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漸次
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だんだん
ふりがな文庫
“
漸次
(
だんだん
)” の例文
と、さらに不思議なことには、姿の見えない笑い声が、
漸次
(
だんだん
)
こっちへ近寄って来る。部屋の隅と思ったのが、畳の上から聞こえて来る。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
渡邊を
伴
(
つ
)
れて
麗
(
うらら
)
かな秋の街を散歩でもするような足どりで歩き出した、二人は
漸次
(
だんだん
)
郊外の方へ近よると、
其所
(
そこ
)
には黒ずんだ○△寺の山門が見えた
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
今日こそ生れた時の
産髪
(
うぶがみ
)
のままで
漸次
(
だんだん
)
と年を取って、それを摘み込み、分け方を当時の風にしただけで、ハイカラがっているけれど別にその上の変化はない。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
一旦は
勝誇
(
かちほこ
)
った市郎も
漸次
(
だんだん
)
に心細くなって来た。この上は
依頼
(
たのみ
)
にもならぬ
救援
(
すくい
)
の手を待ってはいられぬ、自分一人の力で
此
(
こ
)
の危険の地を脱出するより他はない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
群集
(
ぐんしふ
)
は
更
(
さら
)
に
時分
(
じぶん
)
を
見計
(
みはか
)
らつてはぐら/\と
柱
(
はしら
)
を
突
(
つ
)
き
倒
(
たふ
)
さうとした。
丈夫
(
ちやうぶ
)
な
柱
(
はしら
)
はまだ
火勢
(
くわせい
)
があたりを
遠
(
とほ
)
ざけて
確乎
(
しつか
)
と
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
他
(
た
)
の
村落
(
むら
)
の
人々
(
ひと/″\
)
は
漸次
(
だんだん
)
に
歸
(
かへ
)
り
去
(
さ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
私達遊び仲間の連中は
総
(
すべ
)
て不成績で、
漸次
(
だんだん
)
、
是等
(
これら
)
の諸氏と席の方が遠ざかるばかりであった。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其処
(
そこ
)
で夏も過ぎて楽しみにしていた『冬』という例の奴が
漸次
(
だんだん
)
近づいて来た、その
露払
(
つゆはらい
)
が秋、第一秋からして思ったよりか感心しなかったのサ、
森
(
しん
)
とした林の上をパラパラと
時雨
(
しぐれ
)
て来る
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「ワーッ」という鬨の声! それも
漸次
(
だんだん
)
遠ざかる。山窩を追って行くのであろう。またも響き渡る鉄砲の音! だが遙かに隔たっている。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼
(
かれ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
瘡痍
(
きず
)
が
輕
(
かる
)
く
醫者
(
いしや
)
から
宣告
(
せんこく
)
された
時
(
とき
)
は
何
(
なん
)
となく
安心
(
あんしん
)
されたのであつたが、
然
(
しか
)
し
又
(
また
)
漸次
(
だんだん
)
道程
(
みちのり
)
を
運
(
はこ
)
びつゝ
種々
(
いろいろ
)
な
雜念
(
ざふねん
)
が
湧
(
わ
)
くに
連
(
つ
)
れて、
失望
(
しつばう
)
と
不滿足
(
ふまんぞく
)
を
心
(
こゝろ
)
に
懷
(
いだ
)
きはじめた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
尤も子供の時には玩具のような大小であるが、
漸次
(
だんだん
)
と本物をさすようになる。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
片手は綱に
縋
(
すが
)
り、片手は
松明
(
たいまつ
)
を
把
(
と
)
って、塚田巡査は左右の足を働かせながら、足がかりとなるべき大小の岩を探りつつ、
漸次
(
だんだん
)
に暗い底へ降りて行った。
他
(
た
)
の人々は息を
嚥
(
の
)
んで
其
(
その
)
行動に注目していた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
五人、十人、二十人と、見ている間に信徒達は、侵入軍の
餌食
(
えじき
)
となった。そうして
漸次
(
だんだん
)
信徒達は、小路小路へ追い詰められた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
杉右衛門は
炉側
(
ろばた
)
に坐ったまま、いつまで経っても動こうともしない。やがて
薪
(
たきぎ
)
が尽きたと見えて焚火が
漸次
(
だんだん
)
消えて来た。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いいえ睡くはございません。ちっとも睡くはございません。不思議なことに今夜は
漸次
(
だんだん
)
眼が冴えるようでございます」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この間も船は
帆駛
(
ほばし
)
って行った。
名残
(
なごり
)
の
夕筒
(
ゆうづつ
)
も次第にさめ、海は
漸次
(
だんだん
)
暗くなった。帆にぶつかる風の音も、夜に入るにしたがって、次第にその音を高めて来た。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そういったような幽かな音で、それが
漸次
(
だんだん
)
近寄って来た。しかしどこからやって来たのか、またどの辺へ近寄って来たのか、それは知ることが出来なかった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし
漸次
(
だんだん
)
蒼白い顔へ、鮮かな血の気が射して来た。急に唇が
綻
(
ほころ
)
びた。彼はまさしく微笑したのであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
空が次第に蒼味を増し、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の光も射して来た。
淡紅
(
とき
)
色は
漸次
(
だんだん
)
緋
(
ひ
)
色となり、緋色は忽ち
黄金
(
こがね
)
色となり、
四方
(
あたり
)
瞬く明かるむに連れて、朝
靄
(
もや
)
分けて一つ一つ、山や林や高原が三人の前に現われ出た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
漸
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
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常用漢字
小3
部首:⽋
6画
“漸次”で始まる語句
漸次々々
漸次強音
漸次昇音
漸次接近の方法