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棧敷
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さじき
ふりがな文庫
“
棧敷
(
さじき
)” の例文
新字:
桟敷
家々の
棧敷
(
さじき
)
と飾り物、そこへ出入をする老幼男女の飲食
宴遊
(
えんゆう
)
の楽しみが主になっているが(日本奇風俗)、それでも翌七日の朝早く
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
棧敷
(
さじき
)
の下で
剃刀
(
かみそり
)
を見つけたんですよ。松の枝か何んかに引つ掛つてゐた樣子で、裏木戸を開けると、頭の上からバタリと落ちたんです」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
にらんだ
犯人
(
ほし
)
なる勘当宗助、はたして一座にいるやいなやと、ずかずか
棧敷
(
さじき
)
のほうから小屋の中へはいっていきました。
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お神は裏木戸の瀬川に余分の
祝儀
(
しゅうぎ
)
をはずみ、
棧敷
(
さじき
)
の好いところを都合させて、好い心持そうに
反
(
そ
)
り返っているのだったが、銀子もここへ来てから
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ロシアの音楽やオペラの話をするとき、年とった母夫人のいかめしい顔に生気がよみがえって、まるで昨夜、その華やかな
棧敷
(
さじき
)
席にいたかのようだった。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
車室
(
しやしつ
)
から
降
(
お
)
りたのは
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
だつた
彼
(
かれ
)
に、
海拔
(
かいばつ
)
二千
尺
(
じやく
)
の
峰
(
みね
)
に
於
(
お
)
けるプラツトフオームは、
恰
(
あたか
)
も
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
に
拵
(
しつら
)
へた
白
(
しろ
)
き
瑪瑙
(
めなう
)
の
棧敷
(
さじき
)
であるが
如
(
ごと
)
く
思
(
おも
)
はれたから、
驛員
(
えきゐん
)
に
對
(
たい
)
する
挨拶
(
あいさつ
)
も
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
苑の芝生に設けたる
棧敷
(
さじき
)
の邊より、烟火空に閃き、魚の形したる火は青天を
翔
(
かけ
)
りゆく。
偶〻
(
たま/\
)
とある高窓の背後に、男女の影うつれり。あれこそ夫婦の君なれと、ドメニカ
耳語
(
さゝや
)
きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
北海道相撲の一行が來て三日間興行をした時なども、渠は渠等と組んで
棧敷
(
さじき
)
を買ひ切り、三日を通して大袈裟な見物に出かけ、夜は夜で、また相撲を料理屋に招いて徹宵の
飮
(
いん
)
をやつた。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
猩々
(
しょうじょう
)
にいたるまですべての生物を一列に並べて舞台の背景とし、その前へ人間を引き出して浮世の狂言を演ぜしめ、自分は遠く離れて
棧敷
(
さじき
)
から見物している気になって、公平に観察するのである。
生物学的の見方
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
父母とともに行く
歌舞伎座
(
かぶきざ
)
や新富座の
緋毛氈
(
ひもうせん
)
の美しい
棧敷
(
さじき
)
とは打って変って薄暗い
鉄格子
(
てつごうし
)
の中から人の頭を越して
覗
(
のぞ
)
いたケレンだくさんの小芝居の舞台は子供の目にはかえって不思議に面白かった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
棧敷
(
さじき
)
を落したのは、水へ落ちた者——二人の
仕業
(
しわざ
)
だ。前から少しは繩を切つて置いても、端つこの二ヶ所は水へ落ちる覺悟でなきや切れない。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一番終りの日で、彼等の後は
棧敷
(
さじき
)
の隅までぎっしりの人であった。一間と離れぬところに、舞台が高く見えた。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
年寄りはおどろいたように面をあげたので、右門は目まぜでいざないながら、
棧敷
(
さじき
)
のすみの目だたないところへ連れていくと、さっそくに尋問を開始いたしました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
庸三と母親は、しばらくすると歌舞伎座の二階
棧敷
(
さじき
)
