気軽きがる)” の例文
旧字:氣輕
ふたりのものはこしもかけないで、おまえが口上こうじょうもうしてくれ、いやおまえがと、小声こごえってる。老人はもとより気軽きがるな人だから
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
親の責任が特に軽くなったわけではないけれど、いずれも生れたてのあの柔かい肉塊にくかいに対して感じた責任感は、少し気軽きがるになった。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
案内者は水戸みとの者であった。五十そこらの気軽きがるそうな男。早くから北海道に渡って、近年白糠に来て、小料理屋をやって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
博物はくぶつ教師きょうしは、あごにひげをはやしている、きわめて気軽きがるひとでありましたが、いつも剥製はくせいとりを、なんだろう? ついぞたことのないとりだが、とおもっていました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、おばさんのうまれた家屋敷いえやしきは、いまでは、知らない人の手にわたっていました。ですから、じぶんのいなかとはいえ、気軽きがるに帰るわけにはいかなかったのです。
いかだのしりにひかれて、サクラ号の小さなボートは気軽きがるそうに頭をふりふりついてきた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
出合頭であいがしらのつもりかなんぞの、至極しごく気軽きがる調子ちょうしで、八五ろう春重はるしげまえちふさがった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
やさしいなかにつよみのある、気軽きがるえても何処どこにか落着おちつきのある、馴々なれ/\しくてをかやすからぬひんい、如何いかなることにもいざとなればおどろくにらぬといふこたへのあるといつたやうなふう婦人をんな
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じいさんはいとも気軽きがるにスーッと巌山いわやまをめぐって姿すがたしてしまいました。
こういっておばあさんは気軽きがるに出て行こうとしました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
載つけるといふ気軽きがるなふうで
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
気軽きがるな落葉木の若葉も美しいが、重々しい常緑樹のがらにないやわらかな若葉をつけた処も中々好い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
呉服店ごふくてん主人しゅじんというのは、気軽きがるなおもしろいひとでした。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
庭の内では、の如く花の様な大小の雪片せっぺんが、んだり、ねたり、くるうたり、筋斗翻とんぼがえりをしたり、ダンスをする様にくるりとまわったり、面白そうにふざけ散らして、身軽みがる気軽きがるに舞うて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)