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さて、題だが……題は何としよう? 此奴こいつには昔から附倦つけあぐんだものだッけ……と思案の末、はたと膝をって、平凡! 平凡に、限る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
われをもくして「骨董こつとう好き」と言ふ、誰かたなごころつて大笑たいせうせざらん。唯われは古玩を愛し、古玩のわれをして恍惚くわうこつたらしむるを知る。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
茶棚に背後うしろ向きになった肩をつばかり、ハタとそこへ、縁起棚から輝いて落ちたのは、清葉が、さきかざしたままそこにさし置いた舞扇で。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馬の前足は大方仰ぐのみなれど、ともすれば又暫し阪道を降る心地す。茂りあひたる梢は頻りに我頬をてり。道なき處をやり行くらん覺束おぼつかなし。
彼らが目を見合わせてうなずいたりひざったりしたことでも、我々には何の事やら合点がてんの行かぬことが、多かったとしても不思議はないのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
つと寄りてかろく宮の肩をちぬ。宮はたちまおもてあかめて、如何いかにともすべを知らざらんやうに立惑たちまどひてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これ開平かいへいの東北の地なり。時に余瑱よてん居庸関きょようかんを守る。王曰く、居庸は険隘けんあいにして、北平の咽喉いんこう也、敵ここるは、れ我がはいつなり、急に取らざる可からずと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼が水戸を押えて京都を圧したるが如き、あたかもこれのどして背をつの政策にして、眼快ならざるにあらず、手利ならざるにあらず。しかれども彼はみずから大勢調子の外に立てり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「鳴かぬ烏の闇にり込むまでは……」と六尺一寸の身をのして胸板をつ。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あり別れを惜みて伏水ふしみに至る。兵士めぐつて之をる。南洲輿中より之を招き、其背をつて曰ふ、好在たつしやなれと、金を懷中くわいちゆうより出して之に與へ、かたはら人なき若し。兵士はなはだ其の情をかくさざるに服す。
ひるらす神かたせる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「ええひどい蚊だ」ひざのあたりをはたとてり。この音にや驚きけん、馭者は眼覚めさまして、あくびまじりに
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
絵は蕭索せうさくとした裸の樹を、遠近をちこちまばらに描いて、その中にたなごころつて談笑する二人の男を立たせてゐる。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大太皷おほだいこ人はちつけ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
莞爾にっこりした、その唇の紅を染めたように、酸漿を指に取って、衣紋えもんかろちながら
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
惲王うんおうの両大家は、たなごころって一笑した。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
媛神 ほほほほ、(微笑ほほえみつつ寄りて、蘆毛の鼻頭はなづらを軽くつ)何だい、お前まで。(駒、高嘶たかいななきす)〔——この時、看客の笑声しょうせいあるいは静まらん。しからんには、この戯曲なかば成功たるべし。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かく言いてその友は投出したるひざてり。学生は天を仰ぎて笑えり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
欣弥は手招けば、白糸は微笑ほおえむ。その肩を車夫はとんとちて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と横を向いて卓子台ちゃぶだいかすかって
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
へいげん美人の肩をちて
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白糸はかろく小ひざちて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)