トップ
>
洒脱
>
しゃだつ
ふりがな文庫
“
洒脱
(
しゃだつ
)” の例文
奇人にはちがいありませんが、
洒脱
(
しゃだつ
)
、
飄逸
(
ひょういつ
)
なところのない
今様
(
いまよう
)
仙人ゆえ、讃美する
的
(
まと
)
が
外
(
はず
)
れて、妙に
反
(
そ
)
ぐれてしまったのだと思います。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
洒脱
(
しゃだつ
)
な応待で女中をからかい、龍海さんと按吉にさかんに飲ませて、自分は人につがれなければ強いて飲むということがなかった。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
江戸ッ子風の
洒脱
(
しゃだつ
)
らしく見えて実は根ッから洒脱でなかった。硯友社という小さな王国に
立籠
(
たてこも
)
って容易に人を寄せ付けなかった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それがあまり
唐突
(
とうとつ
)
だったので、技師はちょいと驚いたが、相手の少佐が軍人に似合わない、
洒脱
(
しゃだつ
)
な人間だと云う事は日頃からよく心得ている。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこでは宿の主人のまことに
洒脱
(
しゃだつ
)
な夫婦喧嘩を聞いた。その次の日は、千曲川の流れに沿う戸倉の村をぼつぼつと西へ向かって歩いたのである。
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
▼ もっと見る
狩野派、土佐派、何々流式の線や色の主張も、
飄逸
(
ひょういつ
)
も、
洒脱
(
しゃだつ
)
も、雄渾も、枯淡も棄て、唯一気に生命本源へ突貫して行く芸術になってしまった。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
洒脱
(
しゃだつ
)
で、のんきで、人あたりがよくて、めったに物にこだわらない彼なのであるが、今度は例になく、時平のしたことが腹が立ってならなかった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この室内とこの人間との雰囲気の
醸
(
かも
)
す感じからは、東京の下町というものが一方
洒脱
(
しゃだつ
)
でありながら一方ローカルなものを持っているのを受取らせます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もしくは
洒脱
(
しゃだつ
)
な心持だとかいったようなものが現れていると言えば言えないことはありませんが、しかしそれは句の陰に潜んだまったくの余情であって
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
俳句というものを全く知らず、いわんや枯淡とか、
洒脱
(
しゃだつ
)
とか、風流とかいう特殊な俳句心境を全く理解しない人。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
大越
(
おおごえ
)
から通う老訓導は、酒でものむと
洒脱
(
しゃだつ
)
な口ぶりで、そこから近いその
遊廓
(
ゆうかく
)
の話をして聞かせることがある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
洒脱
(
しゃだつ
)
を
衒
(
てら
)
っているのさ、田舎者だと思ってばかにしてね、それで自分が恥をかいているとは気がつかない」
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その折の旅の法印が、今も相変らず、
一杖一笠
(
いちじょういちりゅう
)
の姿で
洒脱
(
しゃだつ
)
に眼の前で笑っている。安居院の聖覚なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ふうむ、
洒脱
(
しゃだつ
)
な親父だね。すると榊原君がアメリカまで神学専攻に出掛けたのもその夏帽子の影響だね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
笑いの哲学とは、
流石
(
さすが
)
に軽妙
洒脱
(
しゃだつ
)
なベルグソンの着想だ。こうでなくては哲学は意味をなさぬ。ここを忘れて人間性を
云云
(
うんぬん
)
したところで、——しかし、おかしい。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
あべこべに
洒脱
(
しゃだつ
)
をよそおい謹厳をとりつくろう虚偽と偽善との行いのように自分ながら疑われて来た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
南北朝以来戦乱永く相つぎ人心
諸行無常
(
しょぎょうむじょう
)
を観ずる事従つて深かりしがその
厭世
(
えんせい
)
思想は漸次時代の修養を経てまづ
洒脱
(
しゃだつ
)
となり
次
(
つい
)
