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擱
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さしお
ふりがな文庫
“
擱
(
さしお
)” の例文
その罰の当否はしばらく
擱
(
さしお
)
き、とにかくに日本国において、学者と名づくる人物が獄屋に入りたるという事柄は、決して美談に非ず。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
書きたい事に切りがありませんが、其は他日の機会に譲って、読者諸君の健康を祝しつつここに
一先
(
ひとま
)
ず此手紙の筆を
擱
(
さしお
)
きます。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
大臣とのその時の話はその外いろいろの事もございましたけれども、今記憶に存じて居るのがそれだけの事ですからその話はここで
擱
(
さしお
)
きます。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
わたくしは筆を
擱
(
さしお
)
くに臨んで、先づ此等の篇を載せて年を
累
(
かさ
)
ね、
謗書旁午
(
ばうしよばうご
)
の間にわたくしをして稿を
畢
(
を
)
ふることを得しめた新聞社に感謝する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
或は今夜此筆を
擱
(
さしお
)
く迄には、何等か解決の
端
(
はし
)
を発見するに到るかも知れぬが、……
否々
(
いやいや
)
、それは望むべからざる事だ。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
夜業
(
やげう
)
の筆を
擱
(
さしお
)
き、
枝折戸
(
しをりど
)
開
(
あ
)
けて、十五六
歩
(
ぽ
)
邸内
(
ていない
)
を行けば、栗の
大木
(
たいぼく
)
真黒
(
まつくろ
)
に茂る
辺
(
ほとり
)
に
出
(
い
)
でぬ。
其
(
その
)
蔭
(
かげ
)
に
潜
(
ひそ
)
める井戸あり。
涼気
(
れうき
)
水
(
みづ
)
の如く
闇中
(
あんちう
)
に
浮動
(
ふどう
)
す。
虫声
(
ちうせい
)
※々
(
じゞ
)
。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
其は
擱
(
さしお
)
き、相家の所謂氣といふものは、望氣者流の所謂氣といふものとも異なつて、前に述べた如くである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その遺臣論は
姑
(
しばら
)
く
擱
(
さしお
)
き、私の身の進退は、前に申す通り、維新の際に幕府の門閥制度、鎖国主義が腹の底から
嫌
(
きらい
)
だから佐幕の気がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わたくしの敬愛する所の抽斎は、
角兵衛獅子
(
かくべえじし
)
を
観
(
み
)
ることを好んで、
奈何
(
いか
)
なる用事をも
擱
(
さしお
)
いて玄関へ見に出たそうである。これが風流である。詩的である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
最早こゝでペンを
擱
(
さしお
)
かねばなりません。願わくば神あなたの
寂寥
(
せきりょう
)
を慰めて力を与え玉わんことを。願わくばあなたの晩年が、彼
露西亜
(
ろしあ
)
の
美
(
うる
)
わしい夏の
夕
(
ゆうべ
)
の様に穏に美しくあらんことを。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
宵の鐘暁の鳥も聞くに悲く、春の花秋の月も眺むるに懶くて、片親無き児の智慧敏きを見るにつけ胸を痛め心を傷ましめしが、所詮は甲斐無き
嗟歎
(
なげき
)
せんより今生は
擱
(
さしお
)
き後世をこそ助からめと
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
俗官
(
ぞっかん
)
汚吏
(
おり
)
はしばらく
擱
(
さしお
)
き、品行正雅の士といえども、この
徳沢
(
とくたく
)
の
範囲
(
はんい
)
を脱せんとするも、実際においてほとんど
能
(
よく
)
すべからざることなり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と妻が
曰
(
い
)
う。ペンを
擱
(
さしお
)
いて、取あえず一
碗
(
わん
)
を
傾
(
かたむ
)
ける。
銀瓶
(
ぎんびん
)
と云う処だが、やはり
例
(
れい
)
の
鉄瓶
(
てつびん
)
だ。其れでも何となく
茶味
(
ちゃみ
)
が
軟
(
やわら
)
かい。
手々
(
てんで
)
に焼栗を
剥
(
む
)
きつゝ、障子をあけてやゝしばし外を眺める。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
子なり、
脈絡
(
すぢ
)
は
牽
(
ひ
)
く、忘るゝ暇もあらばこそ、昼は心を澄まして御仏に
事
(
つか
)
へまつれど、夜の夢は
女
(
むすめ
)
のことならぬ折も無し、若し其儘に
擱
(
さしお
)
いて哀しき終を余所〻〻しく見ねばならずと定まらば
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
其婬心の深浅厚薄は
姑
(
しばら
)
く
擱
(
さしお
)
き、婬乱の実を
逞
(
たくましゅ
)
うする者は男子に多きか女子に多きか、詮索に及ばずして明白なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しばらくこれを
擱
(
さしお
)
き、その聖人の道と称して、数百年も数千年も、儒者のこれを人に教えて、人のこれを信じたる
趣
(
おもむき
)
をみれば、欠点、はなはだ少なからず。
小学教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
往古の事は
姑
(
しばら
)
く
擱
(
さしお
)
き、鎌倉以來、世に亂臣賊子と稱する者ありと雖ども、其亂賊は帝室に對するの亂賊に非ずして、北條足利の如き最も亂賊視せらるゝ者なりと雖ども
帝室論
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
軽侮を
来
(
きた
)
す
所以
(
ゆえん
)
の
大本
(
おおもと
)
をば
擱
(
さしお
)
き、
徒
(
ただ
)
に末に走りて労するものというべきのみ。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
要不要の論はしばらく
擱
(
さしお
)
き、我が日本国人が外国交際を重んじてこれを
等閑
(
とうかん
)
に附せず、我が力のあらん限りを尽して、以て自国の体面を張らんとするの精神は誠に明白にして、その愛国の
衷情
(
ちゅうじょう
)
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
その吟味はしばらく
擱
(
さしお
)
き、今日の処にては、磊落と不品行と、字を異にして義を同じうし、
磊々落々
(
らいらいらくらく
)
は政治家の徳義なりとて、長老その例を示して少壮これに
傚
(
なら
)
い、遂に政治社会一般の風を成し
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
擱
漢検1級
部首:⼿
17画
“擱”を含む語句
擱筆
擱坐
捨閉擱抛
擱砂