物知ものし)” の例文
その頃、ほど近い都に、名高い物知ものしりが住んでいました。長者はその物知りのところへ使いをやって、雷の神の好きなものをたずねさせました。
雷神の珠 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ゆるしたまれはいかばかりにくきものに思召おぼしめされて物知ものしらぬ女子をなごとさげすみたまふもいとはじ、れはかゝ果敢はかなきうんちて此世このようまれたるなれば
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
吉原よしわら出来事できごと観音様かんのんさま茶屋女ちゃやおんなうえなど、おそらくくちひらけば、一ようにおのれの物知ものしりを、すこしもはやひとかせたいとの自慢じまんからであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あるひとが、このくにでいちばん物知ものしりといううわさのたかひとむかっていました。物知ものしりはもうだいぶとしをとった、白髪しらがのまじった老人ろうじんでありました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こういうはなしは、なかさわがせるものだから、あまりしないほうがいいとおもったのだ。」と、物知ものしりはこたえました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
その人々ひとびとなずに、どんな冒険ぼうけんでもやってみて、そのしまへたどりきたいものだとおもいました。そして、そのことをとしよりの物知ものしりにたずねました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにつけて、近所きんじょ物知ものしりのおじいさんが、そのじつ、なにもっていないのを、るもののごとくしんじていたのをうらめしく、おろかしくおもいました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれには、このとき、ふたたび田舎いなかにいる時分じぶん近所きんじょ物知ものしりのおじいさんが、「これは、たいしたものではない、ただふるいからいいのだ。」といった、その言葉ことばおもされたのです。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このおばさんは、むらでの物知ものしりでありました。よく、世間せけんあるくからでありましょうが、どうして、こんなにいろいろのことをっているかとおもわれるほど、いろいろのはなしっていました。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
物知ものしりのおじさんのことばだけに、たけおは、じきあの人形にんぎょうを、ほしいとおもうのをあきらめてしまったが、どこかとおはなのさく野原のはらを、はなかごをもったうつくしい少女しょうじょと、たいこをたたくおとこ
花かごとたいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
で、むらでの物知ものしりでありました。さっそく、おおきな眼鏡めがねをかけて
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)