海鳥うみどり)” の例文
「これかい、これは海鳥うみどりだ。昨夜ゆうべ、おじいさんが、このとりってかえってきなすったのだ。」と、おかあさんはいわれました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゃあ、この船で、時々、ああして飛び来ってはかすめてゆく海鳥うみどりを、その大太刀で、斬り落すことも容易であろうな」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
磯の岩にはアラメ、カジキ、あわびもあれば藤壺もある。昨夜、たしかに海鳥うみどりの声を聞いた。海鳥を食い、磯魚をせせっても、一年や二年は生きのびられぬことはあるまい。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
灰いろの海鳥うみどりむれし田中たなかには朝日のひかりすがしくさせり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
薄月夜うすづくよこよひひそかに海鳥うみどりがこのをかの花をついばみに
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
八重の潮路の海鳥うみどりの沖の太夫たいふ生擒いけどりぬ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
すそあかるあめいろのをちに、海鳥うみどり
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
海鳥うみどりは、しきりにいています。あたまうえまつわたかぜおとまで、バイオリンのこころをとめて、しのびあししてぐるようにおもわれました。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
お忘れのはずはない。あなたは、私が周防すおうの錦帯橋のほとりで、飛燕を斬って大太刀の修練をしたといったら、それを笑って、然らば、この船を頻りとかすめ飛んでいる海鳥うみどり
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八重の潮路の海鳥うみどりの沖の太夫たゆう生檎いけどりぬ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
そのほうなみおだやかで、太陽たいようしずかに大空おおぞらえていました。そらは、あおく、あおれて、海鳥うみどりんでいるのもえました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
乞食こじきは、あかぼうをおぶって、いつかたったまちへもどってゆきました。海辺うみべには、しろい、海鳥うみどりそらっていました。ひかりは、かれのゆくみちあたたかにらしていました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それよりも、太郎たろうは、どうして、海鳥うみどりんだのか、きたかったのです。その不審ふしんこころにありながら、それをいいまえに、おじいさんのかえってきなされたのがうれしくて
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きっと、かぜのために、海鳥うみどりがねぐらをられてさわいでいるのだろう。」とおもいました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)