ちょう)” の例文
ハツカネズミばかりかちょうづめまでが、小鳥にいってきてくれとしきりにたのみましたが、小鳥はなんとしてもききいれませんでした。
そのなかで八津の死はいちばんみんなを悲しませた。急性ちょうカタルだった。家のものにだまって、八津は青いかきの実をたべたのである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
そして遥かに、呉の陣を見わたすと、長江の支流は百ちょうのように曠野こうやを縦横にうねり、その一つの大きな江には数百艘の兵船が望まれる。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船の所蔵品をしらべると、ビスケット、ハム、ちょうづめ、コーンビーフ、魚のかんづめ、野菜やさい等、倹約けんやくすれば二ヵ月分はある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
ソレと同時にその歳の二月頃であったが、緒方の塾の同窓、私の先輩で、かねて世話になって居た加州の岸直輔きしなおすけと云う人が、ちょう窒扶斯チブスに罹って中々の難症。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
うらむような、泣くような、ちょう千切ちぎれるような哀調あいちょうをおびた楽の音であった。来会者の中には、首すじがぞっと寒くなり、思わずえりをかきあわす者もいた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかも妻があなたに不審を起させた通り、ほとんど同時といっていいくらいに、前後して死んだのです。実をいうと、父の病気は恐るべきちょう窒扶斯チフスでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちに、こんどは諭吉ゆきちちょうチフスにかかりました。それは、適塾てきじゅくあにでしであるきしというひとが、ちょうチフスにかかったのをかんびょうしていて、うつったのでした。
医師に掛かると、傷寒しょうかんの軽いのだということだったが、今日でいえばちょうチブスであった。お医師いしゃは漢法で柳橋やなぎばしの古川という上手な人でした。前後二月半ほども床にいていました。
それなら、人間にんげんちょうチブスがかねにうつるということもあるはずだし、人間にんげんのジフテリヤがかねにうつるということもあるはずである。それじゃかね病院びょういんたなければならないことになる。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
国家か、何ものぞ。法律か、何の関係ぞ。習慣しゅうかん、何の束縛そくばくぞ。彼等は胃の命令と、ちょうの法律と、皮膚ひふの要求と、舌頭の指揮と、生殖器の催促さいそくの外、何のしばらるゝ処がない。彼等は自然力其ものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこで、まえにちょうづめがやったように、なべのなかにはいって、おかゆのなかをころがりまわって、あじをつけようと思ったのです。
「田舎にひき籠ってからは、とんと美食に馴れぬせいか、たまたま食べつけぬものをいただくとちょうを驚かせて、かならず工合がわるうなるので」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは博士の論文にある人間の最小整理形体さいしょうせいりけいたいです。つまり二つある肺は一つにし、胃袋は取り去ってちょうに接ぐという風に、極度の肉体整理を行ったものです。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
付記 名犬フハンは、いたるところ市民のごちそうを受け、そのために一時はちょうをわずらいしが、ほどなく全快、いまは数十頭の子を生んで、しごく強健きょうけんに暮らしている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そのまえのとし明治めいじ三(一八七〇)ねん諭吉ゆきちは、いのちにかかわるようなちょうチフスにかかりました。まだすっかりなおりきらないからだで、東京とうきょうへおかあさんをよぶために、中津なかつへでかけました。
所で明治三年ひどちょう窒扶斯チフスわずらい、病後の運動には馬に乗るのが最もよろしいと、医者も勧め朋友も勧めたので、その歳の冬から馬にのって諸方を乗廻のりまわり、向島と云う処も始めて見れば、玉川辺にも遊び
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ハツカネズミは水をくんで、火をおこし、おぜんごしらえをするやくめです。それから、ちょうづめはたきをすることになっていたのです。
この見事なる幅広の大ちょうが、ステッキよりももっと長い、百C・Mツェーエムもリンゲル氏液の入った太いガラス管の中で、活撥な蠕動をつづけているということであった。
生きている腸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
といっても、腹からは血がながれてくるわけでもなく、ちょうがとびだしてくるわけでもなく、腹の中には、ぎっしりとこまかい器械が、すきまなく、つまっていた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この下ばたらきの女は、ちょうづめをこしらえる用意よういとして、豚のを小さい容器いれものける役目やくめなのです。
生理学の教科書を見れば、リンゲル氏液の中で生きているモルモットのちょう、兎のちょう、犬のちょう、それから人間のちょうなど、うるさいほどたくさんに書きつらなっている。
生きている腸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
次はS大学の工科教授室の連中が、悪性あくせいちょうチブスでみな死ぬし、第三番目には先月、鉄道省の技術官連が大島旅行をしたときに、汽船爆沈で大半たいはん溺死できししましたし、これで四度目です。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
標本としても生きているちょうは、そう珍らしいものではない。
生きている腸 (新字新仮名) / 海野十三(著)