手酷てひど)” の例文
の一のかはをがれたために可惜をしや、おはるむすめ繼母まゝはゝのために手酷てひど折檻せつかんけて、身投みなげをしたが、それのちこと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それについて内部の事情を知らない「世間」から氏はかなり手酷てひどい攻撃を受けたが、私達は氏の如き感情にゆたかな、理智に明るい人が
ところが意外にも、それは貴女にって手酷てひどい、少しの同情もない、拒絶にあってしまったのでした。私は、大変な思違いをしたと思いました。
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それにもりず衆を語らって、ゆうべも、小次郎を待ちぶせ、かえって手酷てひどい目に遭って、約十名のうち生きて還ったのは幾人もない様子なのである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしこの男の前経歴から洗い立ててきますれば……動物学を専攻していたこの男が犬商になったことから推測しますれば……また手酷てひどい失恋の苦しみが
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「しかし、よっぽど手酷てひどく暴れたんだな。あの好色すけべえ野郎が、こんなにまで手古摺てこずったところを見ると……」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見世物小屋のおきてで、あんなことをしてブチ壊しをやった芸人は、見世物師の背後についている破落戸ならずものが寄ってたかって手酷てひどい制裁を加えて追い出すのであったが
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「あんなふうに気取ってるのはあたし大きらい。」とファヴォリットはかなり手酷てひどくつぶやいた。
おせいと同棲したために、富岡は、清吉から、手酷てひど復讐ふくしうを受けた気がした。伊香保を去つて以来、富岡の頭からは、清吉の存在は、幻のやうに消えてしまつてゐたのだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「余り蒲田が手酷てひどい事を為るから、僕も、さあ、それを案じて、惴々はらはらしてゐたぢやないか。嘉納流も可いけれど、後前あとさきを考へて遣つてくれなくては他迷惑はためいわくだらうぢやないか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
太子のあの気性で手酷てひどね付けて、もしこれ以上の圧迫でも太子の身に加わるようなことがあってはと、二人ともそれをひどく案じ切っているのであった。
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
顔容かおかたちに似ぬその志の堅固さよ。ただおとぎめいた事のみ語って、自からそのおろかさを恥じて、客僧、御身にも話すまいが、や、この方実は、もそっと手酷てひどこころみをやった。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人を斬ったり放火つけびをしたり。嫌な気持やオカシナ所業しわざを。あたり八方ひろげてサラゲル。人の姿の犬畜生だよ。人間扱いするには及ばぬ。ドンナ手酷てひどい仕置きをするとも。石やかわらの投げ撃ちしても。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
昨日きのうの栄華に引替えて娘は明暮不幸をかこち、我も手酷てひど追使おいつかわるる、労苦を忍びて末々をたのしみ、たまたま下枝と媾曳あいびきしてわずかに慰め合いつ、果は二人の中をもせきて
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一歩いちぶに、のかはをかれたために、最惜いとしや、おあき繼母まゝはゝには手酷てひど折檻せつかんける、垣根かきねそとしたで、晝中ひるなかおびいたわ、と村中むらぢう是沙汰これざたは、わかをんな堪忍たへしのばれるはぢではない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)