“此子(これ)” の例文
此子(これ)が為(ため)、我が為、不自由あらせじ、憂き事のなかれ、少しは余裕もあれかしとて、朝は人より早く起き、夜(よ)はこの通り更けての霜に寒さを堪(こら)へて
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鉄砲をかつがせたり調練をさせたりして、此子(これ)はなんでも陸軍大将にすると力んでいるのもある。
お台所の隅にでもおいていただけば……古い枕に寝かしておいて……ときどきわたしが乳を与(や)ります。家に人がいないものですから、此子(これ)の面倒を見てくれ手がございませんので
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
旦那(だんな)さまの思(おも)ひも、私(わたし)の思(おも)ひも同(おな)じであるといふ事(こと)は此子(これ)が抑(そもそ)も教(をし)へて呉(く)れたので、私(わたし)が此子(これ)をば抱(だ)きしめて、坊(ばう)は父樣(とうさま)の物(もの)ぢやあ無(な)い、お前(まへ)は母樣(かあさま)一人(ひとり)のだよ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鉢ものをかしく並びて、軒につり忍艸(しのぶ)、これは正太が午(うま)の日の買物と見えぬ、理由(わけ)しらぬ人は小首やかたぶけん町内一の財産家(ものもち)といふに、家内は祖母と此子(これ)二人
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これは正太が午(うま)の日の買物と見えぬ、理由(わけ)しらぬ人は小首やかたぶけん町内一の財産家(ものもち)といふに、家内は祖母(ばば)と此子(これ)二人、万(よろづ)の鍵(かぎ)に下腹冷えて留守は見渡しの総長屋
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此子(これ)が面(おも)ざしに爭(あらそ)はれないほど似(に)た處(ところ)が御座(ござ)いました、私(わたし)は此子(これ)が可愛(かあい)いのですもの、何(ど)うして旦那樣(だんなさま)を憎(にく)み通(とほ)せましやう、私(わたし)が善(よ)くすれば旦那(だんな)さまも善(よ)くして下(くだ)さります
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勿躰(もつたい)なや此(こ)の子(こ)といふ可愛(かはゆ)きもあり、此子(これ)が爲(ため)我(わ)が爲(ため)不自由(ふじいう)あらせじ憂(う)き事(こと)のなかれ、少(すこ)しは餘裕(よゆう)もあれかしとて朝(あさ)は人(ひと)より早(はや)く起(お)き、夜(よ)は此通(このとほ)り更(ふ)けての霜(しも)に寒(さむ)さを堪(こら)へて
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此子(これ)が頭に拳(こぶし)一つ當てたる奴は、假令(たとへ)村長どのが息子にもせよ理非はとにかく相手は我れと力味たつ無法の振舞漸くつのれば、もとより水呑百姓の痩田一枚もつ身ならぬに、憎くき老耄(おひぼれ)が根生骨
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とても/\旦那樣(だんなさま)のやうな邪慳(じやけん)の方(かた)のお子(こ)ではない、これは私(わたし)一人(ひとり)の物(もの)だと斯(か)う極(き)めて居(ゐ)まするに、旦那(だんな)さまが他處(よそ)からでもお歸(かへ)りになつて、不愉快(ふゆくわい)さうなお顏(かほ)つきで此子(これ)の枕(まくら)もとへお坐(すわ)り遊(あそ)ばして
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)