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手応
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てごたえ
ふりがな文庫
“
手応
(
てごたえ
)” の例文
旧字:
手應
海は静かにその小石を受け取りました。兄さんは
手応
(
てごたえ
)
のない努力に、
憤
(
いきどお
)
りを起す人のように、二度も三度も同じ
所作
(
しょさ
)
を繰返しました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吃驚
(
びっくり
)
して、否応なしに面喰つて、押してみたら
手応
(
てごたえ
)
なくグラリと動く。逃げようかと思つたが思ひ返して揺さぶりながら
群集の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
車輪とレールとの間に、確かな
手応
(
てごたえ
)
があった。あのたまらなくハッキリした
轢音
(
れきおん
)
が……。佐用媛がいきなりホームからレール
目懸
(
めが
)
けて飛びこんだのだ!
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
他の二疋に至っては、パーシウスが、それまでに鍛えられたどんな銘刀を持って来て、何時間ぶっ続けに切りつけようが、少しも
手応
(
てごたえ
)
はなかったでしょう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
その内、痛えという声がする、かすったようだけれども、
手応
(
てごたえ
)
があったから、占めたと、
豪
(
えら
)
くなる途端にお前。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
誰
(
たれ
)
を見ても、先ず松陰先生を差向けて見ると、一人として
手応
(
てごたえ
)
のある人物はない。皆
一溜
(
ひとたま
)
りもなく
敗亡
(
はいもう
)
する。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
東京の
自宅
(
うち
)
の方へ、時々無心の手紙などを書いていた壮太郎が、何の
手応
(
てごたえ
)
もないのに気を腐らして、女から送って来た金を旅費にして、これもこの町を立って行ったのは
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
みんな
手応
(
てごたえ
)
のあるものを向うに見ているから、崇拝も出来れば、
遵奉
(
じゅんぽう
)
も出来るのだ。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「ええ、確かに
手応
(
てごたえ
)
がありましたよ。この駅のホンの一丁程向うの
陸橋
(
ブリッジ
)
の下です。しかもねえ、
機関車
(
おかま
)
の
車輪
(
わっぱ
)
にゃあ、今度ア女の髪の毛が引ッ掛ってましたよ。豚じゃねえんです——」
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
それはいいが、駕籠の中をめがけて刀を突っ込んでも、何の
手応
(
てごたえ
)
もない。
中里介山の『大菩薩峠』
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
自分はお重と
喧嘩
(
けんか
)
をするたびに向うが泣いてくれないと
手応
(
てごたえ
)
がないようで、何だか物足らなかった。自分は平気で
莨
(
たばこ
)
を吹かした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もとへ
突込
(
つっこ
)
んで、革鞄の口をかしりと
啣
(
くわ
)
えさせました時、フト柔かな、滑かな、ふっくりと美しいものを、きしりと
縊
(
くび
)
って、
引緊
(
ひきし
)
めたと思う
手応
(
てごたえ
)
がありました。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれも、それ相当の
手応
(
てごたえ
)
があったのであるが、ここではその詳細を一々述べている
遑
(
いとま
)
がない。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
皆目
手応
(
てごたえ
)
といふものがない。木像だ石臼だ
蟇
(
がま
)
だ
梟
(
ふくろう
)
だ鮟鱇だ……
金談にからまる詩的要素の神秘性に就て
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
けれども不幸にして彼の批評は謡の上手下手でなくって、文章の巧拙に属する話だから、相手にはほとんど
手応
(
てごたえ
)
がなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小雨
(
こさめ
)
の色、
孤家
(
ひとつや
)
の
裡
(
うち
)
も、媼の姿も、さては炉の中の火さへ淡く、
凡
(
すべ
)
て
枯野
(
かれの
)
に描かれた、幻の如き
間
(
あいだ
)
に、ポネヒル連発銃の銃身のみ、青く
閃
(
きらめ
)
くまで磨ける鏡かと壁を
射
(
い
)
て、
弾込
(
たまごめ
)
したのがづツしり
手応
(
てごたえ
)
。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
葛湯
(
くずゆ
)
を練るとき、最初のうちは、さらさらして、
箸
(
はし
)
に
手応
(
てごたえ
)
がないものだ。そこを
辛抱
(
しんぼう
)
すると、ようやく
粘着
(
ねばり
)
が出て、
攪
(
か
)
き
淆
(
ま
)
ぜる手が少し重くなる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
千代子は何の気もつかずに宵子を
抱
(
だ
)
き起した。するとまるで眠った子を抱えたように、ただ
手応
(
てごたえ
)
がぐたりとしただけなので、千代子は急に大きな声を出して、宵子さん宵子さんと呼んだ。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何だか
考
(
かんがえ
)
が
理
(
り
)
に落ちていっこうつまらなくなった。こんな中学程度の
観想
(
かんそう
)
を練りにわざわざ、鏡が池まで来はせぬ。
袂
(
たもと
)
から
煙草
(
たばこ
)
を出して、
寸燐
(
マッチ
)
をシュッと
擦
(
す
)
る。
手応
(
てごたえ
)
はあったが火は見えない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
苦しいから爪でもって
矢鱈
(
やたら
)
に
掻
(
か
)
いたが、掻けるものは水ばかりで、掻くとすぐもぐってしまう。仕方がないから
後足
(
あとあし
)
で飛び上っておいて、前足で掻いたら、がりりと音がしてわずかに
手応
(
てごたえ
)
があった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つるつる
滑
(
すべ
)
って少しも
手応
(
てごたえ
)
がないというじゃないか。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
応
常用漢字
小5
部首:⼼
7画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