春日はるひ)” の例文
春日はるひすらつかきみかなしも若草わかくさつまきみつかる 〔巻七・一二八五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いざ雪ふらば降れ、風ふかば吹け、我が方寸ほうすんの海に波さわぎて、沖の釣舟つりぶねおもひも乱れんか、ぎたる空にかもめなく春日はるひのどかになりなん胸か、桜町が殿の容貌おもかげも今は飽くまで胸にうかべん。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おもふどちあそぶ春日はるひ青柳あおやぎ千条ちすじの糸の長くとぞおもふ 半蔵
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
曳馬野ひくまのはりはらみだれ、春日はるひくらすは、昔人むかしびとかも
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
すがの根の長き春日はるひいたずらに暮らさん人は猿にかもおとる
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
春日はるひ霞みて、よしあしのさゞめくがごと、笑みわたれ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
小網さでしづく清酒きよみきをかぐらむ春日はるひなか
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
竹林に黄なる春日はるひを仰ぎけり
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
おきて 青によし 平山ならやま越えて いかさまに 思ほしけめか あまさかる ひなにはあれど 石走いわばしる 淡海おうみの国の ささなみの 大津の宮に 天の下 知ろしめしけむ すめろぎの 神のみことの 大宮は ここと聞けども 大殿は ここといえども かすみ立つ 春日はるひかきれる 夏草香なつくさか しげくなりぬる ももしきの大宮処おおみやどころ 見ればかなしも。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
なほ何處いづこにか惡魔あくまのひそみて、あやなきものをもおもはするよ、いざゆきふらばかぜふかばけ、方寸はうすんうみ波騷なみさわぎておき釣舟つりふねおもひもみだれんか、ぎたるそらかもめ春日はるひのどかになりなんむね
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
春日はるひ霞みて、葦蘆よしあしのさゞめくがごと、笑みわたれ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
の女春日はるひまぶしくまたたけり
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)