で滑稽諧謔に慰安を求めんとするに至れり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
法水もちょっと
面喰
(
めんくら
)
ったらしかったが、すぐに
洒脱
(
しゃだつ
)
な調子に戻って
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その機敏さ、
洒脱
(
しゃだつ
)
さはさながら
軽業師
(
かるわざし
)
のごとく見物人を
酔
(
よ
)
わした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
豪放
洒脱
(
しゃだつ
)
な官界の逸人高橋自恃庵が作った放縦自由な空気は
忽
(
たちま
)
ち一掃されて吏臭紛々たる官場と化してしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
もとよりその円頂黒衣の人は
洒脱
(
しゃだつ
)
な気さくな人であったが、こともなげにその解決をつけてしまった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
軒挑灯
(
のきちょうちん
)
を連ねし仲之町の茶屋もその
洒脱
(
しゃだつ
)
なる筆致の
下
(
もと
)
には
自
(
おのずか
)
ら品川
板橋
(
いたばし
)
等の光景と選ぶ所なし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大体に於いてあの人はああ云う風な
洒脱
(
しゃだつ
)
な紳士型であるけれども、あれで案外気分屋で、時に
依
(
よ
)
っては
機嫌
(
きげん
)
の悪いこともあること、子爵家にはあの人の腹違いの兄に当る
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あんな
洒脱
(
しゃだつ
)
な女はありませんよ。あれと暮して居ると、本当に巴里と暮しているようですよ。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
膳
(
ぜん
)
をはこぶ侍たちはみんな眼を泣き
腫
(
は
)
らしていた、それでいくらか
洒脱
(
しゃだつ
)
をじまんにする伊右衛門は、給仕に坐ろうとする若侍の一人をしいてさがらせ、自分で酌をしながら呑みはじめた。
日本婦道記:松の花
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
はッと思って見ると、血がだらだらと暑い夕日に
彩
(
いろど
)
られて、その兵士はガックリ前に
踣
(
のめ
)
った。胸に弾丸があたったのだ。その兵士は善い男だった。快活で、
洒脱
(
しゃだつ
)
で、何ごとにも気が置けなかった。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
椿岳の画の豪放
洒脱
(
しゃだつ
)
にして伝統の画法を無視した偶像破壊は明治の初期の沈滞
萎靡
(
いび
)
した画界の珍とする処だが
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いかに
洒脱
(
しゃだつ
)
なる
幇間
(
ほうかん
)
といへども徹頭徹尾
扇子
(
せんす
)
に
頭
(
かしら
)
を叩いてのみ日を送り得べきものに
非
(
あら
)
ず。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だが、今まで見つけて来た男というのは主に下町の男たちで、何やらにちゃ/\したものと
洒脱
(
しゃだつ
)
のものと入れ混っている不得要領な感じがしました。青年かと思えば隠居のようでもある。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いかに
洒脱
(
しゃだつ
)
なる
幇間
(
ほうかん
)
といへども徹頭徹尾
扇子
(
せんす
)
に
頭
(
かしら
)
を
叩
(
たた
)
いてのみ日を送り得べきものに
非
(
あら
)
ず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
二葉亭を何といったら
宜
(
よ
)
かろう。小説家型というものを
強
(
あなが
)
ち青瓢箪的のヒョロヒョロ男と限らないでも二葉亭は小説家型ではなかった。文人風の
洒脱
(
しゃだつ
)
な風流
気
(
け
)
も
通人
(
つうじん
)
気取
(
きどり
)
の
嫌味
(
いやみ
)
な
肌合
(
はだあい
)
もなかった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
格安でモダーンで、そして
洒脱
(
しゃだつ
)
でなければいけない。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“洒脱”の意味
《名詞》
洒脱(しゃだつ)
俗気がなくさっぱりしていること。あかねけしていること。
(出典:Wiktionary)
洒
漢検1級
部首:⽔
9画
脱
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
“洒脱”で始まる語句
洒脱化