だん)” の例文
ぶたい花みちは雪にて作りたる上に板をならぶる、此板も一夜のうちにこほりつきて釘付くぎづけにしたるよりもかたし。だん国にくらぶればろんほかなり。
だんを取る必要も何もないのだけれども、習慣的に火燵に寄かかっている。ものういような春雨の感じが溢れているように思われる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
以上いじようはなししたのは、つゞめていふとあつ𤍠帶ねつたいからだんおんかんといふふうにその各地方かくちほうてきしてよくそだ森林しんりん區域くいきと、そのたい特徴とくちようとでした。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
く物がなく、泣いて弓矢を焚き、からくも兵糧をかしいだり一時のだんをとったが、なおおびただしい凍死者を出したほどな行軍難であったという。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫婦ふうふなかないものが、さむさにへかねて、つてだんやう具合ぐあひに、御互おたがひ同志どうしたよりとしてらしてゐた。くるしいときには、御米およね何時いつでも、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いつもだんをとる寒い魂よ
深夜 (新字旧仮名) / 三富朽葉(著)
ぶたい花みちは雪にて作りたる上に板をならぶる、此板も一夜のうちにこほりつきて釘付くぎづけにしたるよりもかたし。だん国にくらぶればろんほかなり。
宿とした無住の山寺では、山門のれんを割り本堂の木像をまきとして、夜もすがらだんをとった。かついで来た例のひつぎからは、肉でも酒でも何でも出て来た。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寒夜火を焚いてだんを取る。作者は何もくわしいことを叙しておらぬが、屋外の光景らしく思われる。燃えさかる赤いほのおが人の顔を照して、面上に明暗を作る。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
夫婦は世の中の日の目を見ないものが、寒さにえかねて、抱き合ってだんを取るような具合に、御互同志を頼りとして暮らしていた。苦しい時には、御米がいつでも、宗助に
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かゝる光景ありさまは雪にまれなるだん国の風雅人ふうがじんに見せたくぞおもはるゝ。およそちゞみをさらすには種々しゆ/″\所為しわざあれども、こゝには其大略たいりやくをしるすのみ。