうべつせきにつれされて、別室べつしつたされてゐたことなぞも、仲間なかま話柄わへいのこされた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
本編雪のほかの事をのせたるは雪譜せつふの名をむなしうするにたれども、しばらくしるして好事かうず話柄わへいす。増修そうしうせつまたしかり。
私はこの発見を、我々の毎日の話柄わへいとなっていた、あの紳士泥坊の一件と結びつけて、一芝居打って見ようと、下らぬいたずらを思いついたのであった。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
本編雪のほかの事をのせたるは雪譜せつふの名をむなしうするにたれども、しばらくしるして好事かうず話柄わへいす。増修そうしうせつまたしかり。
こういう場合の通例として身もと調べから話がはずみ、さてそれから商売の方へ、話柄わへいが開展するものである。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一座は此遊の可笑をかしき話柄わへいを得たりとて打ち興じ、杯を擧げて、此迷失兒まよひごの健康を祝しつ。こゝの葡萄酒はいと旨きに、人々醉を帶び、歡をつくして分れぬ。
ほど近くなれば近き頃の横浜の大火乗客の話柄わへいを賑わす。これより急行となりたれば神奈川鶴見などは止らず。夕陽海に沈んで煙波ようたる品川の湾に七砲台おぼろなり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかれどもかくごときはたゞ一部、一篇、一局部の話柄わへいとゞまるのみ。其実そのじつ一般の婦人が忌むべく、恐るべき人生観は、婚姻以前にあらずして、其以後にあるものなりとす。
愛と婚姻 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また、めじという小さなのがあるが、これはその味わいもまぐろの感じよりかつおに近く、これを賞美する方も、その感じで食っているからまぐろとしての話柄わへいから除く。
鮪を食う話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
八重山やえやま石垣島いしがきじまのニイルピトゥの来訪という事は、今からもう三十何年か前に、『海南小記』において注意せられてから、何度ともなくすでに世上の話柄わへいにはなったが、その根源を尋ねてゆく
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
伊沢分家の口碑は蘭軒歿時の話柄わへい二三を伝へてゐる。蘭軒の姉正宗院しやうそうゐんは溜池より来て、弟の病牀に侍してゐた。ついで弟の絶息した後、来弔の客を引見した。蘭軒の門人某の父が来て痛惜の情をべた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
日本のレコード界の一つの話柄わへいでさえあった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
と、話柄わへいに残っている事がある。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱暴極まる話柄わへいを持っていた。
然し活動写真は老弱ろうにゃくわかちなく、今の人の喜んでこれを見て、日常の話柄わへいにしているものであるから、せめてわたくしも
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ゆゑに吾が不学ふがくをもわすれて越雪ゑつせつ奇状きぢやう奇蹟きせきを記して後来こうらいしめし、且越地ゑつちかゝりし事はしばらのせ好事かうず話柄わへいとす。
今年の英国科学会ブリティッシュアソシエーションの総会でホイルという動物学者が講演した章魚や烏賊の類に関する研究の結果中で吾々素人しろうとにも面白く思われる二、三の事実を夜長の話柄わへいにもと受け売りをしてみよう。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ゆゑに吾が不学ふがくをもわすれて越雪ゑつせつ奇状きぢやう奇蹟きせきを記して後来こうらいしめし、且越地ゑつちかゝりし事はしばらのせ好事かうず話柄わへいとす。
文壇すでにかくの如しとすれば、長屋の嬶が日常の話柄わへいとしている人の噂もあながち責むるには当るまい。男ならば外へ出て遊ぶところもあれば話をする友達もある。
独居雑感 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これらの事雪譜の名には似気にげなきべんなれど本文小千谷をぢやのはなしにおもひいだしたれば人の話柄わへいしるせり。
これらの事雪譜の名には似気にげなきべんなれど本文小千谷をぢやのはなしにおもひいだしたれば人の話柄わへいしるせり。