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はいばん
ふりがな文庫
“
杯盤
(
はいばん
)” の例文
静かで、
杯盤
(
はいばん
)
も取りみださず、ひとりつつましやかな客は、佐藤義清だけだった。杯を
唇
(
くち
)
にふくみながら、その義清が、主へいうには。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
折から下坐敷より
杯盤
(
はいばん
)
を運びきし女の何やらお力に耳打して兎も角も下までお出よといふ、いや行き度ないからよしてお呉れ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
一夕
(
いつせき
)
、松川の
誕辰
(
たんしん
)
なりとて奥座敷に予を招き、
杯盤
(
はいばん
)
を排し
酒肴
(
しゆかう
)
を
薦
(
すゝ
)
む、
献酬
(
けんしう
)
数回
(
すくわい
)
予は酒といふ
大胆者
(
だいたんもの
)
に、幾分の力を得て
積日
(
せきじつ
)
の屈託
稍
(
やゝ
)
散じぬ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
忠通が倚りかかっている
襖
(
ふすま
)
の絵も、そこらに取り散らしてある
杯盤
(
はいばん
)
の数かずも、おどろいて眺めている人びとの衣の色も、皆あざやかに映し出された。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
杯盤
(
はいばん
)
の乱れた中に一人酔いつぶれていたのが廣介、そして、それを介抱したのが彼の妻の千代子だったのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
後を追つて來たお駒は、其處に飮み荒らし喰ひ荒らしたまゝ殘つてゐた
杯盤
(
はいばん
)
を見ると、箒を棄てて
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
默つて行燈を
退
(
の
)
かせ、
杯盤
(
はいばん
)
をざつと片附けて、お富は部屋の隅に顫へて居ります。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
●さて一人の
哥妓
(
げいしや
)
梯上
(
はしごのうへ
)
にいでゝしきりに
岩居
(
がんきよ
)
を
呼
(
よ
)
ぶ、よばれて
楼
(
ろう
)
にのぼれり。
余
(
よ
)
は京水とゝもに此
湯
(
ゆ
)
に
浴
(
よく
)
す、
楼上
(
ろうしやう
)
には
早
(
はや
)
く
三弦
(
さみせん
)
をひゞかせり。
浴
(
ゆあみ
)
しをはりて楼にのぼれば、
既
(
すで
)
に
杯盤
(
はいばん
)
狼藉
(
らうぜき
)
たり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
附景気
(
つけげいき
)
で面白さうに騒がれるだけ騒ぎ、毒と知りながら、
麦酒
(
ビール
)
に酒
雑
(
ま
)
ぜてのぐい
喫
(
のみ
)
、いまだに頭痛がしてなりませぬとの事なり、兼吉がこの話の内、半熟の卵に焼塩添へて女の持ち運びし
杯盤
(
はいばん
)
は
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
台所に
杯盤
(
はいばん
)
の音、戸口に見送りの人声、はや
出立
(
いでた
)
たんと吸物の前にすわれば床の間の
三宝
(
さんぽう
)
に
枳殻
(
からたち
)
飾りし親の情先ず
有難
(
ありがた
)
く、この枳殻誤って足にかけたれば取りかえてよと云う人の情もうれし。盃一順。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
杯盤
(
はいばん
)
狼藉
(
ろうぜき
)
のわびしい華やかさ
死の淵より
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
午餐なので、
杯盤
(
はいばん
)
はまもなく
退
(
さ
)
げられ、甘い酒と、
果盆
(
かぼん
)
が代って出た。いや、さらに美々しい一盆には、五箇の銀塊が乗っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
折
(
おり
)
から
下坐敷
(
したざしき
)
より
杯盤
(
はいばん
)
を
運
(
はこ
)
びきし
女
(
おんな
)
の
何
(
なに
)
やらお
力
(
りき
)
に
耳打
(
みゝうち
)
して
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
下
(
した
)
までお
出
(
いで
)
よといふ、いや
行
(
ゆ
)
き
度
(
たく
)
ないからよしてお
呉
(
く
)
れ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
廊下を歩く足音がバタ/\と
聞
(
きこ
)
え、やがて、
杯盤
(
はいばん
)
を取り片付け、
箒
(
はうき
)
で掃いてゐる
氣色
(
けはひ
)
がした。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
杯盤
(
はいばん
)
を片附けた、柳橋の清川の大廣間、二十幾基の大燭臺に八方から照されて、男女十幾人の一座は、文句も不平も、大きな歡喜の
坩堝
(
るつぼ
)
の中に
鎔
(
とか
)
し込んで、唯もう、他愛もなく、無抵抗に
銭形平次捕物控:054 麝香の匂ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
●さて一人の
哥妓
(
げいしや
)
梯上
(
はしごのうへ
)
にいでゝしきりに
岩居
(
がんきよ
)
を
呼
(
よ
)
ぶ、よばれて
楼
(
ろう
)
にのぼれり。
余
(
よ
)
は京水とゝもに此
湯
(
ゆ
)
に
浴
(
よく
)
す、
楼上
(
ろうしやう
)
には
早
(
はや
)
く
三弦
(
さみせん
)
をひゞかせり。
浴
(
ゆあみ
)
しをはりて楼にのぼれば、
既
(
すで
)
に
杯盤
(
はいばん
)
狼藉
(
らうぜき
)
たり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
満座は腹を抱えて笑い、さらに
杯盤
(
はいばん
)
を新たにして、男と男の心胆をそそぎ合う酒幾
斗
(
と
)
。やがて
鶏鳴
(
けいめい
)
まで聞いてしまった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
杯盤
(
はいばん
)
を片付けた、柳橋の清川の大広間、二十幾基の大
燭台
(
しょくだい
)
に八方から照されて、男女十幾人の一座は、文句も不平も、大きな歓喜の
坩堝
(
るつぼ
)
の中に
鎔
(
とか
)
し込んで、ただもう、他愛もなく、無抵抗に
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
口を
含嗽
(
うがい
)
し、席を清めて、謹んでお迎えあるべきに、座もうごかず、
杯盤
(
はいばん
)
の間へ私を通し、あまつさえ臣下の丁儀が頭から使者たる手前に向って……汝、みだりに舌を動かすな。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あまたの郷士たちは、みな押ッ取り刀で八方へ馳け出し、あとの空虚には、燭も白け渡って、
杯盤
(
はいばん
)
の
狼藉
(
ろうぜき
)
と阿佐ヶ谷
神楽
(
かぐら
)
の者が五、六人残って、そこにウロウロしているばかり。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ぜひなく家臣たちは、夜の
具
(
もの
)
を着せかけて、そっと
杯盤
(
はいばん
)
をとりかたづけ、やがてみな、
疎林
(
そりん
)
の外で、夜営の支度にかかっていた。そして、そうした外の物音も
寂
(
せき
)
とひそまり返った頃である。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「恐縮です。このままの
杯盤
(
はいばん
)
では」
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“杯盤”の意味
《名詞》
さかずきや皿、鉢。宴会の道具
(出典:Wiktionary)
杯
常用漢字
中学
部首:⽊
8画
盤
常用漢字
中学
部首:⽫
15画
“杯盤”で始まる語句
杯盤狼藉