“立居(たちゐ)” の例文
尤もそれより口の悪い誰彼は、良秀の立居(たちゐ)振舞(ふるまひ)が猿のやうだとか申しまして、猿秀と云ふ諢名(あだな)までつけた事がございました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
近頃(ちかごろ)はそれが段々(だん/\)落(お)ち付(つ)いて來(き)て、宗助(そうすけ)の氣(き)を揉(も)む機會(ばあひ)も、年(ねん)に幾度(いくど)と勘定(かんぢやう)が出來(でき)る位(くらゐ)少(すく)なくなつたから、宗助(そうすけ)は役所(やくしよ)の出入(でいり)に、御米(およね)は又(また)夫(をつと)の留守(るす)の立居(たちゐ)に
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
罪(つみ)のない子(こ)は横町(よこてう)の三五郎(らう)なり、思(おも)ふさまに擲(たゝ)かれて蹴(け)られて其(その)二三日(にち)は立居(たちゐ)も苦(くる)しく、夕(ゆふ)ぐれ毎(ごと)に父親(ちゝおや)が空車(からぐるま)を五十軒(けん)の茶屋(ちやゝ)が軒(のき)まで運(はこ)ふにさへ、三公(こう)は何(ど)うかしたか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やゝありて人の立居(たちゐ)する音の聞ゆるに、嬉(うれ)しやと思ひきや、振鈴の響起りて、りん/\と鳴り渡るに、是れはと駭く横笛が、呼べども叫べども答ふるものは庭の木立のみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
此(こ)の姫(き)また毎(つね)に琥珀(こはく)を以(もつ)て佩(おび)として、襲衣(しふい)の裡(うち)に人知(ひとし)れず包(つゝ)みて緊(し)む。立居(たちゐ)其(そ)の度(たび)になよやかなる玉(たま)の骨(ほね)、一(ひと)つ/\琴(こと)の絲(いと)の如(ごと)く微妙(びめう)の響(ひゞき)を作(な)して、聞(き)くものの血(ち)を刺(さ)し、肉(にく)を碎(くだ)かしめき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
夫(それ)から二三日して、かの患者の室(へや)にこそ/\出入(ではい)りする人の氣色(けしき)がしたが、孰(いづ)れも己(おの)れの活動する立居(たちゐ)を病人に遠慮する樣に、ひそやかに振舞つてゐたと思つたら
変な音 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)