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美姫
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びき
ふりがな文庫
“
美姫
(
びき
)” の例文
客は
酌人
(
しゃくにん
)
の
美姫
(
びき
)
へ手をふった。赤ら顔は酒のせいばかりではない。肥っていてよく光る皮膚にボツボツと黒い脂肪が
滲
(
にじ
)
み出している。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あらゆる
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
に
飽
(
あ
)
いた身を宮殿をしのぐような
六波羅
(
ろくはら
)
の邸宅の
黄金
(
こがね
)
の床に横たえて、
美姫
(
びき
)
を集めて
宴楽
(
えんらく
)
にふけっております。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それから、加賀百万石を
禄高
(
ろくだか
)
がしらの三百諸侯、つづいて
美姫
(
びき
)
千名と注された、いずれ劣らぬ美形たちのお局、腰元、お女中の一群でありました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
周の
穆王
(
ぼくおう
)
が美少年
慈童
(
じどう
)
の、紅玉を薄紙で包んだような、
玲瓏
(
れいろう
)
とした容貌を眺めた時、後室三千の
美姫
(
びき
)
麗人
(
れいじん
)
が、
芥
(
あくた
)
のように見えたということである。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ウム、何かと云ふと、直ぐ元老が呼び出されるので、
兎
(
と
)
てもかなはん——只だ
美姫
(
びき
)
の
幸
(
さいはひ
)
に我労を慰するに足るものありぢや、ハヽヽヽヽ、なア浜子」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
深窓の
美姫
(
びき
)
、
紅閨
(
こうけい
)
の
艶姐
(
えんそ
)
、
綾羅錦繍
(
りょうらきんしゅう
)
の
袂
(
たもと
)
を揃えて、一種異様の勧工場、六六館の婦人慈善会は冬枯に時ならぬ
梅桜桃李
(
ばいおうとうり
)
の花を咲かせて、
暗香
(
あんこう
)
堂に
馥郁
(
ふくいく
)
たり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また、事実、手にも入れていた。かれはサルタンの後宮にも比すべき数十人の恋人があった。電話一本で、いつでもはせ参ずる
美姫
(
びき
)
の群れを所有していた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
池田屋と云って分らなければ、
此
(
こ
)
のお嬢さんの住んで居る店だと云ったら、多分知らない者はあるまい。己の信ずる所によると、内のお嬢さんは、銀座
街頭
(
がいとう
)
第一の
美姫
(
びき
)
なのだから。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は
美姫
(
びき
)
なり、この世の美くしさにあらず、天国の美くしさなり、死にも笑ひ、生にも笑ふ事を得る美姫なれども、相争ひ相傷くる者に遭ひては、
万斛
(
ばんこく
)
の紅涙を惜しまざる者なり。
最後の勝利者は誰ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
例の白蓮女史
失踪
(
しっそう
)
事件があり、彼女の生活の豪華であったことが、知らぬものもないというほどであり、和歌集『
踏絵
(
ふみえ
)
』を出してから、その物語りめく
美姫
(
びき
)
の情炎に、世人は魅せられていたからだ。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
朝
(
あした
)
に
美姫
(
びき
)
の肩の
柳絮
(
りゅうじょ
)
を払い、
夕
(
ゆう
)
べに
佳酒
(
かしゅ
)
を
瑠璃杯
(
るりはい
)
に盛って管絃に酔う耳や眼をもっては、忠臣の諫言は余りにもただ苦い気がした。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さようじゃ。城中第一の
美姫
(
びき
)
、まだつぼみのままじゃが、所望ならば江戸へのみやげにつかわしてもよいぞ」
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いや関東の女こそ、肌も荒ければ気性も荒く、申して見ますれば癖の多い刎馬——そこへ行きますと木曽美人、これは昔から有名で、巴御前、山吹御前、ああいう
美姫
(
びき
)
も出て居ります。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
後宮の
美姫
(
びき
)
三千とはいわない。けれど、一笑すれば
百媚
(
ひゃくび
)
生ず、といえるぐらいな美人は何人かある。侍女老女まで入れると、その数も桃園の桃より多い程だ。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後宮もかずあるうえになお、二条家の
美姫
(
びき
)
栄子を
女御
(
にょご
)
に入れたのもごく近ごろのことである。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
艶
(
なま
)
めかしい
美姫
(
びき
)
と愛くるしい
女童
(
めわらべ
)
が、董卓にかしずいて、玉盤に洗顔の温水をたたえて捧げていたが、秘書の
李儒
(
りじゅ
)
がはいって来たのを見ると、目礼して、遠い化粧部屋へ退がって行った。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠くは木曾
信濃
(
しなの
)
の群山、広くは東方にわたる武蔵野の原、帯と曳く多摩川の長流、あるいは清麗な
美姫
(
びき
)
が
蚊帳
(
かや
)
にかくれたような夜の富士の見られないこともありますまいが、月江は勿論
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
容貌のまずい
醜男
(
ぶおとこ
)
にも、世の
美姫
(
びき
)
たちが、いかに
媚
(
こ
)
び、いかにひざまずいて、愛を求め争うかを、示してやる。——と思って、むしろそれは、自分を励ます
鞭
(
むち
)
として、いつも心に帯びているのだ。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを王宮といえば、後宮三千の
美姫
(
びき
)
、金銀財宝の山を想像させるような、朝威を形づくったから、何遍だって
滅
(
ほろ
)
ぶのだ。当然
痩土
(
そうど
)
の
飢
(
き
)
民の眼からは、常にそこは大きな物質の対照にされるだろう。
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美姫
(
びき
)
玉杯をつらねて臨座をお待ちすると云いやった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「非常な
美姫
(
びき
)
をお
伴
(
つ
)
れになったそうですな」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
姫
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“美”で始まる語句
美
美味
美貌
美濃
美人
美作
美事
美麗
美女
美々