肉體にくたい)” の例文
新字:肉体
間斷かんだんなく消耗せうまうして肉體にくたい缺損けつそん補給ほきふするために攝取せつしゆする食料しよくれうは一わんいへどこと/″\自己じこ慘憺さんたんたる勞力らうりよくの一いてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おゝ、御坊ごばう、をしへてくだされ、この肉體にくたいのあたりに、わし醜穢けがらはしい宿やどってゐるぞ? さ、をしへてくだされ、そのにく居所ゐどころ切裂霧さいてくれう。
時々とき/″\とほくから不意ふいあらはれるうつたへも、くるしみとかおそれとかいふ殘酷ざんこくけるには、あまりかすかに、あまりうすく、あまりに肉體にくたい慾得よくとくはなぎるやうになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ、そのときつたのは自分じぶんこゝろ自分じぶん肉體にくたいかぎりないさびしさであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
むしあひはんした放縱はうじう日頃ひごろ自然しぜん精神せいしんにも肉體にくたいにも急激にはか休養きうやうあたへたのでかれ自分じぶんながら一はげつそりとおとろへたやうにもおもはれて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あのやうな可憐いとしらしい人間にんげん肉體にくたいにすら夜叉やしゃたましひ宿やどらせたなら
苟且かりそめにも血液けつえき循環じゆんくわん彼等かれら肉體にくたい停止ていしされないかぎりは、一たんこゝろうつつたをんな容姿かたち各自かくじむねから消滅せうめつさせることは不可能ふかのうでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)