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ちょく
ふりがな文庫
“
直
(
ちょく
)” の例文
「飛んだ久松の孫右衛門さ。旦那のいねえ夜を合図で知らせて、引っ張り込んでた
情人
(
いろ
)
あ誰だ?
直
(
ちょく
)
に申し上げた方が為だろうぜ。」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
殊
(
こと
)
にまた自分の句の上に無造作に○がついたり
直
(
ちょく
)
が這入ったりするのを一層不思議そうな眼でながめていたに相違ない。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
父には人に見られない一種
剽軽
(
ひょうきん
)
なところがあった。ある者は
直
(
ちょく
)
な
方
(
かた
)
だとも云い、ある者は気のおけない男だとも評した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
至極
直
(
ちょく
)
な人物である。このよさそうな教師を村に得ただけでも、彼は安心して東京の方に向かうことができるわけだ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの辺はこことちがって周囲が
直
(
ちょく
)
で物価もやすいし、そちらへ多分歩いてゆける位かもしれず、本当にわるくないでしょう。少しわくわくする位です。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
庭口から
直
(
ちょく
)
に
縁側
(
えんがわ
)
の日当りに
腰
(
こし
)
を
卸
(
おろ
)
して五分ばかりの茶談の後、自分を
促
(
うなが
)
して先輩等は立出でたのであった。自分の村人は自分に
遇
(
あ
)
うと、興がる
眼
(
め
)
をもって一行を見て笑いながら
挨拶
(
あいさつ
)
した。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「今日お前はいつものよそゆきと違って大変
直
(
ちょく
)
な
生
(
うぶ
)
な
身装
(
なり
)
をしているねえ」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「此の
直
(
ちょく
)
はどうしたんだ。もう交替時間はとっくに過ぎているじゃないか」
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
蕁草
(
いらくさ
)
の
刺毛
(
さしげ
)
で
弄
(
いら
)
われるような遣瀬なさで、痒味
辛
(
つら
)
味は何にたとえようもないほどであった。しばらくの間は袴の上から
押抓
(
おしつね
)
ってなだめていられたが、仲々もって左様な
直
(
ちょく
)
なことではおさまらない。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
余は
直
(
ちょく
)
は全く余に存して
曲
(
きょく
)
はことごとく余を捨てし教会にありとは断じて信ぜざるなり、余に欠点の多きは爾のしろしめすごとくにして余の言行の不完全なるは余の充分爾の前に白状する所なり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この先生が
飄逸
(
ひょういつ
)
で、ざっかけで、
直
(
ちょく
)
で、気が置けない人柄である上に、お医者の方にかけては、江戸でも鳴らしている大家であるというような信頼もあるし、当然その脱線も脱線とは受けとれず
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
直
(
ちょく
)
な、気の張らない料理屋をその角にもった横町だったのである。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「へえ。相済みませぬ。御名物のお殿様でごぜえますから、
直
(
ちょく
)
に申しまするが、名前は
人好
(
ひとよ
)
し長次、まとまった金がころがりこむと、じきにうれしくなって人にバラ撒いちまいますんで、この通り年がら年中文なしのヤクザ野郎でごぜえます」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ついに壁を背にして仁王立ち……再び、刀をさげ体を
直
(
ちょく
)
に、なかばとじた眼もうっとりと、
虚脱平静
(
きょだつへいせい
)
、半夜深淵をのぞむがごとき自源流水月の構剣……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
旧暦三月上旬のことで、山家でも
炬燵
(
こたつ
)
なしに暮らせる季節を迎えている。相手は旅の
土産話
(
みやげばなし
)
をさげて来た縫助である。おまけに、腰は低く、話は
直
(
ちょく
)
な人と来ている。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一寸こちらへ来て部屋にかえることも
直
(
ちょく
)
ですし。家のことやる人もこちらにおいて。二階を私の室。下の六畳寿江子。四畳半を茶の間。ね。わるくないプランでしょう。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
もし人情なる
狭
(
せま
)
き立脚地に立って、芸術の定義を下し得るとすれば、芸術は、われら教育ある士人の
胸裏
(
きょうり
)
に
潜
(
ひそ
)
んで、
邪
(
じゃ
)
を
避
(
さ
)
け
正
(
せい
)
に
就
(
つ
)
き、
曲
(
きょく
)
を
斥
(
しりぞ
)
け
直
(
ちょく
)
にくみし、
弱
(
じゃく
)
を
扶
(
たす
)
け
強
(
きょう
)
を
挫
(
くじ
)
かねば
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
嵓
(
がん
)
到りて
却
(
かえ
)
って燕王の機略威武の服するところとなり、帰って燕王の語
直
(
ちょく
)
にして意
誠
(
まこと
)
なるを奏し、皇上
権奸
(
けんかん
)
を
誅
(
ちゅう
)
し、天下の兵を散じたまわば、臣
単騎
(
たんき
)
闕下
(
けっか
)
に至らんと、云える燕王の語を奏す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三次はかっとして、この野郎っ、
直
(
ちょく
)
に申上げねえかっ、と呶鳴ろうとしたが、何思ったかにこりと笑って
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「とは言わせねえぜ。じつああっしが——と、
直
(
ちょく
)
に出な、直に。」
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“直”の意味
《名詞》
(じき)
(じか)
(あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
(すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
《形容動詞》
(じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“直”を含む語句
正直
直接
直下
素直
真直
直道
直立
驀直
強直
直衣
眞直
立直
硬直
直角
御直
直後
直面
宿直
直々
直截
...