きよし)” の例文
「まあ、不思議ふしぎなおはなしですこと、きよしさんも、うみはいったら、なみをつけなければいけませんよ。」と、おかあさんは、おっしゃいました。
海と少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と声を掛けたのを初めに、英也とすゑの叔父のきよしとは四五年ぶり身体からだをひたひたと寄せてなつかしげに語るのであつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
帰郷の途中はただ暑かったというだけで、別に話すほどのこともなかったが、その途中で僕が考えたのは「きよしがさぞおどろいて失望しているだろう。」
海亀 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
きよし君、一郎君、りょうちゃん、てつちゃん、ブウちゃんなどが集まってきて、このおもしろくない世の中をなげいた。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
弟はたつと云った。辰年の生れであった。私達は三人兄弟で、兄はあらた、私はきよしで、みな祖父がつけたものであった。弟が生れたのは、三月の節句の頃であった。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
丸善に一時間ばかりいて、久しぶりで日吉町ひよしちょうへ行ったら、きよしがたった一人ひとりで、留守番をしていた。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ここで一言しておかねばならぬのは、武田博士の愛弟きよし君のことである。清君は今年十六歳、まだ東京府立○中の三年生だが、その脳力は、もう帝大工学部の学生に劣らないくらいの天才である。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
きよしという名の人が数人あるのを区別する目的といえばそれまでであるけれども、それだけのためならばことさらに珍しい面倒な名字を作る必要はないので、一号の清とか二号の太郎とかいうような
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
きよし、清。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
「これ、おとうさんに、あげてよ。」と、少年しょうねんはすずめをきよしくんにあたえて、ひとり幸先さいさきのいいのをよろこんで、野原のはらほうをさしてかけました。
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
私が花樹はなき瑞樹みづきに三枚づヽの洋服を買ひ、佐保子さほこに一枚を宛てて買つて来た程のことにもおつやさんは佐保子さほこを粗末にするとお取りになつてきよしさんのうちへ泣いておいでになつたのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
きよしくんは、いえはいってから、すずめをおとうさんにわたすと、おとうさんは、すずめをてのひらにのせて、しばらくかんがえていられましたが、なまなか道理どうりをいいきかせて
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)
きよしさんのうちゆづるさんにも頼んで一緒に行つて貰つたのです。麹町の通りであがなはれたまりしげるの手へ渡されたのです。しげるは嬉しさに元園町もとぞのちやうの辺りではまりを上へ放り上げながら歩いて居たのです。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「それは、ふえでなくて、ハーモニカでないのかね。」と、おっしゃいました。きよしさんは、をまるくして
海と少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
列車の外できよしと畑尾とはこんな談話をして居たのである。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
そのばんきよしさんは、おかあさんや、いもうとのたけさんと、うみえるお座敷ざしきで、メロンやお菓子かしべながら、宿やどひとから、いろいろのおもしろいおはなしをききました。
海と少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きよしくんは、すぐにわりてはしりました。まもなく、木戸口きどぐちから、少年しょうねんをつれて、はいりました。
すずめを打つ (新字新仮名) / 小川未明(著)