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月下
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げつか
尤も
彼の
前にも
車が
續いた。
爾時、
橋の
上をひら/\
肩裾の
薄く
濃く、
月下に
入亂れて
對岸へ
渡つた四五
人の
影も
見えた。
其等は
徒歩で、
些と
早めに
宴會を
辭した
連中。
本艦之に
應じて
先づ
手始には八
吋速射砲つゞいて
打出す
機關砲。
月は
慘たり、
月下の
海上に
砲火迸り、
硝煙朦朧と
立昇る
光景は、
昔がたりのタラント
灣の
夜戰もかくやと
想はるゝばかり。
何ならんと
小走りして
進み
寄りつ
一枝手折りて一
輪は
主一
輪は
我れかざして
見るも
機嫌取りなり
互の
心は
得ぞしらず
畔道づたひ
行返りて
遊ぶ
共なく
暮す
日の
鳥も
寐に
歸る
夕べの
空に
行く
雲水の
僧一人たゝく
月下の
門は
何方ぞ
浦山しの
身の
上やと
見送くれば
見かへる
笠のはづれ
兩女ひとしくヲヽと
呌びぬ