立山たてやま)” の例文
今度、立山たてやまにも同じような設備をつくりたいという。その話は別問題として、白馬岳の山小舎には一泊十円の部屋があるという。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
立山たてやま御嶽おんたけ、修行にならば這摺はいずっても登りますが、秘密の山を人助けに開こうなどとはもっての外の事でござる。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして自ら朝鮮を侵略して行ったこのさる英雄は一度でそれが懲らしうるつもりで、まず二十六人の「侵略者」を長崎の立山たてやま磔刑はりつけにし、虐殺の先鞭せんべんをつけた。
それから越中の立山たてやま——ごらんなさい、あの雄大な、あの険峻けんしゅんな一脈が、あれが立山連峰でございます。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
北アルプスや立山たてやまを踏破してきた身には、何でもありませんが、割合に奥行きが深くて、どこまでいっても山脈やまなみが尽きないのです。松や杉の木立が、鬱蒼うっそうしげっています。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
それから西へ廻って越中の立山たてやま権現、加賀の白山はくさん権現ともお出あいなされて、つごう三箇所の境がきまり、それから後は七年に一度ずつ、諏訪から内鎌ないがまというものが来て
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
夷灊いしみ館山たてやま素藤もとふじの居城)というは今も同じ地名の布施村や国府台こうのだいに近接する立山たてやまであろう。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
へん、こけが六十六部に立山たてやまの話でも聞きやしめえし、頭からおどかしを食つてたまるものかえ。これやい、眠む気ざましにや勿体無えが、おれの素性すじやうを洗つてやるから、耳の穴を
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの遠く一塊の白い雲の下にあたる真白いのが立山たてやまである事、遥かな西方に淡く浮びあがったのが加賀の白山はくさんである事や、長い尾根続きの端に飛びあがったような嶺が笠ヶ岳である事や
案内人風景 (新字新仮名) / 百瀬慎太郎黒部溯郎(著)
これに附和するもの漸く多きを致す傾向あるはすこぶる吾人の意をたり、しかも邦人のやや山岳を識るといふ人も、富士、立山たてやま白山はくさん御嶽おんたけなど、三、四登りやすきを上下したるに過ぎず
山を讃する文 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
これから富山とやまへ掛ってけば道順なれども、富山へ行くまでには追分おいわけからさかいに関所がございますから、あれから道をはすに切れて立山たてやまを北に見て、だん/″\といすの宮から大沓川おおくつがわへ掛って
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なぜだらう 橡の黄葉もみぢの鮮やかさ はや新雪の眩ゆい立山たてやま
閒花集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
つるぎ岳、立山たてやま、双六たに黒部くろべ
冠松次郎氏におくる詩 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
こし白山しらやま立山たてやま
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
越中の国立山たてやまなる、石滝いわたきの奥深く、黒百合となんいうものありと、語るもおどろおどろしや。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれあれ越中の立山たてやまの方へ向って逃げるが、逃げ間に合わない、あの分では、米友さんが鷲に追いつくに違いない、追いつけば米友さんのことだから、いきなり鷲に向って組みつくに違いない
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
上州横室よこむろの赤城神社、駿河の愛鷹あしたか明神、越中の立山たてやま権現、大和では纏向まきむく穴師坐兵主あなしにますひょうず神社、東北では羽後飽海あくみ郡の国幣こくへい中社大物忌おおものいみ神社、同雄勝おがち郡大沢の荒羽波岐あらはばき神社、北秋田の七座ななくら神社森吉神社等
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一昨年の六月、信州から立山たてやまを越して富山へ出た最後の日には、女が目についた。紺の香りも新しい揃いの単衣ひとえに、赤いたすき、姉さんかぶりで田植をしているのを見た時には、美しいとさえ思った。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
白皙蒲柳はくせきほりうしつず、越中国えつちうのくに立山たてやまつるぎみねゆきを、先頭せんとうだい四十何人目なんにんめかに手鈎てかぎけた、登山とざんにおいては、江戸えど消防夫ひけしほどの侠勢きほひのある、この博士はかせことばしんずると、成程なるほど
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)