はて)” の例文
さて又、近ごろ西のはてなるオランダといふ国よりして、一種の学風おこりて、今の世に蘭学と称するもの、すなわちそれでござる。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
稜々かど/″\から發散する火焔は車輪のぐるりに卷きついてゐる。「五角」は無上の速力にて囘轉し、宇宙のはてまでも、燃立つ大氣の旋風せんぷうを傳へる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
新嘉坡しんがぽうる香港ほんこんなどで夏花なつばなの盛りに逢つて来た鏡子は、この草や木を見て、東のはてのつゝましい国に帰つて来たと云ふ寂しみを感じぬでもなかつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いつまでもこの世に留めたいと思ふ物を作るために、東洋でも、西洋でも、あるひは何処のはてでも、昔から人間が努めてゐる姿は目ざましい。人は死ぬ。
一片の石 (新字旧仮名) / 会津八一(著)
その時彼は天使たちを遣わして、地のはてより天の極まで四方より選民を集め給うであろう(一三の二六、二七)。
また我は凡ての望みのはてに近づきゐたるがゆゑに、燃ゆる願ひおのづから心の中にてむをおぼえき 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
朝日が日向灘ひゅうがなだからのぼってつの字崎の半面は紅霞こうかにつつまれた。茫々ぼうぼうたる海のはては遠く太平洋の水と連なりて水平線上は雲一つ見えない、また四国地しこくじが波の上にあざやかにえる。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
こうして静かな朝靄あさもやが、いつとなく晴れわたると、東のはてに朝日を浴びて、彼のグロース・シュレックホルンの屹えているのを仰ぐ、と間もなく、ブリュームリスアルプの山々は
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
「さうとも、僕等に乗つてくれれば、地球のはてへも飛んでくのだが、——」
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
浜村屋はまむらやちや。わらわをいて、そなたばかりがどこへく。——そりゃこえぬぞ。わらわも一しょじゃ。そなたのきやるところなら、地獄じごくはてへなりと、いといはせぬ。れてきゃ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
押し移る夜空の澄みやおのづから星座のはても傾きにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きん秤目はかりめ、そのはての星にかかれる身のおもり
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
我は惡計たくらみ拔道ぬけみちをすべてしりつくし、これらのわざをおこなひてそのきこえ地のはてにまで及べり 七六—七八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いぶかり怪しんで当惑している私どもの耳に、地のはてからかすかな歌がきこえてくる。
庭につづいてひろげられて、ゼープロムナードのポプラの上にトゥーンの湖が空色に、その東のはてには、グロース・シュレックホルン、右にはアウセルベルクの上にユンクフラウの頂が見えて
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
真我のはてへ、中心へ、虚空を押移りつつ
渦巻きたけがくはて蒼海わだつみけぶり
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
宇宙のはて圓規コムパスをめぐらし、隱るゝ物と顯るゝ物とをあまねくその内にわかちし者は 四〇—四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
歌へり『劫初ごふしよ』、かかればはてのくまも
歓楽くわんらくはて恐怖おそれの日のおびえ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我わが生命いのちはてに臨みてはじめて神とやはらがんことを願へり、またもしピエル・ペッティナーイオその慈愛の心よりわがために悲しみその聖なる祈りの中にわが身の上を憶はざりせば
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
くれなゐの、戦慄わななきの、そのはて
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きてはてなく流れゆけ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
はてよりはてに過ぎて
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)