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だんぢよ
此のおなじ
火事に、
靈岸島は、かたりぐさにするのも
痛々しく
憚られるが、あはれ、
今度の
被服廠あとで、
男女の
死體が
伏重なつた。
河面は
対岸の
空に
輝く
朝日ビールの
広告の
灯と、
東武電車の
鉄橋の
上を
絶えず
徃復する
電車の
燈影に
照され、
貸ボートを
漕ぐ
若い
男女の
姿のみならず
最初に
余等が
發掘した
方面に
當つて、
人の
數、
男女を
合して十二三
人。
大發掘をつゞけて
居るのを
發見した。
日本に居て想像すると欧洲三
界へ
斯んな風にして出稼ぎして居る
男女は大抵自堕落な人間の様だが、実際は反対に極めて
真面目な量見を持て働いて居る者が多い。
僕は
今もペンを
持つたまま、はるかにニユウヨオクの
或クラブに
紅毛人の
男女が七八
人、一
椀の「しるこ」を
啜りながら、チヤアリ、チヤプリンの
離婚問題か
何かを
話してゐる
光景を
想像してゐる。
……
其の
下の
水際の
岩窟の
湯に、
立つたり、
坐つたり、
手拭を
綾にした
男女の
裸身があらはれたかと
思ふと、
横の
窓からは
馬がのほりと
顏を
出す、
厩であらう。
華奢な
男女も
忙しない車馬も一切が
潮染の様な
濡色をして
其中に動く。