の二つ目に納まっていた。それが
鴈治郎
(
がんじろう
)
一座の芝居で、初めが何か新作物の時代ものに、中が鴈治郎の十八番の
大晏寺
(
だいあんじ
)
であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
我は辛く一席を
購
(
あがな
)
ふことを得き。いづれの
棧敷
(
さじき
)
にも客滿ちて、暑さは人を壓するやうなり。演劇はまだ始まらぬに、我身は熱せり。きのふけふの事、わがためには
渾
(
すべ
)
て夢の如くなりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
照
(
て
)
り
曇
(
くも
)
り
雨
(
あめ
)
もものかは。
辻々
(
つじ/\
)
の
祭
(
まつり
)
の
太鼓
(
たいこ
)
、わつしよい/\の
諸勢
(
もろぎほひ
)
、
山車
(
だし
)
は
宛然
(
さながら
)
藥玉
(
くすだま
)
の
纒
(
まとひ
)
を
振
(
ふ
)
る。
棧敷
(
さじき
)
の
欄干
(
らんかん
)
連
(
つらな
)
るや、
咲
(
さき
)
掛
(
かゝ
)
る
凌霄
(
のうぜん
)
の
紅
(
くれなゐ
)
は、
瀧夜叉姫
(
たきやしやひめ
)
の
襦袢
(
じゆばん
)
を
欺
(
あざむ
)
き、
紫陽花
(
あぢさゐ
)
の
淺葱
(
あさぎ
)
は
光圀
(
みつくに
)
の
襟
(
えり
)
に
擬
(
まが
)
ふ。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこは大川へ突き出すやうに花火見物の
棧敷
(
さじき
)
ができてゐて、危ない梯子で、狹い庭へ降りられるやうになつてをります。
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かれら一統のさし控えていた席はちょうど東方西方のまんなかになっている
棧敷
(
さじき
)
土間でありました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
此
棧敷
(
さじき
)
の餘りに暑き故なるべしと答へつゝ、我は起ちて劇場の
外
(
と
)
に走り出でぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
と先に立ち、幕明き前のざわつく廊下を
小股
(
こまた
)
にせかせか歩きながら、
棧敷
(
さじき
)
の五つ目へ案内し、たらたらお世辞を言って、銀子の肩掛けをはずしたり、コオトを脱がせたり、
行火
(
あんか
)
の加減を見たりした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
瀬川の切符は、舞台に向って右側の中ほどにある
棧敷
(
さじき
)
席だった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「ところが、よく調べて見ると、あの水の上に突き出した
棧敷
(
さじき
)
の
尖端
(
とつさき
)
の方の繩が、十ヶ所ばかりきつてあつたのだ」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さればこそ、お局群の熱狂ぶりは、正気のほどが疑われるくらいで、江戸錦ィ、江戸錦という声援とともに、いずれもぽっとほおを染めながら、
棧敷
(
さじき
)
の前へのめり出してしまいました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
鼬
(
いたち
)
小僧にされちや八五郎が可哀想だから、今夜は俺が身代りになつて二階
棧敷
(
さじき
)
から見物して居たといふわけさ」
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
假り小屋の到つて粗末なものですが、骨組だけは嚴重で、舞臺の上から客席の天井を通つて、向う
棧敷
(
さじき
)
まで張つた綱の高さは、全く六間以上もあるでせう。
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「喜八の家は坐つて居て
釣
(
つり
)
の出來るのが自慢で、川向うの狐の嫁入見物には、これほど結構な
棧敷
(
さじき
)
はない」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「腹を減らして、
舌嘗
(
したな
)
めずりをしながら、打揚花火にノド佛を
覗
(
のぞ
)
かせたつて、面白かありませんよ。
棧敷
(
さじき
)
や舟の人達のやうに、腹一杯になつたところで、玉屋アと來るから恰好がつくんで」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
棧敷
(
さじき
)
に唯一つ殘つた灯の下で、木戸番の種吉はポロポロと涙をこぼすのです。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「西
棧敷
(
さじき
)
にも、お客樣がゐたよ」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
棧
部首:⽊
12画
敷
常用漢字
中学
部首:⽁
15画
“棧敷”で始まる語句
棧敷席