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ふりがな文庫
“
蔵
(
ぞう
)” の例文
旧字:
藏
というのがこの人の口癖であって、優しい容貌のうちに烈しい気性を
蔵
(
ぞう
)
し、武家政治の時流に、
鬱勃
(
うつぼつ
)
たる不平を抱いているらしかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女
(
かれ
)
は
此
(
こ
)
の岩穴の
中
(
うち
)
に何等かの暗い秘密を
蔵
(
ぞう
)
しているので、
其
(
そ
)
の発覚を恐れて
斯
(
かか
)
る兇行を企てたに相違ない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
否
(
いな
)
、否、私のあの血みどろな小説は、私の心に深き恨みを
蔵
(
ぞう
)
していたからこそ書けたとも云えるのだ。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女はむかしのままの
一筋
(
ひとすじ
)
の真心をもってわたしを愛してくれるのに、このような
分裂
(
ぶんれつ
)
した気持ちを胸に
蔵
(
ぞう
)
し、表面だけとりつくろっているのは
罪
(
つみ
)
であると思いました。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
目には誠忠の光を
湛
(
たた
)
え口元には知勇の色を
蔵
(
ぞう
)
す、威風堂々としてあたりをはらって見える。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
橘屋
(
たちばなや
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
は、八百
蔵
(
ぞう
)
に
生
(
い
)
き
写
(
うつ
)
しだなんて、つまらねえお
世辞
(
せじ
)
をいわれるもんだから、
当人
(
とうにん
)
もすっかりいい
気
(
き
)
ンなってるんだろうが、八百
蔵
(
ぞう
)
はおろか、八百
屋
(
や
)
の
丁稚
(
でっち
)
にだって
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
空前の土木工事にはちがいないが、かの
堰堤
(
ダム
)
はいかなる秘密を
蔵
(
ぞう
)
しているのであろうか。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
然
(
しか
)
るに支那にしてもし今の状態を永く続けるならば、その間には
虎視眈々
(
こしたんたん
)
として、野心を
蔵
(
ぞう
)
し功名心を有する列強が、その機に乗じて種々なる暗中飛躍を試みることになるかも知れぬ。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
日本ラインにもかつて見なかったその
水色
(
すいしょく
)
のすさまじさは、まことに
深沈
(
しんちん
)
たる冷徹そのものであった。山中において恐らくいかなる湖面といえどもこれほどの水深を
蔵
(
ぞう
)
する凄みは
少
(
すくな
)
いであろう。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
二つのカンテラが一間ばかりの距離に近寄った時、待ち受けたように、自分は掘子の顔を見た。するとその顔が非常な
蒼
(
あお
)
ん
蔵
(
ぞう
)
であった。この坑のなかですら、
只事
(
ただごと
)
とは受取れない蒼ん蔵である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「壺中の小天地、大財を
蔵
(
ぞう
)
す——あけてみるのが楽しみだな」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どっしりとしていて鋭敏なものを
蔵
(
ぞう
)
していると思える。
紫式部:――忙しき目覚めに
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そうしたら深い谷々を
蔵
(
ぞう
)
している
荒山
(
あらやま
)
も、1080
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
龍の
玉
(
たま
)
深く
蔵
(
ぞう
)
すといふことを
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
数十本
蔵
(
ぞう
)
してあろうとは。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
足利方の大将
山名時氏
(
やまなときうじ
)
の家来で、
漆間
(
うるしま
)
蔵
(
ぞう
)
六という者だった。蔵六の顎にも霜が生えていた。五十がらみの武者である。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泰軒は泰軒でまた胸に一
物
(
もつ
)
を
蔵
(
ぞう
)
している。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初笑深く
蔵
(
ぞう
)
してほのかなる
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「情けないことかな、それ英雄とは、大志を抱き、
万計
(
ばんけい
)
の妙を
蔵
(
ぞう
)
し、行って
怯
(
ひる
)
まず、時潮におくれず、宇宙の気宇、天地の理を体得して、万民の指揮にのぞむものでなければならん」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——原士の屋敷はすべてだが、お前の屋敷も旧家でかなり広かった。わしは畳代えの職人で、名前はかりに六
蔵
(
ぞう
)
といっていた。あの奥の十八畳の部屋、十二畳の客間、六畳の茶の間、十畳の書院」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふいに、
物陰
(
ものかげ
)
から躍り出て、
漆間
(
うるしま
)
蔵
(
ぞう
)
六が前に立った。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蔵
常用漢字
小6
部首:⾋
15画
“蔵”を含む語句
土蔵
秘蔵
西蔵
蔵匿
武蔵
虚空蔵
家蔵
蔵人
大蔵
御蔵
石地蔵
腹蔵
蔵人所
酒蔵
蔵人頭
店蔵
土蔵造
仲蔵
貯蔵
西蔵犬
...